古原パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO: 古原 忠(東北大学 金属材料研究所 教授)

【専門分野】 金属組織学、鉄鋼材料学、相変態論

京都大学で修士課程修了後、カーネギーメロン大学大学院工学研究科博士課程修了。Ph.D(金属工学・材料科学)。京都大学にて助手、助教授を務めた後、2005年より東北大学 金属材料研究所 教授に就任。日本金属学会 副会長、日本熱処理技術協会 理事、日本鉄鋼協会 会長などを歴任。2020年4月から2023年3月まで、金属材料研究所 所長を務める。 構造用金属材料の組織と特性の制御を目的として、金属の相変態、析出、再結晶における微細組織形成の基礎的解明、熱処理による高強度化設計の原理確立、結晶界面などサブナノ領域の局所構造・組成制御などの研究を行う。日本金属学会 村上記念賞、谷川・ハリス賞、日本熱処理技術協会 学術功績賞「林賞」、日本鉄鋼協会 学術功績賞、PTM2022 Hillert-Cahn Award、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)など多数の賞を受賞。

創発アドバイザー(五十音順)

植村 卓史
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 教授
榎 学
東京工科大学 片柳研究所 教授
折茂 慎一
東北大学 材料科学高等研究所 所長
笠田 竜太
東北大学 金属材料研究所 教授
須藤 祐司
東北大学 大学院工学研究科 教授
多々見 純一
横浜国立大学 大学院環境情報研究院 教授
玉田 薫
九州大学 先導物質化学研究所 副学長・主幹教授
福岡 淳
北海道大学 触媒科学研究所 特任教授
細田 秀樹
東京科学大学 総合研究院 副研究院長・教授 / 未来産業技術研究所 所長
松永 克志
名古屋大学 大学院工学研究科 教授
宮内 雄平
京都大学 エネルギー理工学研究所 教授
村上 恭和
九州大学 大学院工学研究院 主幹教授
森 孝雄
物質・材料研究機構 ナノアーキテクトニクス材料研究センター 分野長
森田  一樹
東京大学 大学院工学系研究科 教授
湯浅 新治
産業技術総合研究所 エレクトロニクス・製造領域 上級首席研究員

創発研究者一覧(古原パネル)

2024年度採択

川西 咲子

(古原パネル)

次世代2D混晶半導体の領域創出
二次元的な結晶構造を有し、かつ、その二次元面内の性質が方向により異なる半導体には、新たな機能が期待されており、その機能は混晶により更に高められます。本研究では、それら混晶の高品質単結晶を独自技術で作製します。これにより未だ誰も目にしていない異方的な性質とその起源の全貌を解明し、その特異な性質をフル活用した革新的エレクトロニクス、オプトエレクトロニクスデバイスへと展開します。

川脇 徳久

(古原パネル)

金属微粒子の原子精度設計に基づく触媒反応素過程の完全制御
原子精度にて精密に合成が可能な粒径1nm程度の超微細金属粒子は次世代ナノ材料として、特に触媒分野で広く研究されています。全体構造に加えて、反応活性点を原子精度にて精密に制御できれば、触媒反応経路の自在操作が可能となり、副反応が生じない高活性・高選択な触媒反応系を構築することが可能になります。さらに、これまでの材料では構築できなかった高難易度反応の実現によって、革新的な低環境負荷社会の実現を目指します。

小山 元道

(古原パネル)

水素活用構造用金属材料およびプロセスの創製
従来、水素は脆化元素として知られ、構造用金属材料にとっての“悪者”とされてきました。しかし、水素は100mass ppm程度の量で転位運動や無拡散相変態の挙動に強く影響し、力学特性や形状記憶特性を向上させることができます。本研究では、水素が及ぼす転位運動、変態挙動などへの影響を学理に基づき正しく理解することで、逆に水素を積極活用する試み、水素系合金という新合金開発ならびに水素利用プロセスを開拓します。

齊藤 雄太

(古原パネル)

準安定層状半導体創製による革新的トランジスタ
ビッグデータやAI(人工知能)の技術発展が著しい現代社会において、情報関連機器の消費電力の低減は喫緊の課題です。情報処理の中核を担うトランジスタには、Si(シリコン)が長年半導体材料として用いられてきましたが、これ以上性能向上が見込めないことが知られています。そこで、これまで全く未開であった"準安定層状半導体"という新しい材料を提案し、現代社会が抱える電子デバイスの性能限界を突破することを目指しています。

鈴木 弘朗

(古原パネル)

