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- [生命と化学] 令和元年度採択課題
名古屋大学
トランスフォーマティブ生命分子研究所
特任講師
アブラナ目植物の特化代謝物であるイソチオシアネート(ITC)は、高い反応性によりタンパク質を修飾し、外敵への防御物質としてはたらきますが、植物細胞内での機能は未解明です。本研究では、ITCが植物自身の標的タンパク質を修飾・制御するメカニズムと、その生理的役割を解明します。そして生理活性や選択性を増大させたスーパーITCを開発し、ITCで植物の生存機能や商品性を人為的に向上させることを目指します。
日本医科大学
先端医学研究所
講師
壁細胞発生機構を理解する為、壁細胞蛍光標識ゼブラフィッシュを樹立しました。当モデルの利点を活かし、高い時空間分解能を持って生体内で前駆細胞から壁細胞への分化をリアルタイムで観察し、標的の分化状態にある壁細胞形質を1細胞レベルで解析します。得られた時空間的壁細胞分化状態と、オミクス解析を基にしたモデリングを開始点として、段階的に進行する壁細胞分化系譜・分化を制御する転写ネットワークを網羅的に解析します。
東北大学
学際科学フロンティア研究所
助教
細胞内で非天然化学反応が自在に利用可能となれば、新たな作用機序の医薬の開発に繋がることが期待できます。タンパク質内部に合成触媒を有する人工金属酵素では、合成触媒に生体触媒の利点を統合可能となるだけでなく、合成触媒にbiocompatibilityを付与できることを見出してきました。そこで、本研究では人工金属酵素の細胞内導入法を開発し、人工金属酵素による細胞内触媒反応の方法論の開拓を行います。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
研究員
同じ遺伝情報を持っている細胞でも、発現されるタンパク質の種類と量は常に変動しています。したがって、高感度かつ網羅的にタンパク質を解析することは細胞の状態と機能を理解する上に非常に重要であります。本研究では、一分子感度でタンパク質の定量・定性分析ができる三次元光散乱顕微鏡を開発し、細胞内でのプロテオーム解析に挑戦します。
金沢大学
理工研究域
准教授
低毒性な有機溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)は生命科学におけるuniversal solventとして知られています。例えば、DMSOは「細胞の凍結保存剤」や「細胞へ難溶性薬剤を添加するときの溶媒」として使用されてきました。しかし、DMSOはあくまでも”有機溶媒の中では低毒性”であり、細胞へダメージを与えます。本申請研究では、DMSOと同等以上の機能をもち、より低毒性な溶媒を提案します。
理化学研究所
脳神経科学研究センター
研究員
細胞内シグナル伝達分子の一つ、mTORC1は成長因子や栄養といった細胞内外の多様な情報を受け取り、翻訳や代謝といった多くの細胞機能を制御するという最重要の分子です。一方でmTORC1が複数の細胞機能を選択的かつ協調的に制御する仕組みは分かっていません。本研究では細胞がどのようにmTORC1活性動態を利用して表現型を制御するのか解析することで、mTORC1による情報処理の原理を新たに解明します。
早稲田大学
ナノ・ライフ創新研究機構
次席研究員(研究院講師)
腸管免疫系・神経叢の発達・制御には腸内細菌からの刺激が必要であり、その異常が腸管関連免疫疾患の発症・増悪化に関与することが知られています。これまで腸管管腔内細菌を対象にした研究が行われてきましたが、位置情報を反映したものは乏しいのが現状です。そこで本研究では、微小生体組織採取法により、位置情報を保持した腸管微小領域ごとの、細菌叢-免疫-神経の連関や、腸管恒常性維持機構への影響を解明します。
慶應義塾大学
大学院政策・メディア研究科
特任助教
ハチとクモ両方の代謝物質を網操作期と対照期(ハチ:操作期vs非操作期、クモ:操作期vs未寄生)で解析し、操作期特異的に両者の体内に存在する代謝物質を探索することによって、操作期にハチ体内で産生されクモの体内に移行した操作責任物質を特定できると考えられます。すでに同様の実験デザインで取得したトランスクリプトームデータを利用することで、クロスオミクスによる生物応答の詳細な理解に繋げることができます。
岐阜薬科大学
大学院薬学研究科
助教
活性酸素種(ROS)は、細胞傷害をもたらすだけでなく、細胞内シグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーとして働くことが注目されています。本研究では、ROSシグナル機構の解明と制御のための基盤技術として光制御型ROSモジュレーターの開発を目指します。得られた化合物を用いることで、ROSシグナルの生理学的研究のみならず、レドックスホメオスタシスに起因する疾患の解明や治療法にも繋がるものと期待できます。
京都大学
大学院工学研究科
助教
ヒトを含む好気性生物の生存において、体内の酸素センシングは必要不可欠です。頸動脈小体が酸素センシングを担うことはよく知られていますが、その分子メカニズムに関しては仮説が乱立しており混迷状態にあります。本研究ではTRPカチオンチャネルに焦点を当て、頸動脈小体における酸素センシングの新規分子メカニズムに迫ります。これにより、永きに渡って続く論争に決着をつけることを目指します。
