- JST トップ
- /
- 戦略的創造研究推進事業
- /
- ACT-X
- /
- 研究領域の紹介/
- 生命と化学/
- [生命と化学] 令和3年度採択課題
理化学研究所
生命医科学研究センター
研究員
ゲノムDNA上の高次構造であるグアニン四重鎖 (G4) は、転写・複製などの生物学的イベントに関与すると言われていますが、解析手法が十分に確立されていないために、その正確な役割の解明には至っていません。本研究では、自身の独自技術とシングセル解析技術を融合させることで、マウス脳内細胞におけるG4DNA構造の形成挙動を詳細に定義できる手法を開発し、新たなG4バイオロジーを切り拓いていきます。
東北大学
加齢医学研究所
助教
腫瘍内において染色体異数性細胞は増殖蓄積しますが、実験環境下での異数性は細胞増殖に不利に働きます。細胞増殖におけるこの矛盾点は異数性パラドックスと呼ばれています。本研究では、異数性パラドックス解消に向けて、染色体不安定性の素地となる形質を誘導する因子の同定を目指します。この因子による染色体不安定性誘導機構を検証することで、腫瘍における染色体不安定性を介した遺伝的多様性の構築過程を明らかにします。
東京大学
大学院理学系研究科
特任研究員
タンパク質の液-液相分離は細胞内で膜のないオルガネラを形成し、様々な役割を担う重要な現象として注目されています。本研究では人工ペプチドによって標的タンパク質の液-液相分離を誘導し、濃縮相に機能を持たせた人工機能性オルガネラの創出を目的とします。独自のスクリーニング系を用いて新規二機能性ペプチドを開発し、特異的かつ高効率で標的の分解反応を引き起こす人工分解オルガネラの形成を目指します。
東京大学
大学院理学系研究科
助教
生体恒常性維持に必須である細胞間シグナル伝達は時空間的に制御されていることが知られています。そこで本研究では、生体透過性が極めて優れている超音波による局所加熱現象を利用して、生体深部で細胞間シグナル伝達を制御する分析手法を開発します。具体的には、生命現象の基本反応であるタンパク質間相互作用を人為的に制御する熱遺伝学的モジュールを開発し、細胞間シグナル伝達を制御する熱遺伝学的システムを構築します。
静岡大学
農学部
特任助教
以下の3つのアプローチによって、「キノコホルモン(キノコに共通に内生し共通のメカニズムによって生活環を制御する分子)」特に「子実体発生(発茸)ホルモン」の発見を目指します。 1)「Fruiting liquid(FL)」からのホルモン候補分子の探索 2) フェアリーリング惹起物質(フェアリー化合物)のキノコにおけるホルモンとしての証明 3)「キノコホルモンのひとつはステロイド」仮説の証明
東京大学
大学院医学系研究科
助教
多くの精神疾患において、シナプス関連遺伝子の異常や、シナプスの構造基盤であるスパインの形態異常が報告されています。しかし、シナプスの変化が、個体の精神活動に具体的にどのような影響を与えるかは未解明です。本研究では、シナプス変化の影響を因果的に検証するため、化学的手法を用いた新しいスパイン・シナプス操作技術を提案します。さらにその応用により、うつ症状をもたらす責任シナプス基盤の解明を目指します。
大阪公立大学
大学院医学研究科
助教
細胞は多様なタンパク質のユビキチン修飾(ユビキチンコード)を巧みに使い分けることで多彩な細胞機能を時空間特異的に制御します。本研究では、唯一の直鎖状ユビキチン鎖生成ユビキチンリガーゼ(LUBAC)を中心に形成される新規「リニアユビキチンコード」の各種構成因子が司る生体防御応答を分子病態学的に解明するとともに、この細胞基盤を標的とした革新的化学技術の応用と疾患治療を目指したシーズ創出に取り組みます。
京都大学
大学院農学研究科
助教
本研究の目的は、メタノール酵母におけるRNA顆粒などの細胞内顆粒の役割と構成分子を解明し、細胞内局在・結合性・転写レベルの観点からメタノール誘導性遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにすることです。また、メタノール誘導性mRNAの細胞内動態を制御することで、関連タンパク質の発現レベルが精密に調整出来るか検証します。
浜松医科大学
光尖端医学教育研究センター
助教
神経炎症に関わるミクログリアの多様な作用のうち、精神神経疾患の発症に関与するニューロン貪食作用を特異的にインビボ評価する方法として、ニューロン貪食の原因となる補体活性化を標的としたポジトロン断層法 (PET) プローブを開発し、その有用性を評価します。これまでに神経炎症の作用特異的なインビボ評価法は確立されておらず、本研究の成果により精神神経疾患の病態解明や診断・治療法開発への貢献を目指します。
東京大学
大学院理学系研究科
助教
