第4回JST20周年記念シンポジウム 開催レポート

第4回JST20周年記念シンポジウム受付風景
受付風景

 2016年5月29日、科学技術振興機構(JST)は「若者がつくる復興の未来図~科学技術は復興にいかに関わるべきか~」と題し、20周年記念シンポジウムを福島市のコラッセふくしま4Fの多目的ホールで開催した。これは2016年10月1日に設立20周年を迎えるJSTの記念事業の一環として企画した、5連続イベントの掉尾を飾るもので、記念シンポジウムとしては4回目。今なお震災の爪痕が残る東北の地で、今後の復興の原動力となる地元の若者たちと、現在復興に取り組んでいる多方面の関係者を交え、科学技術は復興にいかに関わるべきかを探った。


 冒頭、JSTの濵口道成理事長が、参加した高校生に向けて「1人でも、私が、オレが頑張ると思っていただけたら、本シンポジウムは成功」と挨拶。続いて来賓の文部科学省科学技術・学術政策局長の伊藤洋一氏が熊本地震に言及しながら「未来は未だ来たらずと書くが来るのを待つのではなくクリエイトするもの」と述べ、人工知能が注目されている囲碁や小説の世界を例に「未来社会を考えてもらいたい」と訴えた。また、福島県の畠利行副知事が「2020年に福島の姿を世界に発信します」と決意を表明し、達増拓也岩手県知事、村井嘉浩宮城県知事からは、ビデオメッセージで科学技術による復興への取り組みが述べられた。


科学技術振興機構理事長 濵口道成
科学技術振興機構理事長
濵口 道成

文部科学省科学技術・学術政策局長 伊藤洋一氏
文部科学省科学技術・学術政策局長
伊藤 洋一氏

福島県副知事 畠利行氏
福島県副知事
畠 利行氏

福島県立安積高校 弦楽合奏部4人による弦楽4重奏
福島県立安積高校
弦楽合奏部4人による弦楽4重奏

 今回は基調講演に先立ち、2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長の特別対談が行われた。益川氏は小沢喜仁福島大学理事・副学長の問いかけに、戦後の復興期、初めて本と出会った小学生の頃や物理や数学にのめり込んだ大学生時代の思い出を、エピソードを交えながら語り、聴衆を引き付けた。

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 基調講演は山海嘉之筑波大学教授。山海氏はサイボーグ型ロボット「ロボットスーツHAL® 」を送り出したCYBERDYNE(サイバーダイン)社長として知られており、人の脳や神経と相互作用するロボット工学の可能性を分かりやすく語った。


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 続いて5人の高校生によるスピーチ。岡田努福島大学教授と加藤怜福島大学附属小学校教諭がモデレーターを務め、宮城県古川黎明高校の須田佳小里さん、福島県立ふたば未来学園高校の日下雄太さん、福島県立安積黎明高校の渡邊侑己さん、福島県立福島高校の安斎彩季さん、岩手県立盛岡第三高校の玉木穂香さんが壇上に立ち、それぞれの復興への思いを語り、いずれの発言も参加者に深い感銘を与えた。


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 それを受けるかたちでパネルディスカッションが始まった。登壇者は、発言順に明治大学大学院の箱崎慶伍氏、京都教育大学附属京都小中学校教諭の野ヶ山康弘氏、南相馬サイエンスラボ代表の齋藤実氏、福島ガイナックス代表取締役の浅尾芳宣氏、一般社団法人KAI OTSUCHI理事長の平舘理恵子氏の5氏。高校生の発言を踏まえ、厳しい条件の中で進めている取り組みを紹介した。パネル討論は時間不足から、もう少し突っ込んだ議論ができれば、という思いを残すほどの盛り上がりを見せた。


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 最後は、福島県立安積高校の弦楽合奏部4人による弦楽4重奏で会を終えた。

 なお、この対談は「ニコニコ動画」でインターネット生中継され、全国で2万人以上が視聴した。



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