【事例】現場視点の取組紹介
学校法人茗溪学園 茗溪学園中学校高等学校
個人課題研究 ~自己認識を深め、研究するという行為を血肉化する~
紹介者名:SSH推進委員会委員長 磯山 健太
1.学校の概要
茗溪学園は、1979年、当時批判されていた学力偏重のあり方と一線を画す新たな学校として、筑波研究学園都市に創立された中高一貫校です。「人類ならびに国家に貢献しうる世界的人材の育成」を建学の理念に掲げ、全人的・総合的な教育を実践しています。中学部はアカデミア・茗溪ジェネラル・ケンブリッジ国際の3コース体制で、高校部には国際バカロレア(IB)コースも設置。帰国生や留学生が集う学園寮も完備し、多様性に富む環境が特徴です。
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)第Ⅲ期の実施にあたり、「VUCA(注:先行きが不透明で予測困難な社会を表す語)となる未来において総合知をいかして活躍する『価値創造人材』の育成」を課題に、最先端の探究活動を展開しています。
2.取組の概要
本校は開校以来、生徒全員が「個人課題研究」に取り組んできました。自らの知的関心を知り、自ら問いを立て解決する研究の姿勢を身につけることを大切にしています。高1「探究基礎」では文献調査、先行研究や研究倫理の学びを通してテーマを設定します。高2では週2時間、課題指導教員の"伴走"のもと、研究構想発表、中間発表(ポスター発表)、論文執筆、成果発表(プレゼンテーション)、要旨作成、口頭試問まで行います。課題研究の指導は学年・教科問わず、すべての教員が担当します。また、多くの海外提携校とのつながりを生かし、短期留学等で日常的に来校する各国の中高生と文化的交流を行うとともに、英語での相互研究発表も盛んに実施しています。

研究構想発表会

中間発表会
3.工夫のポイント
個人課題研究においては「対話」を最も重視し、SSH第Ⅰ期及び第Ⅱ期を通して、生徒が対話によって思考を深める機会を意図的に設ける工夫を行ってきました。テーマ設定の段階では、生徒が複数の教員を訪ね、1対1の対話を重ねながら、研究の意義、実現可能性を言語化し、問いを磨いていきます。教員だけではなく、生徒同士の対話の機会も複数設けています。こうした対話の重要性は教員間でも共有され、学校文化として定着しています。
また、国際バカロレアの課題論文(Extended Essay)の実践も参考にし、研究の振り返りを重視しています。SSH第Ⅲ期からは課題研究の集大成として口頭試問を導入し、指導教諭が生徒と1対1で面接を行い、対話しながら生徒が気づいていない視点を提示することで、より深い振り返りを促すことを目指しています。全教員が高校2年生の対応にあたり、生徒は研究の意義などを深く言語化します。同時に教員も、生徒の本音や思考の深まりに触れ、自らの助言や指導を内省する貴重な機会としています。

研究成果発表会

国際交流の様子
4.取組を通じた生徒の姿など取組の成果
本校では、個人課題研究を単なる探究活動ではなく、自身の生き方・在り方と向き合う活動として位置付けています。卒業時アンケートで、学部・学科を決めるために役立った活動を尋ねたところ、さまざまなキャリア関係行事の中で個人課題研究を選択した生徒が最も多くなりました。テーマ設定から口頭試問まで、「自分は何に関心をもち、どう考え、何を社会に生かしたいのか」を問い続ける経験が、生徒の自己認識を深め、進路選択や自己実現につながっていると実感しています。



