塩見(淳)パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO: 塩見 淳一郎(東京大学 工学系研究科 教授)

【専門分野】 分子熱工学

東北大学卒業後、スウェーデン王立工科大学にてPhDを取得し、東京大学へ。2017年より同大学大学院工学系研究科教授を務めている。この間、日本機械学会フェロー、日本熱電学会理事を歴任するほか、Zeldovich Medal、日本伝熱学会学術賞、日本学術振興会賞、Nukiyama Memorial Award、文部科学大臣表彰科学技術賞などを受賞。専門は分子熱工学で、熱伝導、相変化、熱電変換、熱放射、界面流体現象の基礎研究から、熱エネルギーマネージメントの応用研究までを行っている。例えば、理論・数値解析、物性測定、構造設計、機械学習の4つのアプローチを組み合わせたフォノンエンジニアリングやマテリアルズ・インフォマティクスによって、材料の機能性を革新する研究に取り組み、様々な企業との共同研究にも展開している。

創発アドバイザー(五十音順)

安孫子 聡子
芝浦工業大学 電気工学科 教授
新井 史人
東京大学 大学院工学系研究科 機械工学専攻 教授
岡田 健一
東京科学大学 工学院電気電子系 教授
尾方 成信
大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授
笠原 次郎
名古屋大学 未来材料・システム研究所 教授
川西 哲也
早稲田大学 理工学術院 教授
熊田 亜紀子
東京大学 大学院工学系研究科 教授
笹原 弘之
東京農工大学 大学院工学研究院 教授
鈴木 達也
名古屋大学 大学院工学研究科 教授
関谷 毅
大阪大学 産業科学研究所 教授
高橋 厚史
九州大学 大学院工学研究院 教授
竹内 昌治
東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授
田中 雅明
東京大学 大学院工学系研究科 教授
西脇 眞二
京都大学 大学院工学研究科 教授
長谷川 英之
富山大学 学術研究部工学系 教授
深潟 康二
慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 教授
山西 陽子
九州大学 大学院工学研究院機械工学部門 教授
若林 整
東京科学大学 総合研究院 教授
渡部 平司
大阪大学 大学院工学研究科 教授

創発研究者一覧(塩見(淳)パネル)


2023年度採択

安藤 裕一郎

(塩見(淳)パネル)

14族半導体を用いたスピン論理演算の創成
昨今、電子機器の消費電力の爆発的増大が危惧されています。本問題に対し、私は電子の内部自由度であるスピン角運動量を情報としたデバイスに注目しております。スピン角運動量の流れ(スピン流)は情報輸送自体にエネルギー消費がないため、大幅な電力削減が見込めます。但し、効率よくスピン流を生成・輸送・検出するには高度な技術が必要です。本研究ではそれらの技術を確立し、スピン流を用いた電子機器の創成を目指します。

稲田 優貴

(塩見(淳)パネル)

究極の可視化技術と非再現性を活用した革新的な活性種生成法の創出
本研究では、ランダムな高速変化特性ゆえに従来技術では測ることも数値解析することも困難なプラズマを根本的に理解し制御するために、プラズマの性状発現を司る基礎物理量が高感度かつ高速度で可視化できる連続撮影技術を開発します。そして取得した非再現的な画像データを多変量解析やモデル構築などにフル活用することで、発生頻度は非常に低いが高い活性種生成能力を持つプラズマの再現的生成法を確立します。

馬越 貴之

(塩見(淳)パネル)

赤外ナノ計測の革新:生命現象をナノ動画撮影する
本研究では、革新的な高時空間分解能を有する新しい赤外ナノ計測技術を開発します。赤外光由来の分子振動情報・化学結合情報を用いて、さまざまな生命現象を超解像でありのままに動画撮影します。大きなインパクトを与える動画を生命科学分野に提供すると共に、当該分野に多くの発見と破壊的イノベーションをもたらすことを目指します。

大森 俊宏

(塩見(淳)パネル)

細胞環境連成力学の創成
原生生物や細菌など、中枢神経を持たない単細胞生物は細胞外界の物理刺激に反応し、その運動を変化させることで様々な物理環境に適応します。それは、細胞周りの複雑な流れの中においてもロバストに生体機能を発揮する機構を生物が有していることを意味します。本研究では、環境に応じた単細胞生物の運動変容を細胞運動と物質輸送の連成問題として定式化することで、生物の環境適応機構を記述する力学理論の構築に挑みます。

