第38回共生進化機構先端セミナーを産業技術総合研究所つくば中央でオンサイト開催、同時にZoom配信するハイブリッド形式で開催しました。
ウィルスの進化について東京大学医科学研究所の川久保修佑博士に講演いただきました。
日時:2024年9月27日(水)15:00~16:30
場所:産業技術総合研究所つくば中央共用講堂
https://www.aist.go.jp/aist_j/guidemap/tsukuba/center/tsukuba_map_c.html
講演趣旨:ウイルスは、感染した宿主に適応するため進化的戦略を動的に変化させる。ウイルスは宿主細胞に依存した自己複製と翻訳を行い、伝播様式の多くを他の生物に依存するため、外界とのマルチスケールな相互作用と選択圧のもとで自身の適応度を上げる方向に進化すると考えられる。そのため、進化機構の包括的な理解には分子生物学的手法に代表されるミクロスケールの実験と分子系統学や大規模ゲノム疫学調査などによるマクロスケールの情報解析の融合研究が重要である。私はこれまで、分子系統樹をベースにした情報解析により、ウイルス進化の背後にある進化的制約と方向性の仮説を立て、それらを実験的に検証するマルチスケールな研究アプローチを目指して研究を行ってきた。特に、集団遺伝学と分子系統学を融合させた手法である系統ダイナミクスの手法を用いて、植物ウイルスの進化がどのような法則に従い進行するのかを明らかにしてきた。本セミナーでは、植物RNAウイルス最大の分類群であるポティウイルス属のウイルスと、ウイルスに寄生するサテライトRNAについて、どのように誕生し、どのように世界中に拡散し、どのように多様な宿主域を獲得してきたのかについての研究成果を紹介するとともに、ウイルス進化研究のこれからの展望を議論したい。
問い合わせ先:M-ERATO-International-Seminar-ml@aist.go.jp
主催:ERATO深津共生進化機構プロジェクト
https://www.jst.go.jp/erato/fukatsu/