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第15回共生進化機構先端セミナーをオンライン開催しました。

植物−微生物相互作用の研究で知られる津田賢一博士(華中農業大学)にご講演いただきました。

講演要旨:植物は自然界で数多の微生物と共に生きている。これら植物と共に生きる微生物の中には植物に害を及ぼす病原体もいれば、植物の生長を助け外的ストレスや病原体から植物を守る有用微生物もいる。重要なことに、敵や味方となる微生物は似ていることも多く、環境によっては敵が味方になり味方が敵になる。また、これらの微生物は同時に植物に感染する。植物はそれら微生物群を適切に認識し対処しなければ自然界で生き残ることは出来ないが、一体どのようにやっているのか? 植物は植物免疫という機構を進化させ微生物を含む環境に適応している。我々の研究室で植物が植物免疫を介して微生物とどのように戦い、そして連携しているのかに興味を持っている。植物が微生物由来の分子を認識する機構や微生物が植物に与える影響については近年研究が盛んに行われてきているが、植物が如何に微生物を制御しているのかという問いに対する答えは少ない。最近我々は病原菌と有用菌そして微生物群(マイクロバイオータ)の植物による制御に注目している。孫子の兵法の一節に「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉がある。つまり植物と微生物の両者の応答を知ることで植物と微生物の相互作用―戦いと連携を理解できるのではないか?我々はオミクスや分子生物学の手法を用いて研究を進めている。また、マイクロバイオータを如何に農業へ応用していくかということにも興味を持って研究している。