馬場パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO: 馬場 秀夫(化学及血清療法研究所 理事長)

【専門分野】 消化器外科学、外科学一般

九州大学にて博士号(医学)取得後、米国テキサス大学、九州大学、国立病院九州がんセンターを経て、2005年より熊本大学教授に就任。熊本大学医学部附属病院副病院長を経て、2021年より同副学長兼病院長。2024年より一般財団法人化学及血清療法研究所理事長。日本外科学会会頭、日本癌治療学会監事、日本消化器外科学会評議員、日本消化器癌発生学会理事などを歴任し、日本消化器外科学会賞JSGS Science of the Year 2023(学術部⾨)や第29回日本癌治療学会中山恒明賞等、多数受賞。消化器癌進展機序解明や治療法開発、治療効果・予後予測のバイオマーカー探索等、消化器外科研究の第一人者。国内外の留学を推進する等、世界で活躍できる若手研究者の次世代育成に尽力。

創発アドバイザー(五十音順)

秋下 雅弘
東京都健康長寿医療センター センター長
浅野 浩一郎
東海大学 医学部医学科内科学系呼吸器内科学 教授
阿部 理一郎
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 教授
飯島 尋子
兵庫医科大学 消化器内科学(肝胆膵内科) 特別招聘教授
稲垣 暢也
公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 理事長
金子 祐子
慶應義塾大学 医学部 リウマチ・膠原病内科 教授
坂田 泰史
大阪大学 大学院医学系研究科 教授
宿南 知佐
広島大学 大学院医系科学研究科 教授
高瀬 圭
東北大学 大学院医学系研究科 教授
滝田 順子
京都大学 大学院医学研究科 発達小児科学 教授
田中 哲洋
東北大学 大学院医学系研究科 腎・膠原病・内分泌内科学分野 教授
田中 靖人
熊本大学 消化器内科 教授
玉利 真由美
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 分子遺伝学研究部 教授
西川 博嘉
京都大学 がん免疫総合研究センター 教授
西田 幸二
大阪大学 大学院医学系研究科 脳神経感覚器外科学(眼科学) 教授
馬場 長
岩手医科大学 産婦人科学講座 教授
松田 秀一
京都大学 大学院医学研究科整形外科 教授
眞鍋 一郎
千葉大学 大学院医学研究院 教授
三森 功士
九州大学 大学病院 教授
森尾 友宏
東京科学大学 総合研究院 高等研究府 免疫・分子医学研究室 理事・副学長(国際担当)

創発研究者一覧(馬場パネル)


2023年度採択

伊藤 美智子

(馬場パネル)

組織線維化をもたらす死細胞貪食機構の統合的理解
組織線維化は種々のストレスによる細胞死を起点として、慢性炎症から臓器機能不全に至る過程であり、不可逆になると生命予後を悪化させることから病態解明と治療法の確立が求められています。慢性炎症性疾患では死細胞貪食の異常が示唆されるため、貪食処理を阻害する死細胞の変化、微小環境における細胞間相互作用、中枢神経系による制御といった複数の階層から、組織線維化を駆動する死細胞貪食機構の統合的な理解を目指します。

大石 由美子

(馬場パネル)

筋修復を司る多種細胞間コミュニケーション
骨格筋は常に再生と修復を繰り返しながら恒常性を維持します。サルコペニア(加齢による筋量の低下)は修復プロセスの遷延により生じるとの仮説のもと、本研究では筋修復プロセスを司る細胞間相互作用を新たな筋オルガノイドモデルを用いて明らかにします。具体的には、①損傷から修復までの過程を再現する筋オルガノイドの構築、②筋間質細胞とマクロファージの相互作用機序の同定、③加齢による組織修復の変調機序の解明を目指します。本研究により、サルコペニアや筋ジストロフィーなどの病気の理解と治療に貢献することが期待されます。

川名 洋平

(馬場パネル)

