科学オリンピックだより
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「科学オリンピックだよりvol.20」
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国際化学オリンピックに向けた、オンラインでの教育訓練

化学グランプリ・オリンピック
小委員会/オリンピック支援委員会 委員
米澤宣行教授
新型コロナウイルス感染の影響で変わったのは、大会の開催方法だけではありません。日本化学会化学グランプリ・オリンピック小委員会/オリンピック支援委員会の米澤宜行東京農工大学教授は、オンラインで実施した代表生徒の教育訓練について紹介しました。
「2020年の国際化学オリンピックに向けた教育訓練は、代表候補生徒が選ばれた2019年9月から始めました。2020年3月に代表生徒が決定し、実験指導や知識・情報の整理の仕方など合宿形式の本格的な教育訓練を始める予定でした。長年指導を続け改訂を重ねてきたこの流れが功を奏したか、 この数年日本代表は、従来苦手だった実験試験でも成果を出せるようになってきたのですが、今年の訓練は、全てオンラインに変更せざるを得ませんでした。 この試練を通して、例年代表生徒たちは高い水準の洞察力や文書伝達力を身に着け大きく成長しますが、オンラインでも可能なのか心配でした」。7月20日に行われた試験の結果は、全員が銀メダルを獲得。米澤教授によれば、「この成績の裏には、オンラインを利用して問題を出し合い議論するといった、 代表生徒たちの自主的な努力があった」とのことです。





●南山高等・中学校女子部の林璃菜子さん

この指導を受け、第52回国際化学オリンピックトルコ大会に参加した4人のうちの1人、南山高等・中学校女子部の林璃菜子さんは、「小学生の頃に炎色反応や有色イオンのきれいな写真を見て、化学に興味をもつようになりました。皆と集まって一緒に化学を学べるのを楽しみにしていたのに、 一人で勉強することになってしまい残念でしたが、ウェブ会議システムを使ってOB・OGの方や、大学の先生などたくさんの方のサポートを受けられたので、不安は感じませんでした。 試験当日は、4人全員が東京で一緒に受けることができてよかったです。閉会式はYouTubeでしたが、銀メダル受賞者に自分の名前を見つけたときには、自分の成長を実感し、支えてくださった皆さんへの感謝の気持ちで一杯になりました。 これからも化学の世界につながっていたいと思います。」と振り返りました。

支援の継続を約束

最後に、文部科学省 科学技術・学術政策局人材政策課の奥野 真人材政策課長から、「新型コロナウイルスの影響が続いていますが、 来年度以降も代表生徒の皆さんが活躍できるよう支援を継続していく予定です」との発言があり、記者会見は終了しました。