後藤パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO: 後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 上級首席研究員)

【専門分野】 情報学

早稲田大学にて1998年に博士(工学)取得後、電子技術総合研究所(現・産業技術総合研究所)入所。2013年から産業技術総合研究所 首席研究員、2024年から上級首席研究員。
基礎研究として、ビート、メロディ、サビ等のポピュラー音楽の主要な要素の推定に世界に先駆けて成功して「音楽の自動理解」という新領域を開拓しただけでなく、その応用研究として、世界初の音楽インタフェース・サービス群を実現した実績等が高く評価され、日本学士院学術奨励賞、日本学術振興会賞、市村学術賞、FIT船井業績賞等、73件受賞。
2009~2017年にIPA未踏IT人材発掘・育成事業PM、2016~2022年にJST ACT-I「情報と未来」研究総括を兼務して、若手育成も積極的に推進。

創発アドバイザー(五十音順)

五十嵐 健夫
東京大学 情報理工学系研究科 教授
内田 誠一
九州大学 理事・副学長
川原 圭博
東京大学 大学院工学系研究科 教授
河原林 健一
国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 教授
鯉渕 道紘
国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 教授
清水 佳奈
早稲田大学 理工学術院 教授
鈴木 潤
東北大学 言語AI研究センター センター長 / 教授
中小路 久美代
公立はこだて未来大学 情報システム科学部情報アーキテクチャ学科 教授
福水 健次
統計数理研究所 先端データサイエンス研究系 教授
藤吉 弘亘
中部大学 理工学部AIロボティクス学科 教授
山岸 順一
国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授
山下 直美
京都大学 大学院情報学研究科 教授

創発研究者一覧(後藤パネル)

2024年度採択

安積 卓也

(後藤パネル)

モデルベース開発が導く自律的な設計探索と検証プロセスの革新
モデルベース開発を取り入れたノーコード技術により、自動運転やロボットなど複雑なシステム開発を誰でも簡単に行えるようにします。仮想空間でのシミュレーション環境を通じて、安全性とリアルタイム性を確保し、開発のハードルを下げることで技術普及を加速します。多様な人材の参加を促して新市場を創出し、社会課題の解決と産業の活性化を実現するとともに、開発コストも大幅に削減します。

池本 周平

(後藤パネル)

ノイズによる感覚-運動の多義性解決と利用
脳や身体でやりとりされる信号は、どれもノイズにまみれています。ノイズが生物の感覚をむしろ敏感にすることは既に知られていますが、それが高度な知覚や運動につながるメカニズムは謎のままです。本研究では、「ノイズが無くては機能しない」という極端な学習モデルと、「動き方に依存したノイズのパターン」を生む複雑なロボットを組み合わせ、ロボットによる実証を通じた生物のノイズ利用メカニズムの理解を目指します。

五十川 麻理子

(後藤パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

少ないセンサでどこでも視える、マルチモーダル被遮蔽領域計測技術
少ないセンサ数であらゆる領域を死角なく計測することを目指します。これにより自動運転の危険予測や見守りなどへの応用が期待されます。既存技術の大半はセンサが直接対象を見られる範囲を計測しますが、現実世界では物体等による遮蔽が生じて見えないことも多く、利用可能なセンサ数も限られます。そこで本研究では、異なる種類の信号を相補的に用いて、環境や目的に応じて最適な方法で被遮蔽領域を推定する技術を構築します。

上原 一将

(後藤パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

脳脊髄神経相互作用から紐解く仮想現実身体環境インタラクション
仮想現実空間における身体運動主体感を支える感覚運動情報の統合処理機構を大脳から脊髄に至る包括的な神経回路動態として捉え理解することを目指します。本成果から、多感覚運動情報の柔軟な改変を可能にし、現実の身体的制約を超えた新たな身体環境インタラクションを実現するリダイレクション手法を創出します。これにより、イマーシブメディアの次世代展開を加速し、新たなイノベーションを生み出す基盤技術を創成します。

落合 陽一

(後藤パネル)

自律創造する脱人間中心HCIの探求
自然環境そのものが人間の指示なしに自律的に機能する「計算機自然」の実現を目指します。AIが環境からシステムを構築し、エネルギーを自ら収集するメタマテリアル製デバイスや、ホログラムを使ったインターフェース技術を開発します。さらに仮想的な被験者を用いて、人間がいなくても環境自体が情報を収集・判断・行動できる「脱人間中心のHCI」を創出します。そして日進月歩のAI技術の実体への着地による革新を目指します。