膵β細胞増殖を促進する脳-膵臓間神経経路の解明とその応用による膵β細胞増量治療の開発
インスリンを分泌する膵β細胞を増やすことは糖尿病の根治につながると期待されます。私は、脳から膵臓に向かう迷走神経を刺激することによって膵β細胞が増殖することを世界で初めて発見しました。本研究では、膵β細胞を増殖させる「脳→迷走神経→膵臓」の経路における、脳と膵臓の内部の神経経路を解明します。また、糖尿病治療への応用に向けて、ヒトで迷走神経を電気刺激することで膵β細胞量を増大させられるかを明らかにします。

木岡 秀隆

(馬場パネル)

心筋細胞恒常性の生化学的理解とその最大化
心臓が休まずに動き続けていることは驚きの事実であり、最大の謎でもあります。一定の状態を維持することを恒常性と言いますが、私は心筋細胞には独自の恒常性維持機構があると考えています。この研究では、心筋細胞で特に盛んなタンパク質とエネルギー代謝の視点から、最大の謎に挑戦します。現在の心臓病治療は負荷を取ることが中心ですが、心筋細胞を識ることで、恒常性を積極的に最大化する治療の開発を目指しています。

倉島 洋介

(馬場パネル)

新たな消化管粘膜保護因子から解く腸管疾患制御
腸管には、腸内細菌をはじめ様々な異物が存在しています。炎症性腸疾患の発症により腸管のバリアが破壊されると、組織内へと浸潤する腸内細菌が病態悪化の脅威となります。私は、臓器間の連携によって、新たな消化管粘膜保護因子が周辺臓器から腸へと分泌されることを明らかにしました。本研究では、新たな炎症性腸疾患治療戦略として、臓器連関の仕組みの理解と消化管粘膜保護因子産生の増進法の開発を目指します。

小林 哲郎

(馬場パネル)

免疫システムが駆動するDNA損傷と老化
本研究では「免疫によって駆動されるDNA損傷と細胞老化の分子機構の解明」を、皮膚における上皮細胞と自然リンパ球の相互作用を軸に進め、老化が免疫・間葉系細胞が共創して織りなす細胞社会のコミュニケーション破綻であることを明らかにします。そして、「免疫の制御に基づいた老化関連疾患の予防と治療の開発」の基盤を築き、老化を共通の病因とみなすことで多くの疾患を同時に標的とする医療の未来像を目指します。

今野 雅允

(馬場パネル)

RNA修飾でがんを理解し、がんを知る
発がん時に重要なRNAの「質」の理解と、それを利用したがん予防のためのマーカーの開発を行います。私はこれまで膵臓がんにおけるRNA の「質」の変化の重要性を明らかにしてきました。 本研究では、発がん時におけるRNA の「質」 の変化と、がんの発症と進行に与える影響を詳細に解析することで、「RNAの質」の観点から発がんの理解を深め、がんを未然に察知するマーカーの開発を進めます。 本研究が発展することで、がんの5年生存率が飛躍的に延伸する可能性を秘めています。

阪口 雅司

(馬場パネル)※終了(研究開始前)

ライフスタイル変化に向けた新たなエネルギー代謝制御の創成
寒冷な環境ではエネルギーを保存する白色脂肪と、エネルギー消費で体温を保つ褐色脂肪が重要でした。現代は温暖なため、ヒトの褐色脂肪は退縮し、過食と運動不足による肥満、糖尿病の原因になります。退縮した褐色脂肪を再び活性化し、代謝を改善させる新規の生理活性因子を発見しました。気象環境に応じて進化した褐色脂肪の制御機構を解明し、様々な臓器への働きを調べてメタボリック症候群の治療に繋げます。

崎元 晋

(馬場パネル)

網膜血管内皮階層性に基づく細胞供給メカニズム
糖尿病網膜症は失明の主要原因であり、新たな治療法の開発が重要です。血管再生医療の確立は困難でしたが、近年の研究結果により血管を構築する幹細胞が明らかになりつつあります。私は、網膜血管内皮幹細胞システムの解明に着目し、独自の技術で幹細胞が存在する部位を確認、その制御機構を解析します。本研究は網膜血管独自の幹細胞システムを明らかにする意義深いものになると予想されます。

佐野 宗一

(馬場パネル)