遷移金属酸化物テンプレートによる原子層半導体の革新的合成法
遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)は、その厚みが約0.7nmの単層においても良好な半導体特性を示すことから、次世代半導体集積回路におけるトランジスタの材料として期待されています。一方で、単層TMDCの集積回路作製に適した合成方法は未確立です。本研究では、遷移金属酸化物の表面をテンプレートとして、任意構造・配列をもつTMDCを単層選択的に集積化合成する革新的ナノテクノロジーを創発します。

関 岳人

(古原パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

革新的電子顕微鏡法の開発と材料研究への応用
走査透過電子顕微鏡は、材料内部の原子スケール構造を観察できる重要な解析手法です。新型検出器の登場により、大規模データの取得が可能になりましたが、十分に活用されていません。本研究では、新型検出器により取得したデータから、原子配列、スピン配列、原子振動、化学結合などの情報を抽出する手法を開発し、材料局所領域に応用することで、材料の局所構造解析に応用して、材料科学の根本的な課題の解明を目指します。

世伯理 那仁(S. Amin Hossein)

(古原パネル)

Hysteresis design of magnetic materials for energy conversions
エネルギー変換のための磁性材料のヒステリシス設計

永久磁石と磁気冷凍材料は、グリーンエネルギー変換の鍵となる材料です。本研究では、性能と持続可能性の両方を改善する新たな材料設計により、第一の目標として、希土類元素の使用量を削減した次世代の永久磁石を開発することです。第二の目標は、熱ヒステリシスを制御することで磁気冷凍の実用化における大きな障壁となっている可逆的な巨大磁気熱量効果を達成し、磁気冷凍材料を進歩させることです。

鳴海 大翔

(古原パネル)

時間分解・高温XAFSイメージングによる金属融液中の核生成ダイナミクスの微視的解析
放射光を活用し金属融液中における元素の電子構造・局所構造の時空間分布を評価する革新的な計測手法として高温XAFSイメージングを実現して金属融液中の原子レベルの動態評価を行い、獲得されたデータに基づいた金属融液の核生成における微視的ダイナミクスの実証的理解と制御指針の確立、非古典的な核生成現象の実証的理解と物理モデルの構築に展開し、金属凝固分野における核生成ダイナミクスの学問体系の刷新に挑みます。

新津 甲大

(古原パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

極低温用擬弾性・形状記憶材料の創製
極低温で使用される材料は一般に硬く脆くなりやすく、安全性や信頼性に課題があります。本研究では、広く金属の変形を担う「転位」に代わり「界面」の運動による変形機構に着目し、面欠陥の高度な動的制御を通じ、従来にない着想により極低温環境でもしなやかさや力学機能性を失わない材料の創製に取り組みます。宇宙環境や水素インフラ等に代表される極低温環境下での材料応用に革新をもたらすことを目指します。

曲 勇作

(古原パネル)

低温固相結晶化技術による酸化物エレクトロニクスの創成
本研究の目的は、高移動度・高信頼性の酸化物半導体薄膜トランジスタ(TFT)の創出です。近年、低温(~400℃)で形成可能な酸化物TFTは、次世代ディスプレイやメモリー分野で注目されています。私は、水素添加In2O3(In2O3:H)薄膜の固相結晶化技術を開発し、電界効果移動度140cm2V-1s-1を達成しました。本研究では、異常粒成長や高移動度の起源、水素の役割を解明し、デバイス信頼性の制御技術を確立して、多結晶Si TFTを超える酸化物TFTを実現します。

増田 紘士

(古原パネル)

セラミックスの室温塑性変形と強靭化デザイン
本研究は、硬くて脆いセラミックスから室温での塑性変形を効果的に引き出し、金属のような粘り強さを実現することを目指します。航空宇宙・深海・発電プラントなどの極限環境で構造材料に求められる耐久性は年々過酷になっており、それに伴って硬度・耐熱性・耐食性に優れるセラミックスの重要性が高まっています。本研究は、セラミックスの最大の弱点である脆さを克服し、社会基盤の強靭化につながるシーズ創出を目指します。

峯田 才寛

(古原パネル)

最も軽い構造用金属の力学多機能化
持続可能な社会の実現に向けて、従来の延長線上にない革新的な構造用金属材料の開発が求められています。本研究では、世界で最も軽い構造用金属材料であるMg-Li基合金をターゲットとし、マルチスケール組織制御を通じて多様な力学機能を発現させます。この研究により、過酷環境下でも真に機能する超軽量金属材料の設計指針を構築し、輸送機器や医療機器材料の分野における革新的な技術開発へと貢献します。

山中 謙太

(古原パネル)