笠原 雅弘

(後藤パネル)

高性能科学を実現する計算基盤
並列計算研究の世界では研究者が計算機資源を高効率で利用する「速い」並列計算プログラムを時間掛けて開発していますが、ビッグデータを用いる生物学では計算機資源より並列計算プログラムを開発できる研究者の時間の方が圧倒的に希少な資源です。そこで、本研究では「速い計算から早い計算へ」をスローガンに、研究者の時間をより高効率で利用し、科学的知見獲得を早めるための並列計算基盤ミドルウェアを開発します。

川本 裕輔

(後藤パネル)

機械学習システムのリスク分析のための形式検証技術
システムが期待どおりに動作するかどうかを数理的に厳密に検証する手法として形式検証手法が研究されており、様々なシステムの検証に利用されてきました。本研究では、機械学習利用システムのリスク対応を実施できているかを数理的に厳密に確認するための形式検証手法を確立します。特に、機械学習利用システムのリスク対応の不備を自動検証する技術を構築・ツール化し、機械学習に基づく製品やサービスの品質向上を目指します。

岸田 昌子

(後藤パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

構造不確実性と時間変化に対応する次世代グラフ信号処理
現実のネットワークは構造が不確かで時間変化し、得られるデータも不完全です。本研究では、不確実性のモデリングと動的変化の取り扱いに長けた制御理論の知見を活用し、ネットワーク上のデータ解析技術を革新します。グラフ構造の事前知識を「不確実性」として明示的にモデル化することで、曖昧な情報を活かした高精度・高効率な分析を実現し、気象観測ネットワークや通信ネットワークなど幅広い分野に新たな展開をもたらします。

熊谷 幸汰

(後藤パネル)

自由光源環境が拓く表示と撮像の新基盤
本研究は、レーザーを用いた自由光源環境システムの実現とその応用を目指します。レーザー励起光源の生成、操作、計測を統合的に実行できる光学系の開発を通して、実世界の任意の位置に独立した光源を生成し、その位置や数、明るさ、色をデザイン可能とする技術を確立します。このシステムを基盤に、光源を画素や照明光として機能させ、体積映像表示や適応的な構造化照明による撮像技術に応用します。

笹谷 拓也

(後藤パネル)

自律駆動型研究開発のため無線給電・通信ネットワーク
AIやロボット技術の発展に伴い、自律駆動型研究開発の重要性が増しています。本研究では、実験制御・データ解析基盤と計測機器を結ぶ電力と情報の無線ネットワークを構築し、従来とは大きく異なる時空間解像度でデータを収集できる実験基盤への展開を目指します。新たな無線給電・通信技術の創出や、無線計測デバイスの開発とオープン化を通じて、多様な計測原理に基づく無線計測システムを実現します。

清水 秀幸

(後藤パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

次世代創薬分子設計の情報学的フロンティア研究
医学研究の成果を患者さんに届けるには膨大な時間と費用を要していますが、本研究では情報科学を駆使し、この壁を打破します。低分子だけでなく従来の手法では難しかった中分子・高分子まで、様々な医薬品を自在にデザインする情報科学技術を確立します。量子化学と深層学習を融合した創薬プラットフォームにより、効果と安全性を高精度に予測し、創薬プロセスを劇的に効率化して未来の医療に革命をもたらします。

菅野 裕介

(後藤パネル)

身体的言語を手がかりとした包摂的なAI設計
本研究は、言葉に頼らず、視線や表情、ジェスチャーといった人間の身体的な動作をAIが理解し、自然で直感的なコミュニケーションを可能にする革新的な技術を開発します。また、このような技術を活用し、専門的な知識を持たない一般市民でもAIシステムの設計や訓練プロセスに積極的に参加できる環境を整えます。多様な人々がAIの可能性を引き出せる仕組みを提供し、AI技術の民主化と社会的受容を促進します。

高橋(斉藤) いつみ

(後藤パネル)

