有田パネル

創発PO・創発アドバイザー一覧

創発PO: 有田 誠(慶應義塾大学 薬学部 教授)

【専門分野】 医化学、薬系衛生・生物化学、機能生物化学、分子生物学

東京大学にて博士号(薬学)取得後、米国Harvard Medical School、東京大学大学院薬学系研究科・准教授を経て、2016年より慶應義塾大学薬学部・教授、2022年よりヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(WPI-Bio2Q)・副拠点長、2023年10月より同薬学部長を務める。2014年より理化学研究所生命医科学研究センター・チームリーダー、横浜市立大学大学院生命医科学研究科・大学院客員教授(兼務)。この間、新学術領域研究「リポクオリティ」領域代表、JST-ERATO「リピドームアトラス」研究総括などを歴任。文部科学大臣表彰若手科学者賞、日本脂質栄養学会ランズ賞学術賞、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞。専門は、医化学、薬系衛生・生物化学、機能生物化学、分子生物学。最先端リピドミクスの技術開発を通し、生体内で脂質多様性やその局在性を創り出し、調節・認識するしくみの解明、およびその破綻による疾患解明、代謝制御による治療や診断への応用を目指す。

創発アドバイザー(五十音順)

淺原 弘嗣
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 教授
石井 伊都子
千葉大学 医学部附属病院薬剤部 教授
石濱 泰
京都大学 大学院薬学研究科 教授
内山 真伸
東京大学 大学院薬学系研究科 教授
金井 弥栄
慶應義塾大学 医学部 病理学教室 教授
木原 章雄
北海道大学 大学院薬学研究院 教授
清中 茂樹
名古屋大学 未来社会創造機構 教授
佐藤 俊朗
慶應義塾大学 医学部 教授
竹内 理
京都大学 大学院医学研究科 教授
西田 基宏
九州大学 大学院薬学研究院 教授
花田 賢太郎
国立健康危機管理研究機構 検定部 部長
藤田 恭之
京都大学 大学院医学研究科 教授
古屋敷 智之
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 教授 / 神戸大学 大学院医学研究科 特命教授
三隅 将吾
熊本大学 大学院生命科学研究部附属 グローバル天然物科学研究センター 環境分子保健学分野 教授
山﨑 晶
大阪大学 微生物病研究所 教授

創発研究者一覧(有田パネル)

2024年度採択

朝光 世煌

(有田パネル)

微小クロマチン核酸構造がもたらす生殖制御システム
ヒトゲノムの大半は非コード領域で占められ、その多くが機能不明の「暗黒領域」として位置づけられています。本研究では、これらの領域に存在する配列非依存的な「微小クロマチン核酸構造」に着目し、この構造がクロマチン機能に与える影響と生命システムにおける新たな制御機構の解明を目指します。

有井 潤

(有田パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

小胞が担う非典型的な核外輸送の理解
核内の物質は、一般的に核膜孔を通して細胞質へ輸送されます。一方、巨大な核内構造体は核膜孔を通過できませんが、核膜間小胞を介して細胞質へと輸送することが可能です。この「小胞媒介性核外輸送」は、ウイルス感染細胞や遺伝性疾患において活性化していますが、詳しい仕組みはわかっていません。本研究では、この非典型的な核外輸送を引き起こすメカニズムを明らかにし、その生理学的な意義の解明を目指します。

池田 賢司

(有田パネル)

熱産生脂肪細胞におけるフェロトーシスの役割の解明と治療応用の開発
フェロトーシスは鉄と活性酸素によって誘導される細胞死で、老化に伴い増加します。熱を生み出す熱産生脂肪細胞ではエネルギー代謝が活発であり活性酸素が多く発生しますが、熱産生を安定して行うためには、この細胞死を防ぐ仕組みが重要です。本研究では、加齢で機能が低下する熱産生脂肪細胞におけるフェロトーシス制御機構を解明し、代謝疾患や老化関連疾患に対するこれまでにない革新的治療法のシーズ創出を目指します。

今村 亮俊

(有田パネル)

