グンパネル
創発PO・創発アドバイザー一覧
創発PO: 龔 剣萍(北海道大学 先端生命科学研究院、WPI-ICReDD 教授)
【専門分野】 高分子材料、ソフトマター、生体材料
中国浙江大学卒業後、茨城大学、東京工業大学を経て、1993年北海道大学へ。2003年より北海道大学教授を務め、2016年には北海道大学 GI-CoRE ソフトマターステーション長、2018年より北海道大学化学反応創成研究拠点(ICReDD) 主任研究者・教授に就任。この間、高分子学会の代表理事(副会長)など役職を歴任。高分子学会賞、文部科学大臣表彰・科学技術賞、DSM マテリアルサイエンスアワード、日本化学会賞、米物理学会 Polymer Physics Prizeなどを受賞。専門は高分子材料で、生体に似た高い機能性を持つ新規ゲル材料の開発と、その機能の発現機構解明に取り組んでいる。一般的なソフトマテリアルの強靭化原理である「犠牲結合による高靱性化」の原理を確立するとともに、多様な高靭性ソフトマテリアルを創出し、顕著な業績をあげている。
創発アドバイザー(五十音順)
- 秋吉 一成
- 京都大学 医学研究科 特任教授、名誉教授
- 有賀 克彦
- 物質・材料研究機構 ナノアーキテクトニクス材料研究センター 特命研究員
- 大塚 英幸
- 東京科学大学 物質理工学院 教授
- 小松崎 民樹
- 北海道大学 電子科学研究所/化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD) 教授 / 主任研究員
- 佐藤 敏文
- 北海道大学 大学院工学研究院 教授
- 陣内 浩司
- 東北大学 多元物質科学研究所 教授
- 杉野目 道紀
- 京都大学 大学院工学研究科 教授
- 関 修平
- 京都大学 大学院工学研究科 教授
- 辻井 敬亘
- 京都大学 化学研究所 教授
- 林 潤一郎
- 九州大学 先導物質化学研究所 教授
- 増渕 雄一
- 名古屋大学 大学院工学研究科 教授
- 山口 茂弘
- 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授
- 山本 希美子
- 東京大学 大学院医学系研究科 准教授
- 吉澤 一成
- 京都大学 福井謙一記念研究センター 研究員
創発研究者一覧(グンパネル)
2025年度採択
(グンパネル)
ナノ表面・界面の構造-機能・物性解析
植物のもつ高分子複合体(リグノコンプレックス)は、様々な機能・物性によって、植物と周囲環境の界面を制御しています。本研究は、試料を急速凍結して成分位置を固定し、表面から深さ方向への成分分布をナノレベルで測ります。同じ場所で複数の分析を行い、どの場所のどんな成分が、植物の機能・物性に効くのかを見つけ、新しい材料の設計指針となるシーズの創出を目指します。
(グンパネル)
帯電した水界面系の物性解明と機能設計
水と気体の界面を豊富に含んだ気泡分散系や微小液滴系は洗浄機能や化学反応促進効果があるとされ注目を集めています。しかし、水界面の電荷符号や帯電機構ですら未解明の問題です。本研究では、気泡分散系と微小液滴系の界面電荷を計測と理論予測を統合することで、水界面の機能を界面電荷に基づいて設計可能とする新しい界面物理化学原理の創出を目指します。そして環境にやさしい反応制御という技術シーズを提示します。
(グンパネル)
生体分子凝縮体環境における分子集合ダイナミクスの学理構築
生体分子凝縮体は、細胞内分子が高密度に集まり、分子輸送や反応を担う動的な液滴状の場です。本研究では、凝縮体の界面に着目し、超分子集合体を形成することで凝縮体の機能を制御することに挑みます。凝縮体モデル環境における分子集合ダイナミクスを解明する基盤技術を開発し、超分子集合体の設計指針と機能発現に関する学理を構築することで、細胞システム操作技術への貢献を目指します。