遺伝子の複製・転写・翻訳はセントラルドグマと呼ばれ、生命の根幹と位置付けられます。本研究では、このうちの ”転写” を自在に制御する中分子群を創出します。 化学変換と酵素変換を駆使した化学ー酵素ハイブリッド法により、多様なマクロ環を有する中分子群を迅速合成します。DNAと共有結合を結びながら細胞核内のタンパク質と相互作用する本分子群で、特定のDNAータンパク質間相互作用を狙い撃ちします。
沖縄科学技術大学院大学
膜協同性ユニット
スタッフサイエンティスト
私は最近、細胞膜上で複数のシグナル経路を統合するプラットフォーム(分子会合体)を見出しました。このような構造体の発見は全く新しく、この会合体の形成機構、様々な分子のリクルート機構、機能の機構を解明し、シグナル伝達の革新的なパラダイムを創出したいと考えています。このために、生細胞中で多数の1分子を同時観察し、会合体への分子の出入りを1分子レベルで定量的に可視化する技術が必要で、その開発も行います。
筑波大学
生命環境系
助教
細菌の代謝を制御することができれば感染症の抑制やバイオ燃料生産の効率向上などが期待できます。しかし、環境・人体中の形態であるバイオフィルム状態の細菌の代謝を制御することは困難です。本研究では、一部の細菌の細胞死によりバイオフィルム全体の代謝が活性化するという自身の発見に基づき、電気化学技術、顕微鏡技術、微生物学、ウイルス学などを駆使した新たなバイオフィルム代謝活性制御技術を創出します。
高知大学
教育研究部
准教授
細胞外小胞の一つであるエクソソームは様々な疾患の診断や治療への応用が注目されていますが、その生体内動態を詳細に観察し、理解することが困難となっています。そこで本研究では、ピレンと呼ばれるπ電子共役系を活用し、生体透過性の高い長波長レーザー照射のもと効率的に発光する超高輝度蛍光プローブを開発します。このプローブを用いた二光子励起蛍光イメージングにより、生体内エクソソームのトラッキングを実現します。
筑波大学
生存ダイナミクス研究センター
助教
動物の初期進化の過程で起きた多細胞化は、多様な動物門を生みだす上での最も重要な進化的要因です。細胞のエネルギー利用の多様性についても着目することで、生体システムの実態およびヒトへの進化へとつながる多細胞生物の進化についてその起源を探ります。
東北大学
学際科学フロンティア研究所
助教
Kleptoprotein(盗タンパク質)現象は、餌生物から機能的タンパク質を取込み利用する現象で、発光魚キンメモドキから初めて見つかりました。自然界には他にもKleptoproteinによる収斂進化が起きている可能性がありますが、そのような例は見つかっていません。本研究では、Kleptoproteinをもつと考えられる生物を探索します。
岐阜大学
糖鎖生命コア研究所
助教
哺乳動物の冬眠には、低温時にも心臓が停止しない、虚血性の障害がない等の驚くべき特徴があります。本研究で着目している低温ショックタンパク質は、様々な遺伝子の転写後調節に関与し、冬眠動物の特徴を引き出すキーとなる可能性のある分子です。本研究は、冬眠時に見いだされた低温ショックタンパク質の特徴的な選択的スプライシングの変化を手かがりとし、冬眠動物の特徴を冬眠しない動物へ応用することを目指しています。
京都大学
大学院農学研究科
助教
ミトコンドリア呼吸鎖複合体-Iは基質の酸化還元反応を駆動力とするプロトンポンプで、ミトコンドリアでのATP生合成(エネルギー生産)の中核を担います。本研究では、ミトコンドリアにおけるエネルギー生産を光で制御することを将来的な目標に見据え、独自に開発した化学修飾技術を用いて複合体-Iを“酸化還元反応-駆動型”から“光-駆動型”のプロトンポンプに機能変換することを目指します。
愛媛大学
大学院理工学研究科
助教
RNAは、遺伝子発現制御の中核を担っており、その機能不全は、様々な疾患の原因となります。例えば、RNA中の7-メチルグアノシン修飾ヌクレオチドの欠損は、ヒトにおいてダウン症や脳症の原因となります。そこで本研究では、細胞内で効率的に核酸触媒を機能させるシステムとRNAの機能を制御・改変する核酸触媒を創出し、細胞内のメチロームを制御することで、これらの疾患を治療するための創薬基盤技術を開発します。
東京大学
定量生命科学研究所
助教
「ゲノム構造は遺伝子発現にとってどこまで重要なのか?」という未解決問題に挑むため、本研究では“ゆらいでいる”ゲノム構造化の作用機序を1細胞かつ時間情報を含んだ多次元的解析で定量的に理解することを目指します。さらに、ゲノム構造化を司るインシュレーターとその結合因子に着目し、液-液相分離に代表されるタンパク質の物性・局在変化とゲノムの構造制御の関連性についての基盤情報の確立を目指します。
京都大学
大学院生命科学研究科
研究員
脳内に発現するオーファンGタンパク質共役受容体(GPCR)は、創薬標的としてその機能解明が期待されます。しかし、オーファンGPCRの活性が、脳内情報処理にどのような影響を与えるのか、その動的な側面はほとんど解明されていません。本研究では、遺伝子にコードされたセンサーを新規に開発し、先端的イメージング技術と組み合わせることで、オーファンGPCRの機能解明を目指します。