後天的な性染色体喪失と疾患における性差
男性と女性で寿命や病気に罹りやすさが異なることはよく知られていますが、その違いの原因はまだ十分に解明されていません。最近の研究によって、加齢にともない男性はY染色体、女性はX染色体を、体のさまざまな部位で失ってしまうことが分かってきました。本研究では、この性染色体喪失現象が、男女の寿命や病気における違いの原因かどうかを明らかにします。

塚崎 雅之

(馬場パネル)

頭頸部がん進展機構の理解と制御
頭頸部がんは罹患率の高い悪性腫瘍であり、骨に浸潤することで患者さんの生命予後とQOLを著しく悪化させます。私は、顎骨の骨膜ストロマ細胞が頭頸部がんの骨浸潤を抑えることを発見し、非免疫系細胞による抗腫瘍機構「stromal defense against cancer: SDAC」という概念を提唱しました。本課題では、SDAC機構のさらなる解明を通じて、ストロマ細胞を標的とした革新的な腫瘍制御戦略の確立を目指します。

西出 真之

(馬場パネル)

個の細胞から個の患者へ ~ベッドサイドと1細胞オミクスの融合による免疫難病の個別化医療~
シングルセル解析はひとつひとつの細胞に発現している遺伝子や分子の多様性を明らかにし、病気のメカニズムや治療標的の発見につながる技術です。本研究では免疫難病患者さんの全白血球・病変組織の統合的なシングルセル解析を行います。さらに細胞の多様性と症状の多様性(身体所見・検査所見)を臨床医の視点でリンクさせることで、ベッドサイドに直接還元できる疾患バイオマーカーや治療薬の開発に挑戦します。

乃村 俊史

(馬場パネル)

Last exon PTCによるmRNA/タンパク質発現調節機構の解明
一般的に、最終エクソンに早期終止コドンを持つ変異mRNAは分解(NMD)を免れ、変異タンパク質が産生されることが知られています。本研究では、SERPINB7やFLGといった遺伝子では最終エクソンに早期終止コドンを持つ場合でも変異mRNA/タンパク質が分解されることに着目し、新しい分解機構の同定を目指します。この仕組みが解明されると、遺伝性疾患に対する新しい治療法が創出される可能性が期待できます。

坂野 公彦

(馬場パネル)

Vessel-on-a-chipとゲノム編集がもたらすヒト脈管疾患の解明
血管機能の破綻は、数多くの疾患で認められますが、本来の血管の構造や灌流を再現した研究は進んでいません。私は、vessel-on-a-chip、すなわち三次元の管腔構造を有する血管をチップ上で作製し、血液の灌流を再現します。さらに、ヒトiPS細胞におけるゲノム編集技術による疾患モデル血管を作製し導入することで、脈管奇形をはじめとする脈管疾患の解明に取り組みます。

藤田 雄

(馬場パネル)

エクソソームの糖鎖で切り拓く老い克服技術の創出
老化は人間にとって不可避なものですが、老化細胞が分泌する物質(SASP)に注目が集まっています。エクソソームは、細胞が分泌するナノサイズの小胞で、体内の情報伝達に重要な役割を果たします。その表面には様々なタンパク質や糖鎖で覆われており、その多様性が体内の伝達先を決定し、老いに関与する事が分かってきました。本研究では老化疾患モデルを解析し、特にエクソソームの糖鎖を基軸とした老い克服技術の創出に取り組みます。

堀江 貴裕

(馬場パネル)

非コードRNAの心血管代謝性疾患における機能解明と臨床応用の検討
近年、従来の蛋白になる遺伝子に加え、蛋白にならない遺伝子(非コードRNA)の重要性が次々と示されてきております。非コードRNAは様々な疾患の形成にも大きく関与していることも明らかとされてきております。本研究課題においては、私たちが新たに見出した非コードRNAの働きを明らかにし、非コードRNA制御による世界初の治療薬の開発へつなげることを目標としております。

丸山 健太

(馬場パネル)

脳を標的とした痛覚神経性免疫寛容機構の解明
免疫寛容とは、免疫応答をひきおこす病原体の構成成分に対する反応が抑制された状態のことをさします。当該機構は、病原体感染に対する過剰な炎症を抑えることで宿主の生存率を高めると考えられていますが、痛覚システムが当該機構と関連しているかどうかは明らかにされていません。本研究では、痛覚神経が脳を標的とする液性因子を放出することで免疫寛容を担っているとする新しい生体防御のパラダイム確立を目指します。