(グンパネル)
タンパク質の化学改変による光エネルギー変換システムの開発
化石燃料に依存しない持続可能社会の実現には、場所や地域によらず利用でき、高度な製造技術を必要とせず、低エネルギー密度の太陽光から水素を効率的に生み出すエネルギー変換系が求められています。本研究では、光捕集、電荷分離、触媒反応という天然光合成の要素を、化学的に機能を組み込んだ人工タンパク質により再構築し、水の完全分解による水素生成を可能とする新たな光エネルギー変換システムの開発をめざします。
(グンパネル)
立体骨格から創り上げるキラル科学
キラル科学は主に、複雑な機能を示す生体分子まで情報を運ぶ不斉合成や分子認識へ着目し、分子量あたりの立体情報が豊富な対称性の低い分子を用いてきました。近年では、キラル対の情報を新しい自由度として活用するキラル物性の科学が重要性を増しています。そこで本研究では、高強度で単純な信号を与えるべく、剛直かつ対称性の高いキラル立体骨格に着目し、物性発現に適した新しい物質基盤の確立に取り組みます。
(グンパネル)
高スピン偏極を伴う光波長変換材料の創製
スピン偏極とは、電子スピンの向きが特定方向に偏って分布する状態を指します。本研究では、光励起により高いスピン偏極を有する励起状態を形成可能な希土類錯体を開発します。このスピン偏極励起状態はキラル環境下における希土類イオン—配位子間のエネルギー移動を介して形成され、長年達成が困難であった円偏光波長変換を用いた応用の実現に寄与するとともに、スピン選択的励起化学反応への展開が期待されます。
(グンパネル)
X線動態計測で拓く生体高分子機能の解明と臓器保存技術の創出
臓器や細胞の低温保存は、氷晶形成と低温損傷が大きな障壁です。本研究は、氷晶結合タンパク質の作用機構を独自のオペランドX 線動態計測で定量し、氷晶形成前駆体の兆候を検出して保存条件を最適化し、生体組織や臓器の長期保存技術の創出につなげます。
(グンパネル)
超分子レオロジーの開拓に基づく新しい材料設計論
非共有結合に由来する動的な結合を持つ超分子系は、その刺激応答性や分解性から、生体材料や従来のプラスチックの代替材料として期待されています。本研究では、そのような材料群に対する力学を記述する超分子レオロジーの開拓を目指します。ここでは、ミクロな相互作用に立脚し、力学を支配する動的構造を記述するレオメータをデジタル空間に構築します。それを基盤として、超分子の機能を理解/設計するための学理を創出します。
(グンパネル)
金属結合の光開裂による―電子酸化還元触媒サイクル
触媒反応は医薬品、電子機器、衣類、建材、肥料などの多岐に渡る製品を効率的に製造する上で欠かせない化学反応です。従来、触媒反応は主に熱エネルギーを用いて行われて来ました。本研究では、これまで利用されてこなかった可視光エネルギーを用いることによって、これまで不可能であった化学反応や、これまでにない効率的な製造方法を可能にする新しい触媒反応の開発を行います。
(グンパネル)
高速有機りん光の学理構築と展開
いま社会で活躍している有機分子の発光機能はほとんどが蛍光ですが、実はもう1つ、りん光という隠れた発光機能があります。りん光は、発光効率はまだ蛍光に劣っていますが、独自の様々な機能をもっています。本研究では、その独自機能を実用的に利用可能にするため、りん光の高速化を実現する合理的な分子設計の確立と応用展開に取り組みます。これによって光機能を土台から拡張・多様化し、新たなシーズ創出を目指します。
(グンパネル)
無水糖の立体自在制御が切り拓くバイオマス化学の新展開