非コードRNA分解から紐解く慢性炎症
慢性炎症は万病のもとといわれ、現代医学において重要な課題となっており、その背後のメカニズムは今もなお科学的な挑戦として残されています。本研究では、慢性炎症を非コードRNAの分解異常(RNA蓄積症)として捉え、慢性炎症と慢性炎症関連疾患の発症メカニズムの解明・改善を目指します。「非コードRNA分解」の研究領域を拡充し、慢性炎症の根本的なメカニズムを解明し、人々の健康寿命の延長に貢献していきたいです。

勝山 彬

(有田パネル)

配座・機能制御を基盤とした分子スイッチ医薬品の論理的設計
医薬品は、標的分子に結合する性質、体内動態に関する性質など、複数の機能が然るべき時と場所で発現することではじめて有効に機能します。本研究では、医薬品候補となりうる「有機化合物の形」に着目し、これらの複数の機能の発現を自在に制御できる革新的な医薬品を開発するための方法論を開発します。独自の分子スイッチ活用し、疾患の原因となる標的分子の3次元構造に基づいた論理的な分子設計を通じて研究目的の達成を目指します。

川口 祥正

(有田パネル)

バイオ医薬の革新的細胞内送達プラットフォーム創製
抗体や核酸分子などのバイオ医薬は膜透過性に欠けることから、安全かつ効率的に細胞内に送達させる手法の確立が求められています。これまでに、負電荷改変抗体と細胞内送達ペプチドがコアセルベートを形成し、それによって抗体がサイトゾルに瞬時に送達されることを見出しています。本研究では、その革新的技術を様々なバイオ医薬の細胞内送達プラットフォームに発展させるとともに、その細胞内送達機構を解き明かします。

國村 和史

(有田パネル)

神経発達症を招く母子免疫と胎盤-脳連関の統合的理解
神経発達症が世界的に増加の一途を辿る中、本疾患を治すだけでなく発症させない未来へ転換していくことは極めて重要です。本研究では、独自に見出した母体免疫応答に起因するADHDモデルマウスを切り口に、これまで未知であった胎盤−脳連関の実態にアプローチし、母胎環境から生後の神経発達症に至るまでのメカニズム解明を目指すとともに、それら分子基盤の統合的理解に立脚した新たな先制医療戦略の創出に挑みます。

小和田 俊行

(有田パネル)

人工オルガネラ「メタロソーム」の創製に基づく生命現象の制御と理解
生体内には鉄・亜鉛・銅といった様々な金属元素が存在し、その量や局在が厳密に制御されています。これら生体金属の恒常性破綻は、神経障害など様々な疾患の原因になるため、細胞内金属動態と恒常性維持機構の理解は重要な課題です。本研究では、細胞内金属イオンの貯蔵・放出を光刺激で制御可能な人工オルガネラ「メタロソーム」を創出し、細胞内生体金属の革新的な摂動法・解毒法の開発を目指します。

史 蕭逸

(有田パネル)

睡眠による神経細胞メンテナンス機構の理解
覚醒中、神経細胞内ではDNA損傷、小胞体ストレスなど多様な“異常”が蓄積します。睡眠中にDNA修復系などの自己修復機能が活性化されることから、睡眠は神経細胞内の環境を恒常的に保つ効果があると考えられます。本研究では、睡眠が神経細胞内メンテナンスをどう制御するかを分子から組織まで多階層的に解明し、睡眠の細胞修復機能を模倣・強化する革新的治療シーズを創出します。

白鳥 美穂

(有田パネル)

痒みの生理的意義の解明
かゆみ(痒み)はアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患だけでなく、糖尿病や腎疾患などの全身疾患でも高頻度にみられ、多くが難治性です。従来の研究は病態での変化を起点に行われてきましたが、難治性痒み病態の全容理解には至っていません。本研究では、難治性痒みの原因の一つに痒みの生理機能の破綻があるという全く新しい着想の下、未だ人類が達成できていない痒みの生理的意義の解明を起点に、難治性痒み病態の理解を目指します。

髙島 謙

(有田パネル)

核小体恒常性の異常が引き起こす「炎症プライミング」の意義
自己核酸に対する炎症応答が、自己免疫疾患、腫瘍、生活習慣病などの成因の一つであることが知られています。従来、ミトコンドリアDNAが内因性リガンドとして注目されてきましたが、近年、我々は核小体から生じた「リボソームDNA由来の異常核酸」が自己炎症を誘導することを見出しました。本研究では、この新たな炎症誘導機構の詳細を解明し、炎症性疾患、感染症、腫瘍に対する新規の予防・治療戦略の創出を目指します。