三上 洋平

(馬場パネル)

消化管線維芽細胞を起点とした線維化病態の全貌の解明
本研究では、有用性の高い消化管線維化モデルを早期に開発を行い、網羅的遺伝子発現解析、エピゲノム解析手法を用いてヒト検体および疾患モデル動物を解析し、線維化の責任細胞を同定し、その制御機構を解明します。さらに線維化の責任細胞に対する固体レベル、細胞レベルでの介入研究から、治療の標的可能な細胞集団や分子を同定し、他臓器の線維化疾患や悪性腫瘍に応用することを目指します。

水谷 泰之

(馬場パネル)

線維芽細胞多様性の意義の解明による革新的な治療法の開発
この研究は、膵がんの特徴的な間質、特にがん関連線維芽細胞(CAF)の多様性に注目しています。 主な目的は、がんを抑制するCAF(rCAF)の本質を明らかにすることです。研究者らは既に、rCAFのマーカーとして Meflinを発見し、Am80という薬剤がCAFをがん促進性からがん抑制性に変換できることを示しています。 この知見を基に、以下の3つの課題に取り組みます: ①rCAFの性質がどのように維持されているかを解明する。 ②rCAFの特徴を決定づける重要な遺伝子を特定する。 ③より効果的にCAFをがん抑制性に変える新しい薬剤を見つける。 これらの研究を通じて、難治性のがんや線維化を伴う様々な病気に対する画期的な治療法の開発を目指しています。

水野 直彬

(馬場パネル)

胚操作3.0 近未来の胚ゲノム治療を見据えた基盤技術開発
人が生涯の内に発症する病気の一部は、生まれる前からの遺伝子異常に起因し、薬や手術で根治治療を行うことが出来ません。近年開発されたゲノム編集という革新的技術により、遺伝子異常を正常化する事が可能になりました。 本研究では、ごく初期の胎児を遺伝子診断し、ゲノム編集で遺伝子異常を修復する手法を開発します。 実現すれば、胎児遺伝子異常に起因する不妊・不育症や、遺伝性疾患の根治治療法となります。

三橋 惇志

(馬場パネル)

Fibrocyteによる「がんの鎧」免疫排除克服への挑戦
がん関連線維芽細胞および細胞外基質により織りなされるがん間質は、抗腫瘍免疫細胞の侵入を阻む言わば「がんの鎧」として免疫療法への耐性化をもたらします。本研究では、このがん免疫排除の原因として、腫瘍内で新たに同定した骨髄由来血球系細胞fibrocyteに注目し、その分化・機能制御による革新的ながん治療の開発と、組織線維化の根本的な理解と解決に向けた展開を目指します。

吉原 雅人

(馬場パネル)

難治性癌腹膜播種を克服する中皮細胞標的治療の開発
腹膜播種は一つの癌の転移様式ですが、難治性であり有効な治療方法は現在までに見つかっていませんでした。私たちはこれまでの研究で、転移の”種”である癌細胞に対して、“土壌”となる腹膜を覆う中皮細胞が、癌の進展を促進し、治療抵抗性を誘導することを解明しました。本研究では、癌細胞と共存する中皮細胞を標的とすることで、癌の種類に関わらずに腹膜播種を抑制する、環境に着目した新たな癌治療戦略の開発に挑戦します。

渡邉 美佳

(馬場パネル)

上皮幹細胞記憶による皮膚疾患の統合理解
本研究は皮膚疾患を「上皮幹細胞の記憶」から再定義し、新規研究分野を開拓します。皮膚は人体の最外層であり、上皮幹細胞は皮膚恒常性維持に重要な役割を果たしています。近年「上皮幹細胞の記憶」が発見され、創傷治癒を促進すると共に癌発症を誘導する事が明らかになりました。幹細胞記憶の本質的な解明は、炎症性疾患や代謝性疾患の病態解明に繋がる可能性があり、将来的には疾患発症の理解と予防医学への応用が期待されます。



Researchmap 本サイトの研究者情報はResearchmap登録情報に基づき更新されます。