木村 康裕

(塩見(淳)パネル)

場の制御による原子拡散に基づく金属ナノアーキテクトニクス
「誰もが簡単に小さなモノづくりを」を旗印に、金属3次元ナノ構造体の自在造形技術の創発を目指します。これまで化学分野に後塵を拝してきたナノアーキテクトニクス分野に力学的視点を持ち込み、力学を支配する「場」の制御によって原子拡散を操る学術基盤を構築すると共に、その学術知を産業的な金属ナノ造形技術に昇華させた金属ナノAdditive Manufacturing(AM)を創出します。

久谷 雄一

(塩見(淳)パネル)

量子コンピュータを用いた収束計算を必要としない近似流体計算
コンピュータを用いた数値流体解析において解を得るには初期値からの収束計算 (時間積分計算) が必要となります。しかし、例えば現在でも約120年前に提案されたルンゲ・クッタ法が幅広く使用されているように、未だに収束計算 (時間積分計算)は数値計算の高速化に対するボトルネックの一つとなっています。そこで本研究課題では、量子コンピュータを用いることで、無数の解候補の中から欲しい収束解のみを抽出する、これまでの常識を打ち破る計算手法の構築を目指します。

佐々 文洋

(塩見(淳)パネル)

生き物のように能動的に動く生体適合集積電子回路技術
電子回路と駆動系が一体となった、いわば"動く電子回路"と呼べる生体適合微小ソフトロボット作製技術を開発します。ロボットは独自の柔軟なアクチュエータ薄膜を半導体作製に用いられる技術で微細加工し作製します。動物細胞と同等サイズの10マイクロメートル程度のロボット製造を目標とし、個別細胞レベルでの生体-機械インターフェースや細胞手術ツール、またこれを大規模集積化した微小生物学実験装置の構築を目指します。

佐藤 佑介

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分子ロボットオペレーティングシステムの構築
分子ロボットとは、構成要素が分子レベルのデバイスで構築されたロボットです。分子デバイスの制御は化学反応に基づいた分子回路により行われますが、化学反応のみでは意図しない反応により複数の分子デバイスを制御することが困難です。本研究では、複数の分子デバイスを制御可能な、分子ロボットオペレーティングシステムの開発に挑戦します。これにより、多種多様な分子ロボットを開発するための技術シーズの創出を目指します。

柴沼 一樹

(塩見(淳)パネル)

高温クリープのマルチスケール学理確立とそれに基づく設計革新
高温クリープ現象を対象として「マルチスケールメカニズムの統合化モデル」を構築することで、ナノ・ミクロスケールの素過程からマクロスケールの材料強度の起源を定量的に説明する材料力学-結晶学-熱力学を繋ぐ新たな学理の基盤を確立します。さらに、それによるクリープ寿命の定量予測に基づく材料・機器の新規開発および既存機器・構造物の維持管理に対する革新的な設計戦略を提示します。

甚野 裕明

(塩見(淳)パネル)

ナノ粒子シンチレータが拓く次世代宇宙ガンマ線観測
本研究では、色素表面修飾ナノ粒子を活用した創発的シンチレータの開発を通じて、宇宙で柔軟にシート状展開可能な高解像度低エネルギーガンマ線検出器を実現します。ナノ粒子を色素で表面修飾することで超高効率かつ信号伝搬損失の少ないシンチレータを開発し、世界で初めて大面積展開可能なシート型ガンマ線検出器を実証することで、これまでの重く硬い宇宙放射線検出器の概念を変える破壊的イノベーションをもたらします。

杉原 達哉

(塩見(淳)パネル)

分子吸着が金属塑性変形挙動にもたらす『表面化学』の探求とその応用
本研究では、“金属材料表面へ特定の分子が吸着することによって、材料の変形挙動が著しく変化する”という現象を探求していきます。そして、この現象を理解し、制御するための理論・技術を確立することで、例えば“たった一層の分子を材料表面に吸着させるだけで、様々な金属材料の加工が著しく容易になる”といった、革新的なものづくり技術の構築を目指します。

高橋 綱己

(塩見(淳)パネル)

再構成可能な集積化分子センサアレイの創製
環境中に存在する分子群の効率的かつ高信頼な電気的識別に向けて、分子群識別における諸機能を動作時に再構成できるセンサアレイを創製します。本センサアレイではナノ材料・デバイス技術により個々の特性を動的に変調可能なセンサを1チップ上に作製・集積化し、再構成可能なセンサアレイを実現します。本センサにより多種混合分子群の高効率な識別を実現し、ヘルスケアや環境モニタリング、食品管理等の多様な分野に貢献します。