髙橋 重成

(有田パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

pHストレス応答機構の解明
pHは生命活動に深く関わる根源的な化学パラメータであり、その逸脱は細胞に深刻な影響を与えます。しかし、細胞内pHを感知してシステムを制御する分子群の実体は明らかにされていません。本研究では、細胞内pHセンサーやそれによって誘導される転写因子を同定し、pH変動が司る生理・病態生理機構の解明を目指します。これにより、常識を超えた生命現象が明らかになり、多くの研究の源流になることが期待されます。

谷上 賢瑞

(有田パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

異常RNAと相分離異常がもたらす発癌機構
癌細胞では、ゲノム融合やRNAプロセシングの異常により、多種多様な異常RNAが生成されます。私は、イントロンや非コード領域を獲得した異常RNAおよびこれらから翻訳される異常タンパク質が、相分離異常を引き起こして高次構造体を形成することを明らかにしました。本課題では、異常RNAや異常タンパク質による相分離を介した構造体形成機構を明らかにすると共に、これらを標的とした診断法や治療法への応用を目指します。

鳥海 尚之

(有田パネル)

生命現象を制御可視化する近赤外光分子技術
本研究では、生体組織への透過性が高く、侵襲性が低いことが知られる近赤外領域の光(近赤外光)を利活用するための次世代分子技術の創出に挑戦します。近赤外光を効率的に吸収し、発熱・発光・化学反応を引き起こす分子技術を創出することにより、生命現象の光制御、生体内の小分子やタンパク質などの可視化(分子イメージング)、診断・治療を同時に行うセラノスティクスの実現に挑みます。

中濱 泰祐

(有田パネル)

Z型RNA病態学の創生
本研究では、2本鎖RNAの巻き方の異常がその病態に関与する疾患を提示し、「Z型(左巻き)RNA病態学」という新たな学問領域の創生に挑戦します。さらに、RNA編集技術を応用して、世界で初めてZ型RNAを網羅的に同定する手法を確立し、病態形成に関与するZ 型RNAを特定することを目指します。最終的に、Z型RNAを標的とする治療が様々な疾患に対して有効である可能性を示すことを目標とします。

名黒 功

(有田パネル)

体内局所の水/Na環境変容を認識する分子機構の解明と疾患治療への応用
本研究では、体内局所に出現する特殊な水/Naバランスの環境を細胞がどのような分子機構で感知・応答するのか解明します。また、その環境が病態や老化で時空間的にどう変容するのか、かつてない解像度で実測します。これにより、これまで全身性で理解されてきた水・Naと生体の関係性に対して、体内局所の水輸送や免疫細胞の制御という新視点を導入し、革新的な創薬標的の提案や水恒常性制御によるQOL向上を目指します。

任 書晃

(有田パネル)

音はなぜハモる?音律の蝸牛起源説の確立
私は近年、非可聴域の超音波を動物が聴取する現象「超音波聴覚」が、蝸牛最入口部の有毛細胞が高調波を検出する機能に依拠することを発見しました。本研究では、この原理が全蝸牛に当てはまることを電気生理学・光学的手法により実証し、紀元前から知られるピタゴラス音律の起源に迫ります。生理学から音響学を包含する成果は各分野の常識を覆すだけでなく、人工内耳電極の刺激法や新規聴力検査法・補聴法の開発に繋がります。

野澤 孝志

(有田パネル)

ストレス応答性液滴から紐解くセルオートノマス免疫系
細胞は病原体の感染に対して、自律的に防御する「セルオートノマス免疫系」を備えています。本研究では、感染時に細胞内で形成される液滴状構造「ストレス顆粒」が、病原因子を認識・分解し、防御応答を制御する新たな仕組みを明らかにします。この未踏の防御機構の解明は、感染症に対する革新的な治療戦略の創出につながる可能性があります。

野中 洋

(有田パネル)