バイオマス資源は石油由来資源にない複雑な構造情報を持ちながら、多くの場合、そのポテンシャルが活かされる(保持される)ことなく、樹脂化されています。本研究では創薬科学研究で見出されたバイオマス分子の立体化学の自在制御という独自技術を用いて、多彩なバイオマス分子を網羅合成するとともに、それらを高度に配列したバイオマスポリマーを創製することで、機能性と持続可能性を併せ持つ次世代樹脂の開発を目指します。
(グンパネル)
超酸性不斉有機分子によるカルボニウムイオンの制御
これまで制御不可能と考えられてきたC–C結合形成を触媒的に制御することで、炭素骨格構築の新たなパラダイムを打ち立てます。独自に設計した新規超酸性不斉有機分子群で、既存触媒では到達し得なかった反応経路を開き、C–C結合の開裂と形成を自在に操る不斉触媒反応の開発を目指します。本研究により、ヘテロ原子や不飽和結合に依存しない、理想的かつ真に直接的な炭素骨格構築法が実現し、有機合成化学の常識を刷新します。
(グンパネル)
歪み・縮環を駆動力としたカーボンアーキテクチャの創発
本研究では、輪っか状の分子の形や結合状態を精密に制御することで、新しい特性が生まれるしくみを明らかにします。特に、分子が曲がったりねじれたりすることで現れる機能に注目し、その振る舞いを体系的に調べます。これらの知見を基に、将来の多様な機能性材料へと展開し得る基礎的な道筋の構築を目指します。
(グンパネル)
超音波マイクロレオメータの創発とメソスケール物性計測の開拓
近年、様々な分野で高分子が形成する柔らかい物質が注目されています。本研究では、超音波技術を用いて、これらの物質の物性を非接触で傷つけることなく計測する手法を開発し、従来困難であった100 nm-10 μmという微小スケールでの計測を実現します。また、この計測基盤を生命現象に重要な生体高分子液滴の物性計測に適用し、それらの物性と生命現象との関わり合いを生物物理的な側面から解明することを目指します。
(グンパネル)
励起エネルギー操作に基づく人工光合成プラットホームの創発
人工光合成と呼ばれる太陽光エネルギーを用いた分子変換では、反応に用いる電荷の生成頻度およびエネルギーは太陽光密度および波長分布により制限されるため、例えばCO2をアルコールやアルカンへと変換する反応を太陽光で引き起こすのは容易ではありません。本研究では、励起エネルギーを「集める」「増幅する」仕組みを導入した機能集積型光触媒を開発し、電解反応でないと困難だった高難易度光分子変換反応の実現を目指します。
(グンパネル)
典型元素を活用した付加重合モノマー設計が創発する高分子材料革新
本研究では、多彩な典型元素の特性を活かした連鎖重合系の開発という着想に基づき、ポリマー分子骨格の飛躍的多様化を通じて革新的高分子材料を創出します。より具体的には、様々なビニルポリマーの一次構造を自由に操る合成法の開発により結晶化挙動の自在制御を行うほか、ポリアセチレン主鎖上への多彩な元素導入による電子特性の制御、元素による活性種安定化を鍵としたモノマー-ポリマー間の相互変換技術を開発します。
(グンパネル)
超低原子価炭素のケミストリーと機能創発
本研究では未開拓な超低原子価炭素種に着目し、その発生法を確立するとともに、活性種の特性を活用した方法論の開発および機能性分子の創出を行います。稀有な化学空間を占有する分子群を創製し、「つなぐ・はがす」といった分子操作を可能とする新規システムを構築します。基礎研究に立脚して、新たな反応制御法から炭素骨格の創出、機能発現に至るまでを統合的に展開し、生命科学分野の発展に資する分子技術の創製を目指します。
(グンパネル)
連続電子移動が拓く未踏分子変換の創発
