独立行政法人 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(ERATO) 上田マクロ量子制御プロジェクト |
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「強相関量子制御:人工量子物質の創製」
背景と目的: そのような背景の中で本グループは、これまで物性物理の実験分野で、相互作用の強さやキャリアー密度、不純物の影響、次元性の効果などを明確に切り分けることができなかったためにその本質が解明できなかった問題を、冷却中性原子を用いて解明することを目標としています。近年冷却原子による原子物理の分野では光格子を用いた実験が盛んに行われています。光格子とはレーザー光を対向するように入射することによりできる定在波の腹または節の位置に原子をトラップすることで冷却原子を格子状に並べる技術です。この技術を利用すると冷却原子が格子状に並んだ「物質」を作ることができます。そしてこの「物質」は、光格子を作るレーザーのパラメータを変えるだけで、格子間隔、格子間の原子のトンネル確率、オンサイトの相互作用、格子の次元(1次元格子から3次元格子まで)、充填率、格子の配置(正方格子、三角格子、カゴメ格子など)といった物質の性質を決める重要な要素を容易に変えることができます。おそらく上述のすべてのパラメータを変えることができる(しかも装置のノブを回すだけで容易に変えることができる)物質はこの冷却原子の光格子しか存在しないでしょう。我々は、このとてつもなく大きな自由度を持った「物質」を真空中に作り、その物性を調べることでこれまで明確な答えが出されていない固体物理の難題に挑戦しようと考えています。
研究内容: |