上田マクロ量子制御プロジェクトは、上田正仁(東京大学大学院理学系研究科教授)を研究総括とし、2005年9月に発足したERATO研究プロジェクトです(研究期間は2011年3月まで)。
研究目的
近年、量子力学の性質を巧みに用いることにより、レーザー光を用いて原子集団を絶対零度近くに冷却する技術が開発されました。極低温の原子集団では、量子系の有する高い制御性がマクロなスケールに拡大されるため、系の性質を決定するほとんどすべてのパラメータを連続的に変化させられるようになります。
本プロジェクトでは、この大自由度系(マクロ量子物質)において、物質パラメータの系統的制御や量子状態・不確定性関係の極限操作などの様々なタイプの「量子制御」の研究を通じて、マクロ量子物質の物理の包括的理解とその応用への基盤構築を目指します。
研究体制
本プロジェクトは、(1)相互作用制御、(2)不確定性制御、(3)強相関量子制御の3つの実験グループとこれらすべてのグループに関与する理論グループから構成されます。各実験グループは、それぞれのアプローチにより、物質と光の量子状態の制御技術を極限的レベルにまで高め、マクロ量子物質の未踏研究領域に挑みます。理論グループは、すべての実験グループを理論面からサポートし、全グループがシームレスに協力する体制をとります。