画像・自然言語・コードの統合理解に基づくマルチモーダルモデル
図表や論文・プレゼンテーション資料など視覚的に整った文書画像を表現するための中間的な要素としてPythonやLaTeX等のコードを導入し、自然言語・画像・コードを一体的に学習する新しい基盤モデルを構築します。コードという構造化されたシンボリックな情報と文書画像を明示的に結びつけることで、文書画像中の要素間の関係性等の意味情報の正確な理解や、高度な推論に基づく高品質な文書画像の生成を実現します。

田中 緑

(後藤パネル)

視知覚特性に基づく質感マネジメント技術の創生
カメラで撮影した画像から受ける印象が、実世界と異なって見えるという経験はないでしょうか?実世界の断片として記録された画像を通じて、実物体の豊かな質感情報を正確に伝えるためには、実物体と知覚的に等しく質感を感じさせる画像再現技術が欠かせません。本研究では、人間の質感知覚メカニズムを解明し、その科学的根拠に基づいて画像から感じる質感を巧みに操る「質感マネジメント」技術の創生を目指します。

東藤 大樹

(後藤パネル)

人と人との繋がりが拓く革新的合意形成理論
本研究では、談合や口コミなど、人と人との繋がりに着目し、人々の合意形成のための基本理論を発展させます。特に、従来のマーケットデザインと呼ばれる理論を拡張し、公平・公正で望ましい合意形成のための統一的理論を整備します。また、市民参加型投票や自律移動体の協調運行などの喫緊の事例を見据え、被験者実験によって数理モデルと人々の行動との乖離を明らかにし、整備した理論の社会実装に向けての指針を示します。

広瀬 修

(後藤パネル)

高速・高精度な関数位置合わせアルゴリズムの開発
関数位置合わせとは、2つの類似関数に対し、一方の関数の定義域を変形させることでもう一方の関数に重ね合わせる問題です。計算機を用いて関数位置合わせを自動化する際、その成否は対象となる関数の種類・性質に依存します。本研究で、関数位置合わせの適用範囲をどこまで広げられるか、その限界に挑戦します。加えて、関数位置合わせをどこまで精密に行えるか、計算時間をどこまで短縮できるか、その限界に挑戦します。

矢田 竣太郎

(後藤パネル)

専門用語辞典の自動構築による全学術分野の知の統合
高度に専門化した現代の学問では概念の産生・更新が急速で、整理が追いつきません。本研究では、専門用語を定義する少数の重要論文に着目する新たなアプローチで、専門用語辞典を自動的に構築・改訂するシステムを開発します。理工・人文社会科学に留まらず体育・芸術を含む全学問を対象に、異分野間の用語関連性も可視化することで、複雑化した学界に「世界地図」を描き、研究者間の相互理解と学問の発展過程解明に貢献します。


2023年度採択

井之上 直也

(後藤パネル)

人々が頼りたくなる自己批判的思考力を備えた言語処理機構
言語モデルは、いまや様々なAI分野の基盤となる最重要技術の一つですが、学習データにない事実を平然と生成してしまう等、信頼性に大きな課題があることが知られています。本研究では、こうした問題を根本から解消するために、メタ認知能力、すなわち自己の認知活動をモニタリングし、思考方策をコントロールする力を備えた説明可能な言語モデルの基礎理論を構築します。

大城 泰平

(後藤パネル)

多様な組合せ最適化手法を統一的に捉える離散凸性の探求と応用
現代情報社会の基盤を支える技術の一つである最適化理論は、解が連続値をとりうる連続最適化と離散値しか取り得ない組合せ最適化に大別されます。離散凸解析は、マトロイドや劣モジュラ関数における最適化理論の一般化であり、効率的に解くことができる組合せ最適化問題を統一的に理解するための枠組みを提供します。本研究は、離散凸解析の理論と応用両面における研究を通し、国産技術・離散凸解析の発展に貢献することを目的とします。

小野 峻佑

(後藤パネル)

計測データ解析の新境地を拓く近接分離型DC最適化基盤
計測対象の高度化・複雑化が進む先端科学・工学の現場において、ノイズ・外乱・欠損等を伴う計測データから所望の信号情報を解析する技術―計測データ解析―の重要性が高まっています。本研究では、Difference-of-Convex(DC)と呼ばれる最適化のクラスに着目し、多様な計測データを精密に解析できるモデリング性能と効率的かつ安定した求解性能を兼ね備えた 革新的最適化基盤を創出することで、計測データ解析にパラダイムシフトを起こします。