本研究では、連続電子移動という新たな分子設計指針に基づき、温和な条件下で高反応性と官能基の位置選択性を同時に実現する化学変換法の確立を目指します。本手法により、生体高分子の部位特異的修飾や残基選択的変換、従来困難であった未踏化学種の創出を可能とし、反応効率の向上と副反応の抑制を両立する革新的分子変換技術を開発します。さらに本技術を高分子へ展開し、創薬や材料科学を含む幅広い分野への応用を実現します。
(グンパネル)
ケミカル抗体によるがん創薬変革
化学合成で安価に製造できる、抗体模倣分子「ケミカル抗体」の技術基盤を構築します。この技術により、急成長中の高価な次世代抗体(抗体薬物複合体や二重特異性抗体)を代替し、より高活性かつ安価な医薬を創出します。さらに、ケミカル抗体のターゲットを、従来の抗体医薬では到達できなかった細胞内空間や周囲細胞の中へと拡張し、がんの多様な治療抵抗性を克服する革新的治療薬の実現を目指します。
(グンパネル)
核酸集合反応を利用したその場構築型核酸医薬の開発
本研究では、特定の細胞内でのみ核酸の自己集合反応を誘起し、疾患の原因となる分子の機能を選択的に阻害することで、副作用の少ない医薬品の創出を目指します。本技術により核酸医薬の適用範囲を大幅に拡張し、従来の治療法では対応が困難であった難治性疾患に対する革新的な治療戦略の確立を目指します。
(グンパネル)
中分子の構造ダイナミクス設計への挑戦:カメレオニックペプチドの創出
天然由来の大環状ペプチドの中には、環境に合わせてその3次元構造をダイナミックに変化させることで、優れた生理活性を発揮するものが存在します。本研究では、このようなカメレオニックな構造変化を示す大環状ペプチドの構造基盤を理解し、優れた生体機能を発揮する中分子の自在設計を実現することに挑戦します。そして、細胞内タンパク質間相互作用阻害剤の創出など創薬における革新を目指します。
2024年度採択
(グンパネル)
タンパク質と核酸を融合するペプチド核酸(PNA)研究
ペプチド核酸(PNA)は、人工核酸でありながらペプチドの性質も併せもつ特異な分子です。本研究では、これまで人工核酸として認識されていたPNAを、核酸とペプチド・タンパク質をつなぐ架け橋として再定義し、新たな研究領域を創出します。核酸とタンパク質という全く異なる二つの生体高分子を融合し、新たな遺伝子工学・タンパク質工学の展開を図ることで、生命現象の解明から創薬までの幅広い分野への貢献を目指します。
(グンパネル)
ナノエレクトロニクス分子触媒の創製
化学反応における熱効果と電子効果を電気的な刺激を用いてオンデマンドに制御する触媒技術を創出します。これを実現すべく、分子性触媒と無機固体材料との間で円滑な熱伝達と電子伝達のための方法論を開拓します。既存の化学プロセスに比べて圧倒的な省エネルギー化や高選択的反応を目指すとともに、分子構造の連続的な変化を伴う触媒反応機構の全容解明に取り組みます。
(グンパネル)
求核付加反応の制御が拓く機能性高分子材料の創製
本研究では、ビニルモノマーへの触媒的な求核付加反応の制御を応用した新しい精密アニオン重合を開発し、機能性高分子材料の創製を目指します。可逆的活性化に基づく重合制御や立体構造制御を確立することで、ビニルポリマーやβ-ポリペプチド材料において、従来法では困難であった自在な構造設計を実現します。これにより、高分子化学の新たな学理を構築し、持続可能な社会に貢献する革新的機能性材料の創出を実現します。
(グンパネル)
位置特異的な活性種発生が拓くペプチドの自在修飾法
ペプチドやタンパク質は、さまざまな生命現象に関与する構造であり、これらを自在に構造改変できれば、新たな医薬品の創出や標的への輸送法の開発、生体材料の創製など、多岐にわたる波及効果が期待できます。しかし、多数存在する反応箇所の区別の難しさが課題でした。本研究では、ペプチドの末端の1か所のみで精密かつ多彩な変換を行う方法論を確立することで、これらの応用研究にブレークスルーをもたらすことを目指します。