趙 漠居

(塩見(淳)パネル)

全環境適応可能な自己再構成モジュラーロボティクスの開拓
近年、汎用的な人工知能が大躍進を遂げるにつれて、その担い手であるロボットにも多様な環境に適応できる能力が求められるようになりました。本研究は形態遷移による陸空海の全環境での移動だけではなく、異なる環境特性に適応して作業行動を行うモジュラーロボットを目指します。そこで、ハードウェア・形態学・行動論の階層間の再帰的探究を通して、全環境対応型モジュールロボティクスという新しい分野を切り開いていきます。

西 駿明

(塩見(淳)パネル)

放射光で切り拓くゴム摩擦の学理創成と革新的材料開発
タイヤや靴底などに広く使用されているゴムの高摩擦化は長年の課題です。ゴムの摩擦の制御のためには、路面上の凹凸との接触・摩擦により生じる変形に伴い変化する材料特性の制御が必要です。しかし、摩擦中のゴムの変形挙動の実験的な測定は達成されていません。本研究では、NanoTerasuやSPring-8といった大型放射光設備を用いて、ゴムの変形挙動可視化を達成し、摩擦発現を最適化する材料の設計指針を確立し、革新的な材料開発を達成します。

平田 祐樹

(塩見(淳)パネル)

SAHP法による2次元ナノマテリアル合成とヘテロ構造の探究
2次元機能性原子薄膜は、数層の原子層によるシート状材料であり、通常の物質に比べ極めて特異的で優れた特性を示すことから、多くの分野で革新的な進歩をもたらすことが期待されています。本研究では、2次元機能性原子薄膜の合成技術とその実用化に向けた課題に対し、実験と計算科学を両輪に学術的に取り組むことで、ナノテクノロジーの発展に貢献すると同時に、環境やエネルギー問題を解決し持続可能な社会の実現を目指します。

藤原 邦夫

(塩見(淳)パネル)

微視的無秩序プロセスの輸送現象論
巨視的な熱流体力学における輸送現象論の考えを根底から変革し、原子スケールの本質的に非平衡な過程(微視的無秩序プロセス)において熱流体力学的な場の保存則に基づく輸送現象論の創出を行います。そして、エネルギー科学発展の根幹である材料の物性や熱流体現象(エネルギー輸送、濡れ、相変化現象等)に関して、創出した“微視的無秩序プロセスの輸送現象論”に基づき解明する新たな学術を構築することに挑戦します。

前田 拓也

(塩見(淳)パネル)

新奇窒化物半導体ヘテロ接合による二次元電子の制御とデバイス応用
新しい窒化物機能性材料と窒化物半導体の融合によって、高周波・高出力用途で用いられる電子デバイスの高性能化と新機能化に取り組みます。高い分極効果や強誘電性を有する窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)に注目し、分子線エピタキシーによる結晶成長技術の確立および界面電子輸送特性の理解と制御、電子デバイス試作に基づき革新的な高電子移動度トランジスタの実証と動作原理の理解を目指します。

松久 直司

(塩見(淳)パネル)

伸縮性共役高分子を用いた超柔軟デバイス
共役高分子は分子構造やプロセスの制御により生体のような高い伸縮性・柔軟性を示すため、次世代ウェアラブルデバイスやロボット用電子人工皮膚としての応用が期待されています。しかし、伸縮性共役高分子を用いた伸縮性半導体デバイスは、電気的な性能が実用上十分でありません。本研究では、伸縮性共役高分子を用いたデバイスのための材料・デバイス・回路の新しい基盤技術を構築し、半導体デバイスの新しい地平を切り拓きます。

矢嶋 赳彬

(塩見(淳)パネル)

ヘテロ構造の電子とプロトンが生み出す情報処理技術
センサと無線技術の進化によってサイバー空間だけではなく身の回りの現実空間の情報化が進んでいくと思われます。しかし現実空間の情報処理に従来のデジタル回路技術だけでは対応できず、現実空間との相互作用に特化した神経回路の情報処理技術を参考にすべきと考えます。本研究では、現実空間の情報を短期記憶に乗せてリアルタイム処理する神経回路技術を参考に、電子とプロトンの自由度を活用した新たな情報処理技術の構築を目指します。



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