河原塚 健人

(後藤パネル)

身体設計-制御-動作計画の自律的成長が切り拓く次世代ロボティクス
ロボットの統合的な自律的成長戦略に切り込み次世代のロボティクス基盤を構築します。人間の介入をできるだけ減らしロボット自身が考えることで、労力を最小限に削減かつ人間が思考できる範囲を逸脱して、より良い身体設計・制御・動作計画の各コンポーネント、その組み合わせを発見します。あるレイヤでの最適化だけでなく、制御しやすい身体、動作計画しやすい制御、それらを一気通貫する自律的成長の枠組みを創成します。

小林 亮太

(後藤パネル)

メゾスコピック世論から探る人々の意見ダイナミクス
ソーシャルメディア上であるトピックに関心を持っている人々だけから作られる世論を、ここではメゾスコピック世論 (メゾ世論) と呼びます。本研究では、ビッグデータから多様な論点を抽出する技術、さらに抽出された論点に関する人々の意見状態を数理モデル化する方法論を開発します。 以上の研究を通じて、人々の意見の分極化・先鋭化という社会問題を緩和させるための基盤技術の構築を目指します。

塩川 浩昭

(後藤パネル)

整合性検証可能なグラフデータベース
グラフデータベースは複雑なデータの統合管理基盤として近年急速に普及しています。しかし、対象とするデータモデルの複雑性からデータの整合性を検証する枠組みが実現されておらず、効率的な実運用の障壁となっています。本研究では、頻出グラフ構造に着眼したデータ整合性の自動検証技術を理論・実装の両面から新たに体系化します。また、理論に基づいた飛躍的な性能向上を実現し、社会への成果展開を目指します。

塩見 準

(後藤パネル)

揮発的セキュアコンピューティング基盤
決められた処理時間やエネルギー消費量を超えるとデータが自然と消滅(揮発)する「揮発的寿命」の概念を取り入れた次世代のセキュアコンピューティング基盤を実現します。データに対する「揮発的寿命」を限定し、不正ハードウェア・プログラムが混入したコンピューティングデバイスの不正な動作を阻止するコンピューティング基盤を明らかにします。ゼロトラストな情報化社会の持続的成長を実現し、破壊的なイノベーションをもたらします。

菅原 朔

(後藤パネル)

言語知性の機能的・発生的評価基盤の構築
大規模言語モデルは多くのタスクで目覚ましい性能を見せています。しかし現在のモデルは人間が実世界で発揮するような論理的・認知的・社会的な能力を十分に備えているとは言えず、そのような能力を獲得する原理も人間と同様に明らかではありません。本研究は言語理解モデルの人間的な能力をその獲得過程まで含めて高い妥当性で評価することで、実世界で信頼できるモデルを効率的に構築することを目指します。

竹内 孝

(後藤パネル)

多様な意思決定を支える時空間基盤モデルの研究
我々の住む都市や地域の抱える課題の解決には、時勢や土地の特性に合わせた個別のアプローチが必要です。言語や画像などのデータを解析するAI技術の課題解決での活用が期待されますが、課題の固有性を考慮した予測を行うAIは未だ登場していません。本研究では、時刻と場所の情報と意思決定のデータの関係性を解析し、理論と実践に基づくAI技術の体系化と発展により、社会での多様な意思決定を支える時空間基盤モデルの実現を目指します。

舘 知宏

(後藤パネル)

つながるかたち:アート・自然の次元横断原理を計算可能とする
自然界とアートには、次元を横断して変形・組み立て・分解する原理が遍在します。本研究では、この原理を「つながるかたち」と題して探求します。「折る」「詰む」「編む」といったかたちの操作によって、粒子、繊維、曲面構造、セル構造、動的ふるまいなどが変幻自在となる原理を、芸術と科学の協働によって解明します。さらに計算製造学の観点から、人と環境の多様な要求に即時に応答し再構成可能な人工物へ応用する道筋を開拓します。

寺山 慧

(後藤パネル)