(グンパネル)
非ベンゼンπ電子系に宿る双安定な電子状態に基づく機能創発
π電子系は有機材料の基本単位であり、ベンゼン環で構成された分子系が主役となってきました。一方、本研究では5員環、7員環といった非ベンゼン骨格に着目します。非ベンゼンπ電子系は、複数の電子的性質が共存する双安定性を持ち、既存の系では実現できない性質発現が期待されます。双安定な電子状態を実現する設計指針の確立、統一的な合成モデルの構築を通じ、最終的には次世代機能性材料・反応試剤として活用します。
(グンパネル)
スピン間相互作用から創発する有機開殻電子系の科学
有機化学は分子の構造と性質の関係を解き明かしながら魅力的な物質を創出してきました。本研究では複数のスピン状態を取ることができる特性をもつ有機物に着目し、これまで注目されてこなかった有機物がもつスピンの状態と性質の関係を解明していきます。さらに、スピン状態の相互変換が起こることを利用した機能性の開拓や新しいスピン状態制御法の開発を通じて、有機物を理解する新たな視点と新たな物質探索空間を創発します。
(グンパネル)
多階層の物理化学量を計測する機能化量子センサの開発と応用
細胞内の温度や粘性といった目に見えない物理化学的な環境をリアルタイムに測るために、量子センサとして機能するナノダイヤモンドを使った新技術を開発します。この技術を活かし、細胞内の物理化学量の変化がどのように組織や個体レベルの生命現象に影響するのか、階層を超えて明らかにします。新しい生命現象の発見に挑戦し、再生医療に新たな視点をもたらす基盤技術を構築することを目指します。
(グンパネル)
ゲノムスケールに迫る長鎖DNA化学合成技術の革新
DNA鎖の化学合成は、ゲノム合成や細胞設計といった次世代バイオ技術を支える基盤技術です。しかし現在の合成法では、200塩基を超える長鎖DNAの化学合成が困難であり、イノベーションを阻む大きな障壁となっています。本研究では、独自のDNA鎖伸長反応を基盤に、ゲノムスケールに迫る長鎖DNAの自在な化学合成技術の創出を目指します。
(グンパネル)
高分子網目の構造均一性の精密解析と極限化
高分子鎖の網目からなるゴムやゲルなどの架橋高分子材料の物性は、網目の「つながりかた」の均一性に左右されます。本研究では、つながりかたの均一性を定量する手法を開発し、さらに鎖長のばらつきやトポロジカル欠陥など、これまで解消が困難であった欠陥を解消する新しい設計戦略を確立します。高分子網目の均一性を捉え制御する技術により、架橋高分子を「自然にできるもの」から「自在に創るもの」に変革します。
(グンパネル)
ホウ素化学が拓く化学空間と未踏分子医療技術の創発
ホウ素は炭素と強固な結合を、窒素や酸素と動的な結合を形成し、安定かつ一般に毒性の低い有機ホウ素化合物を作ることができます。そのため、治療や診断へのホウ素の利用が期待されているものの、その実用例は極めて限定的です。この研究では、独自の分子設計と化学合成技術により、高機能な有機ホウ素治療薬・診断剤・創薬骨格を創り出し、元素の特性に立脚した新たな医療技術を創出することを目指します。
(グンパネル)
sp2リッチ第4級アンモニウム塩の化学
本研究では、sp²炭素を多く含む第4級アンモニウム塩の新合成法を開発します。従来法では合成困難だった安定カチオン性分子の創出により、固体電解質や高分子材料への応用が期待されます。さらに未知分子群の構造と物性を解明して分子設計の指針を示すとともに、合成自由度を飛躍的に高めます。これを実現するためのコンセプトである、アンモニウム塩を反応中間体として利用する「アンモニウム塩変換」の有用性を証明します。
(グンパネル)
革新的糖タンパク質合成法の創発