高速金属積層造形による構造材料設計の革新
金属粉末を局所的に溶融凝固する積層造形技術は、材料開発に大きな可能性を秘めています。本研究では、金属積層造形における高速凝固を実現し、固液界面における溶質トラッピングによる非平衡・準安定金属材料を創出するための基盤を、溶融凝固挙動とともに粉末特性の影響に着目して明らかにします。また、材料特性との関係を体系化することで、熱力学的な制約から脱却した造形プロセスの実現と合金設計指針の構築を目指します。

横井 達矢

(古原パネル)

統合的機械学習による酸化物粒界偏析のナノレベルデザイン
酸化物材料は現代・次世代技術に不可欠ですが、多くは多結晶であるため結晶粒界が存在します。そして、多種多様な不純物の粒界偏析によって多結晶特性は著しく変化し、新奇特性が発現することもあります。しかし、原子・電子レベルでの粒界特性の起源は多くが未解明のままです。本研究では、種々の機械学習が有機的に連動した新たな解析手法を提案し、酸化物粒界偏析をナノレベルデザインする科学技術基盤の確立を目指します。

渡部 花奈子

(古原パネル)

ナノ粒子ダイナミクスが拓くバルク物性制御システムの構築
ナノ粒子を微量添加した流体(ナノ流体)は、電化機器等の冷却媒として広く利用されています。一方で、ナノ粒子は液中安定性が低くナノ流体の特性劣化が課題です。本研究では、液中安定な中空粒子にナノ粒子を内包することで、上記課題を抜本的な解決を目指します。さらに、中空粒子内部でのナノ粒子の局所的なダイナミクス(運動・配置)を操り、従来ナノ流体の熱物性を凌駕した熱伝導流体の開発に挑戦します。


2023年度採択

麻生 亮太郎

(古原パネル)

環境制御技術による表界面ナノ構造評価
金属ナノ粒子触媒は、有害ガスの無害化や化成品合成等に貢献する、産業的にもとりわけ重要な材料です。本研究では、最先端電子顕微鏡を用いつつ、従来の延長線にない反応環境と先端ナノ計測を組み合わせた新たな評価技術を開発します。反応ガスや温度を制御することで触媒反応環境を再現し、電子線照射や電圧印加により電子顕微鏡内で化学反応を直接操作することで、ナノ構造変化と機能発現の相関関係の解明を目指します。

安藤 大輔

(古原パネル)

無拡散せん断変態を利用したマルチインターフェイス制御による軽金属の超高強度・超機能化
持続可能な次世代社会の実現には、それらを支える部材の高機能化が必然で、その解決には材料レベルでの技術革新が不可欠です。本研究構想では、鉄鋼材料に技術革新をもたらした無拡散せん断変態をマグネシウムやアルミニウムという軽金属でも発現できる新しい合金設計と、せん断変態で導入された双晶界面や積層欠陥界面と結晶粒界や析出界面との関係やその最適化をする学理『マルチインターフェイス制御』の構築を目指します。

大内 隆成

(古原パネル)

金属カルシウムの革新的製造・リサイクルプロセスの開発
「高純度金属カルシウム (Ca) の高エネルギー効率・低環境負荷・低コスト製造」を可能とする新しい技術を開発します。本研究が進展すれば、先端デバイス、クリーンエネルギーデバイスなどに不可欠な希土類金属(レアアース)やチタンなど重要金属の製錬・精錬プロセス、およびリサイクルプロセスに革命を起こし、持続性と科学技術の発展が両立した社会の構築に大きく貢献します。

岡田 健司

(古原パネル)

分子/格子整合有機-無機界面が織りなす革新的材料
有機材料、無機材料の分野では、物質間に存在する界面の設計・精密制御(原子・分子スケールでの整合)が大きなイノベーションを創出してきました。一方、有機-無機が共存する分野では、その界面は十分に制御できているとは言えません。本研究では、有機-無機界面に分子/格子スケールでの化学結合の「整合」という新しい概念を加えた化学を発展し、有機-無機間での整合界面を基盤とした革新的材料の創出を目指します。

軽部 皓介

(古原パネル)

超室温トポロジカル磁性材料の創出
多数の電子スピンが形成する「トポロジカル磁性」は超低消費電力型の高性能な磁気記憶素子への応用が期待されています。しかし、従来の物質ではトポロジカル磁性の発現温度が非常に低いという大きな問題があります。私は、超室温かつ高性能な新しいトポロジカル磁性材料を開拓し、その物理的特性を明らかにすることで、将来的な実利用に直結する超室温トポロジカル磁性材料の研究基盤を構築することを目指します。

熊谷 悠

(古原パネル)