情報通信研究機構
未来ICT研究所
研究員
休眠は環境ストレスにより生じる一時的な成長、生殖の休止です。休眠中の低代謝は劇的なストレス耐性を生物に賦与するため、人工低代謝技術の開発という視点からその制御機構の解明が期待されています。そこで、本研究はショウジョウバエを用いて、休眠を司ると想定されるインスリン産生細胞を核とした神経分泌細胞の機能的回路と環境ストレスとの関係を明らかにし、生物が実現する環境ストレス適応機構の解明を目指します。
大阪大学
大学院薬学研究科
助教
生物と無生物の間を行き来するかのような究極の生命現象である、クマムシの乾眠の謎に迫りたいと考えています。結晶構造解析のような原子・分子階層の研究手法に加え、タンパク質分子や複数のタンパク質からなる超分子のかたちを生の姿に近い状態で観察するためのクライオ電子線トモグラフィー、細胞内3次元構造の詳細を可視化するための走査型電子顕微鏡による連続断面観察法等を駆使し、多階層乾眠構造生物学の礎を築きます。
北海道大学
大学院地球環境科学院
准教授
地表上で最も多くの炭素を蓄積する樹木をいち早く分解できる寄生性の腐朽菌(キノコ)を、炭素循環における先駆的分解者として位置づけ、その樹木分解機構を解明します。本研究では、樹木と寄生性腐朽菌の相互作用させた時の機序をマルチオミックス解析によって分子レベルで解明し、寄生性を付与する能力とそれを担う仕組み(分子メカニズム)を世界に先駆けて明らかにします。
東京農工大学
大学院グローバルイノベーション研究院
特任助教
G4は、グアニン残基が豊富な一本鎖配列で形成される核酸高次構造であり、その配列や周辺環境に依存して大きく三種類の「トポロジー」に分類されます。生体内においてG4はいずれかのトポロジーを形成することにより、様々なG4由来の生物機能を制御しています。本研究では、生体内において各トポロジーを選択的に検出(可視化)し、トポロジーとG4由来の生物機能との関連を、リガンドを用いて明らかにします。
東京医科歯科大学
東京医科歯科大学病院
助教
細胞外小胞であるエクソソームを介した遠隔臓器連関が、疾患の病態形成に果たす役割は十分知られていません。本研究では、慢性腎臓病とサルコペニア(加齢、慢性疾患による骨格筋量・筋力の低下)ならびに老化の連関に着目し、オミクス解析と生体イメージングによって1)エクソソームの品質の病期・時間的変化、2)空間的動態変化・臓器特異性の理解、3)エクソソームの量・質的制御による新たな治療戦略の開発を目指します。
愛知工業大学
工学部
助教
本申請で創製を目指す自立型マイクロRNAナノ構造体は、遺伝子導入剤不要でマイクロRNAを細胞へ送達することを目指すものです。本申請は、DNA・RNAナノテクノロジーの新規アプローチによってUndruggableなRAS標的医薬の開発に挑戦します。
東京大学
生産技術研究所
助教
本研究では、生体透過性の高い赤色光および有機金属錯体を用いて、光線力学的療法(PDT)に適用可能な、新しい細胞内薬物分子生成システムの構築を目指します。具体的には、軸位に金属-炭素結合を介して種々の薬物分子前駆体を有する有機金属フタロシアニン錯体を合成し、その金属-炭素結合の光活性化に伴う薬物分子放出反応の開発と、腫瘍細胞に対する光線力学的効果の調査に取り組みます。
東京大学
大学院工学系研究科
助教
本提案研究では、短鎖DNAプローブの自発的集合と生体直交型化学反応を駆使し、細胞内でタンデムリピート長鎖DNAを化学構築する技術を開発します。具体的には、DNAナノテクノロジーを応用し、特定配列のオリゴヌクレオチドを開始剤としたタンデムリピート配列の集積化に挑戦します。さらに開発した技術を医療応用し、「DNAナノテクノロジー創薬」の基盤を構築します。
北海道大学
大学院農学研究院
助教
植物においてアミノ酸栄養として以外のメチオニンの新規生理機能を開拓します。そこで、本研究では、メチオニンが関与する生命現象として、タンパク質のN末端のメチオニンの除去(NME; N-terminal methionine excision)に着目しました。メチオニンの新規生理機能を、①NMEの活性調節と、②NMEに関連した酸化還元応答、③新規制御機構において明らかにするものです。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
非常勤講師
本研究課題では、ゼブラフィッシュを用い、機械的な力を制御する遺伝子の同定を行うため、以下のスクリーニングを行います。1)上皮シートや細胞の形態に異常を示す変異体をの選別 2)上皮シートの粘弾性応答に異常を示す変異体の選別 3)上皮シートにかかる力の定量測定を行い、細胞間にかかる力に異常を示す変異体の選別 以上の方法で細胞に働く機械的な力に異常を示す変異体に対し、力の制御に関する遺伝子座を同定します。
広島大学
大学院統合生命科学研究科
助教
細胞内相分離は神経変性疾患との関わりが指摘されています。本研究では、細胞内環境を再現した細胞モデルを用いて細胞内相分離と脂質膜によるミクロ空間への閉じ込めとの相関を分子拡散等の測定を介して明らかにすることを試みます。さらに、神経変性疾患にみられる細胞組成を模倣した細胞モデルを作製し、脂質膜閉じ込めとタンパク凝集形成の相関=時空間デザインを解明、疾患治療法開発等に役立つ知見提供を目指します。