糖タンパク質は免疫や感染に関わる重要な生体分子ですが、これまでは糖鎖とペプチド(=短いタンパク質断片)を何度も連結する煩雑な方法で合成されてきました。本研究では、大腸菌から産生可能な全長タンパク質に対して1工程で糖鎖を導入して均質な糖タンパク質を合成する、革新的方法を開発します。本研究は、合成化学により糖鎖生物学と医薬学を強力に推進し、糖タンパク質を基軸とした創薬イノベーションの創出に寄与します。
(グンパネル)
ソフトマテリアルによる三次リンパ組織形成の人工制御
近年、がんや慢性炎症組織に形成される異所性リンパ組織(三次リンパ組織)が、予後や病態に影響を及ぼしていることが明らかになってきました。本研究では、機能性リポソームやハイドロゲルなどのソフトマテリアルを用いて、がんや自己免疫疾患に対して適切な免疫応答を誘導するための三次リンパ組織を、体内で人工的につくり分けるための技術を確立することで、難治性疾患のための革新的治療・予防技術の開発を目指します。
(グンパネル)
化学と進化によるmRNAのリデザイン
mRNAは遺伝子発現技術として期待されていますが、発現の持続性や安定性などの課題があります。これまでの研究で、配列や塩基、キャップ構造といったmRNAのパーツに対する研究がなされてきました。本研究では、これらの要素とは別に、新たな「カタチ」を持つmRNAを作り出し、これまでのmRNAの持つ課題を克服していきます。
2023年度採択
(グンパネル)
全フッ素化分子の合成と機能開拓
フッ素は特異な原子であり、化合物に導入するとその性質を大きく変えることが知られています。また、含フッ素化合物は熱や光に対する安定性が高く、既に様々な材料に活用されています。研究者は、フッ素ガスを用いて有機化合物にたくさんのフッ素を導入する独自の技術を有しています。本提案研究では、この手法を駆使して前人未到の化合物群を作り、新たな科学・技術のシーズを発見することを目指します。
(グンパネル)
触媒的臭素化が導く高感度細胞系解析
生体分子同士の相互作用の解析は生命機能の解明や創薬などにつながる重要な技術です。この研究では、分子触媒と光の利点を活かした化学反応ツールを創出し、細胞系の特定の場所に存在しているタンパク質に狙ったタイミングで印をつける反応技術を開発します。印には臭素を利用します。臭素は同位体が豊富、かつ原子が重いため質量分析や光触媒作用にユニークな性能を生み出します。それらを利用して高感度な解析法を開発します。
(グンパネル)
層状液晶相を活用した剛直高分子の垂直配向制御に基づく機能創発
層状液晶相の特性に着目したボトムアップ手法に基づき、従来は困難であった剛直高分子が垂直に配向した大面積フィルムを,液晶性前駆体を経由して作製する手法を確立します。これにより熱物性(熱膨張率,熱拡散率)、誘電物性(誘電率,誘電損失)、電気伝導性などの諸物性を、機能-物性相関の理解に基づいて自在に制御し、技術革新に資する柔軟性,高機械強度,高耐熱性と機能性を兼備えたフィルム材料の創出を目指します。
(グンパネル)
遷移金属原子からなる環状電子系の芳香族性解明による分子性材料の創発
本研究では十数個の金属原子を環状にならべることで、金属原子のみからなる環状電子系の創出を目指します。ベンゼンが芳香族性により安定なように、芳香族性によって安定化することで、未踏の金属のみからなる環状分子性材料を創出することが本研究の特徴です。芳香族性の発現原理を明らかにする基礎学問と、電子状態の能動的な制御により機能を創出する応用研究の両面から金属のみからなる環状電子系の機能の解明に取り組みます。
(グンパネル)
Elucidating Physical Communication in Bacterial Communities to Direct Self-Assembly