計算科学を用いた次世代材料探索のためのデータベース創製
計算科学は、ハードウェアの革新に伴い、目覚ましく進展しています。現代では、多くの物質を対象に、量子力学計算を用いて物性を予測することが可能です。本研究では、さまざまな物質や物性を対象に量子力学計算を行い、優れた材料を発見することを目指します。また、多数の計算データを収集し、機械学習を応用することで新しい理論を構築し、通常の傾向から外れる物質を解析することによって、未踏の材料科学の発見に貢献します。

双 逸

(古原パネル)

準一次元vdW相変化材料とその電子デバイスへの展開
本研究では、世界に先駆けて、大きな電気抵抗変化を示す新規準一次元ファンデルワールス(1D-vdW)相変化材料(PCM):NbTe4を提案し、その相変化原理と動作性能を究明し、相変化メモリデバイス微細化の限界の突破を目指します。NbTe4系メモリの相変化原理の解明により、従来の3D及び2Dを主役とする相変化材料を更なる低次元領域まで展開し、デバイス構造に活かすために必要な基盤技術の確立に挑戦する他、優れた微細化性能の1D-PCM材料群を創成します。

菅原 優

(古原パネル)

革新的耐環境性能を有する省資源ステンレス鋼の創製
安心・安全な水素社会の実現に不可欠な長期信頼性を有する鉄鋼材料、特に高耐食性と耐水素脆性を両立するフェライト系ステンレス鋼を実現するため、省資源化の観点から軽元素である窒素を利用した表面処理プロセスを開発します。その上で、さまざまな鋼材へ適用できるように窒素と耐食性に関する学理を構築し、省資源、省エネルギー、コスト面に配慮した次世代の耐環境性表面処理として確立させることを目指します。

滝本 大裕

(古原パネル)

2.5次元電極触媒の開発
本研究では、原子レベルに薄い2次元金属触媒を3次元化させた「2.5次元触媒」を開発し、触媒化学に新機軸を打ち出します。2次元金属触媒の形態的・電子的な特徴により、優れた触媒活性と安定性を引き出せるとともに、3次元化に伴う物質拡散性の向上により、更なる高活性化・高耐久化を目指します。本手法は、原理的に設計自由度が幅広く、多元素化による高性能化に加え、広範な機能創出も目指せます。

塚本 孝政

(古原パネル)

クラスター物質を基盤とした「高次階層化学」領域の開拓
数個~数十個の原子から成る極小のナノ粒子「クラスター物質」は、従来の物質には見られない特異的な性質を示す、非常に興味深い物質群です。本研究では、元素周期表と同様の手法でクラスター物質の分類を行う、独自の理論モデル「高次周期表」に基づいて、当該物質群を「高次の元素」と見做すことで成り立つ、従来化学の原理を踏襲した全く新しい化学領域「高次階層化学」の概念の初の具現化を目指します。

藤井 進

(古原パネル)

格子欠陥のインフォマティクスによる熱電特性制御
無機固体材料の中には、ナノスケールの格子欠陥が含まれています。この格子欠陥は、通常現れる規則的な原子配列とは異なる構造を持つために、様々な材料機能に影響を与えます。本研究では、計算科学とデータ科学により、多様な形態の格子欠陥と材料機能を定量的に結びつけ、ミクロな情報から巨視的な材料機能を予測する基盤技術を構築します。これにより、熱電変換材料等の、エネルギー問題解決に役立つ材料の開発に貢献します。

山本 瑛祐

(古原パネル)

無機ナノシート界面が拓くイオン伝導体の革新
最近、固体界面活性剤を鋳型とした「非層状」無機ナノシートの創出方法を開発し、従来の層状化合物や格子整合の制約を脱却した新たな組成での二次元材料科学の可能性を示してきました。そこで本研究では、ありふれたイオン伝導性の非層状無機化合物をナノシート化し、二次元精密集積により設計した特異界面を創出し、無機ナノシート界面が活用する新しい高速イオン伝導材料の開拓に挑戦します。

蓬田 陽平

(古原パネル)

完全半導体ナノチューブアレイの創成と機能開拓
本研究では、これまで開発してきた半導体ナノチューブの合成・作製技術を、ナノ材料の配向技術と組み合わせることにより進化させ、水平配向・垂直配向された半導体ナノチューブアレイを実現するとともに、その歪み・一次元構造の特徴を活かした電子機能・光機能を開拓します。国内での開発がほとんど無い半導体ナノチューブに関する基盤技術を構築し、次世代のエレクトロニクス応用や光触媒開発等につながるシーズを創出します。



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