分子の未来を創る: 汎用型機能分子設計AIシステムの開発
新規な機能性分子の設計は非常に困難で、先の見えない試行錯誤と高いコストが伴います。本研究では、分子生成AIと量子化学シミュレーションの精緻な融合により、専門家でも難しかった電子状態の制御に挑戦し、望みの機能をもった分子を効率的に設計する手法開発に取り組みます。研究期間中に、創発内外の実験研究者と連携して新規機能性分子を創出するとともに、分子材料の専門家でも利用可能な設計システム開発を実施します。

鳴海 紘也

(後藤パネル)

衣服のデジタルファブリケーションパイプライン
人間にとって最も重要な人工物の1つである衣服は、多くの場合2次元の布を3次元の人間にフィット(2D→3D)させる考え方で設計・製造されてきました。本研究では、人間の3Dモデルから衣服の3Dモデルをジェネレート(3D→3D)し、3Dプリンタ・織機・ニットマシンなどのファブリケーション装置で製造するパイプラインを提案します。これにより廃材低減・構造による機能性・個人向けのカスタマイズなどを実現します。

西 羽美

(後藤パネル)

生命科学生成AIで埋める天然生物学データの隙間
本研究では、AI を用いて新規の DNA やタンパク質を生成・検証することで生物学の未解明領域を探ります。進化の過程で生き残った現存の DNA やタンパク質配列からは、過去に存在し得た配列について限られた情報しか得られません。AI によって生み出される新規配列データを通じて、タンパク質等の進化に新たな視点からアプローチするとともに、生物工学および生命情報科学にとって有用な配列資源の蓄積も目指します。

林 正道

(後藤パネル)

時空間情報の効率的な脳内処理機構の解明
脳がいかにして情報を効率的に表現しているのかを明らかにすることは、神経科学における最重要課題の一つです。私は「量」の情報表現に着目し、数やサイズや時間の情報が文脈に応じた相対的な形で、共通の神経細胞群により表現されているという新たな仮説を検証します。これにより柔軟で効率的な脳情報表現の基本原理を解明し、認知能力の拡張や、計算障がい等の克服に向けた革新的技術の開発に資するシーズ創出を目指します。

坂東 宜昭

(後藤パネル)

深層ブラインド音源分離に基づく大規模施設の音環境分析
人間や計算機による意思決定を支援するための音環境分析の基盤技術を創出します。商業施設や工場などで、人々が「どのような場面で」「どのようにふるまうか」を分析する技術を実現します。特に、盤石な数理基盤に立った真に使いやすい技術を確立するため、多チャネル混合音を用いた自己教師あり学習に基づくボトムアップ型の基盤構築と、商業施設規模の広範な音場を分析するトップダウン型の応用技術の創出を並行して推進します。

御手洗 光祐

(後藤パネル)

量子シミュレーションによって目指す量子コンピュータの実用化
量子コンピュータは特定の計算タスクを従来型のコンピュータよりも高速に実行できることが知られています。量子コンピュータが最も得意とするタスクの一つが、量子力学に従う物理系のシミュレーションです。このタスクには、素粒子物理の理解から化学反応機構の解明に至るまで、広範な分野で高い需要があります。本研究では、このための量子アルゴリズムを高度化し、量子コンピュータを実用化することを目指します。

矢田部 浩平

(後藤パネル)

数理最適化と深層学習のハイブリッド音響信号処理
近年、音響信号処理分野においても深層学習が驚くべき成功を収めましたが、それらの方法がなぜ機能するのかを理解することは容易ではありません。本研究では、数理最適化に基づいた信号処理に深層学習モデルを組み込むことで、深層学習の強力な処理能力を利用しつつも解釈が容易な音響信号処理を実現し、さらに従来の古典的な信号処理手法も組み合わせることで、幅広く利用可能な知見を得ることを目指します。

横井 祥

(後藤パネル)

意味とデータとモデルを繋ぐ言語幾何学の創出
言葉の持つ多種多様な「意味」の情報が、テキストを用いて学習したモデルの内部でどのように保持されているのかを表現するための、新しい数理基盤を構築します。とくに、意味に関連する諸概念・テキストデータの持つ統計量・モデルの内部表現の幾何的な構造の三者を繋ぐための新しい理論を構築します。またこれにより、ブラックボックスモデルに対する解釈性を上げ、機能や知識の追加や削除を安定して実現するための汎用的技法を提供します。



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