細菌の指向性自己組織化に関わる物理的相互作用の解明
細菌の行動は、環境から人の健康まであらゆるものに影響しています。細菌は、集団を形成し、細胞間の情報伝達によって協調性を示します。しかし、その集団行動の秩序に対する理解は進んでいません。本研究では、集団を支配する「デザインルール」を解明することで、集団の構造および機能を制御することを目指しています。その制御技術は、微生物生態学、バイオレメディエーション、合成生物学、材料科学などへの応用が期待されます。
(グンパネル)
形状記憶が拓く生命システム操作技術
本研究では、形状記憶高分子(SMP)の構造力学的特性をダイナミックに変化できることに着目し、細胞内力学状態を自在に操作可能な細胞操作技術を確立します。SMPが織りなす構造力学機能を極限まで深化させ、「力」を介した細胞/生命システム操作技術の開発を目指します。材料による細胞-組織-臓器の多階層におよぶ生物学的機能操作は、ライフサイエンスの幅広い分野にインパクトをもたらす技術革新を創出できます。
(グンパネル)
離合集散を繰り返す超分子ヒドロゲル材料
細胞骨格は外部エネルギーを利用し、伸長・収縮を繰り返す非平衡ダイナミクスを示すことで、多彩な生体機能を発揮します。一方で、細胞骨格のように離合集散を繰り返す人工分子システムは未踏です。本研究では、人工分子からなる超分子ファイバーを自律的に離合集散させる化学技術を開発します。この化学技術をヒドロゲル材料へ展開することで、生体材料応用に資する非平衡ゲルエンジニアリング技術のシーズを創出します。
(グンパネル)
安定超分子群の開発とその機能制御
非共有結合性相互作用を用いた超分子化学的な物質創製により、緻密な構造体を高収率で構築することが可能です。一方、この手法では可逆的な結合を用いているため、安定な構造体を得ることは本質的に困難です。本研究では、速度論的かつ熱力学的な制御に基づき超分子群を安定化させる一般的な方法論を開拓し、様々な条件下でも安定に存在、作働可能な材料へと引き上げ、超分子化学を実学へと昇華させるための学理を構築することを目的とします。
(グンパネル)
高分子ゲルの普遍的熱力学・動力学・破壊力学の構築
ゼリー・ソフトコンタクトレンズなどのゲルは、不均一な高分子網目構造を持つために、精密な科学的理解が困難でした。本研究では、制御性が高く均一な網目構造を持つ「テトラゲル」をモデル物質とすることで、従来は不可能であった精緻なレベルで、ゲルの熱力学・動力学・破壊力学の普遍的な支配法則を解明 します。その結果、多次元的なニーズを満たす材料をオンデマンドで作製する革新的な材料設計システムが構築されます。
(グンパネル)
人工ナノポアによる合成高分子の超精密構造解析
私たちの生活は合成高分子(プラスチック)に大きく依存しています。しかし、現代の科学技術ではこれら合成高分子の構造を精密に解析することは不可能です。そこで本研究では、生命科学の分野で既に実装化されているナノポアシーケンス技術に倣い、私が培ってきた機能性分子の開発に関する知見を活用することで、合成高分子の超精密構造解析をできる「インバート・ナノポア」を開発することを目指します。
(グンパネル)
結晶性全分子ギア構造体の創成と機能開拓
本創発研究では、未だ誰も手にしたことのない結晶内のすべての分子が互いに連動して回転型運動をする「全分子ギア構造体」を開発します。また、この構造体の多様化を行い、固体内で分子運動の効果を最大に出せるプラットフォームを構築します。さらに、この構造体に外部刺激応答性を付与し、固体内のダイポール配列の連続的制御に伴う新規な電荷移動特性や発光特性の開発を行います。
(グンパネル)
4回対称ナノグラフェンを用いた二次元有機構造体の創出
ヘテロ[8]サーキュレンは、ナノサイズのグラフェン様化合物としては珍しい4回対称性を有する化合物であり、二次元平面に並べることが可能な正方形のパネルとみなすことができます。このヘテロ[8]サーキュレンを基盤とした伝導性二次元有機構造体、特に共有結合性有機構造体(COF)を創出し、破格の伝導特性の発現とヘテロ元素に基づくポスト機能化により、触媒・電池・光学素子などの新材料のシーズ創出に挑みます。
(グンパネル)
多重論理ゲートに基づいたインテリジェントPET-RAFTの創発
可視光、生化学的シグナル応答性光触媒および細胞膜・トランスポーター透過性反応基質からなる多重論理ゲートにより生化学的シグナルに自律的に応答するインテリジェント重合法(iPET-RAFT)を実証し、細胞・局在選択的に高分子を合成する技術を確立します。本技術により新たな学術領域『細胞内高分子化学』を創発し、生命科学・組織工学・再生医療・細胞治療分野において人類に質する革新的な細胞操作技術とすることを目標とします。
(グンパネル)
エントロピック分子集合体による新たな材料デザイン方向性へ
材料の構造を分子レベルで制御し、新しい機能を引き起こすことは材料化学のミッションです。近年、分子集合体という材料群が注目を集めて、秩序性の高い分子集合体の形成が世界中に目指しています。本研究では、材料化学の潮流に逆らい、エントロピック分子集合体という新しい材料デザインコンセプトを開拓します。そして、理論化学と数学を横断するアプローチを利用し、低い秩序性による新しい機能を発生できるか解明します。
(グンパネル)
発想の逆転が拓く8の字型π共役分子の機能創発
これまで有機化学は標的分子の部分構造を逐次的に組み上げるボトムアップ型合成戦略を基盤として発展してきました。これに対し本研究では、「分子骨格内部における結合開裂」という従来とは真逆の発想に基づき、8の字型π共役分子という3次元にねじれたキラルな分子を簡便に合成する技術を開発するとともに、その構造特異性を活かした機能開拓を行います。これにより有機化学分野における新潮流を開拓します。
(グンパネル)
多孔性結晶による革新的高分子認識・分離・分析技術の開発
多孔性結晶化合物が有するナノサイズの細孔(穴)を利用することで、従来の技術では難しかった高分子化合物の精密な構造認識を達成し、革新的な高分子分離・分析技術を創出します。様々な合成高分子や生体高分子の混合物から特定の構造(モノマー配列、立体規則性、欠陥構造等)を持った分子のみを分離・検出・抽出する新手法を開発し、材料、医療分野から情報科学分野に至る幅広い領域で我々の生活を一変させる破壊的イノベーションの創出を目指します。
(グンパネル)
荷電π電子系のしなやかな構造緩和を活かした近赤外光技術の創発
本研究は、構造緩和を通じ、特異な近赤外吸収および蛍光特性を発現する荷電π電子系を創製し、その光ソフトマテリアルの創出への展開を目指すものです。これまでに開発したアズレンやアゼピン、ホスフェピニウムといった自己組織化や、励起状態において構造変化を起こす分子の改良を通じ、高輝度発光を示すフィルムや細胞染色剤の開発、医療における課題などに取り組みます。また、量子化学計算による光機能発現のメカニズム追究を通じ、開発した技術の深化に挑みます。
(グンパネル)
細胞内の分子濃度をin situで検出する有機マイクロレーザーの開発
細胞とは無数のタンパク質や分子を内包する小さな反応容器であり、ここで発現している分子の濃度は時々刻々と変化し続けています。しかしながら、その動的に変化する分子の濃度を細胞の内部で精密に測定することは未だに困難です。本研究構想ではこの限界を超えるべく、「生体親和有機マイクロレーザー」という新しい原理の光プローブを提案します。さらにその優れた定量性を活かし、細胞が秘める新たな知の発見に繋げます。