In vivoミクログリア工学へ向けた化学修飾戦略
ミクログリアは、脳の中に存在する細胞の一種で、主に免疫細胞としての役割を果たすと考えられてきました。しかし、近年、ミクログリアの別の役割や脳神経疾患への関与が示唆されており、注目を集めています。本研究では、生きている動物脳内でミクログリアを人工的に機能付与/改変できる技術を開発することで、ミクログリアが関与する生命現象の解析や疾病治療に繋げることを目指します。

服部 一輝

(有田パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

「オルガノイド+1」による腸組織の高次元・高スループット解析
創薬研究の課題のひとつは、生体の複雑な環境を試験管内で再現しつつも、多様な条件で迅速解析する技術が不足していることです。そこで本研究では、マイクロ流体技術を活用し、小型カプセル内で腸上皮組織を再現する「オルガノイド+1」モデルを開発し、大量作製・解析することで、生体環境の精緻な再現を実現しつつも迅速な網羅的解析を達成します。これにより、腸組織の理解を深化させ、効率的な新薬開発へと繋げます。

本宮 綱記

(有田パネル)

血管性マイクロニッチの制御によるがん転移の根絶
がん細胞の挙動は、その周囲微小環境からの入力に大きく依存します。血管内皮細胞のつくる微小環境=血管性ニッチは、がん悪性進展を制御する重要な要素ですが、その分子機構は謎に包まれています。本研究では、独自の乳がん転移モデルを用いて、二次組織に転移したがん細胞の挙動を制御する血管微小環境(血管性マイクロニッチ)の分子機構を解明し、治療困難な転移がんを駆逐するための新規転移抑制・予防法の創出を目指します。

見市(三田村) 文香

(有田パネル)

赤痢アメーバ生体膜ダイナミクスー 代謝・動態・生理機能 ー
近年、生物種により脂質組成が大きく異なり、特徴的な脂質種を持つことが、分析機器・ツールの進歩により次々と解明されています。しかし、個々の脂質種とその機能の関係を説明できるものは未だに限られます。本研究は、病原微生物“赤痢アメーバ”の特徴的な脂質種と生命現象を1つずつ関連付け、宿主ヒトへの寄生適応戦略の解明、そして脂質代謝関連分子から薬剤標的候補を提示、抗アメーバ赤痢薬開発に繋げることに挑戦します。

蓑島 維文

(有田パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

高速入れ替わり可能なラベル化技術によるタンパク質運命のモニタリング
がんや神経変性疾患に関連するタンパク質機能を調べるために、より高い解像度で長時間タンパク質のはたらき、運命を観察するイメージング技術は有用なツールです。一方で蛍光ラベルされた試料が観察時のレーザー照射に耐えうることが必要となります。本研究では独自の高速入れ替わり可能なタンパク質ラベル化法を用いて、生きた細胞内におけるタンパク質の動態を長時間見続けることで、新たな機能の発見を目指します。

三宅 健介

(有田パネル)

ヒト好塩基球の生物学の統合的理解
好塩基球は血中を循環する血球細胞の1%ほどしか存在しない希少な免疫細胞です。近年の研究から、マウス好塩基球がアレルギーや自己免疫疾患において重要であることが認識されていますが、ヒトの好塩基球に関する理解が十分でないため、好塩基球を標的とした治療に繋げられていないのが現状です。本研究では、最新解析技術を駆使してヒト好塩基球の理解を推し進め、ヒト好塩基球を起点とした治療方策に繋げることを目指します。

安原 崇哲

(有田パネル)※研究開始の猶予制度を利用中

老化による核小体機能低下がもたらす発がん機構の解明
がんは遺伝子異常が原因で発生しますが、不思議なことに変異する遺伝子の組み合わせは、いつも似たようなパターンが観察されます。本研究が目指すのは、特定の遺伝子への変異を特異的に発生させるメカニズムを解明し、この発がんにおける長年の謎に迫ることです。特に、個体の老化に従って増加する細胞ストレスに着目して、そのストレスに対する応答を介して変異箇所の特異性が決まるメカニズムを明らかにします。

山岸 良多

(有田パネル)

転写後調節に着目したSASP全容解明とがん治療への応用
細胞老化を生じた細胞がさまざまな炎症物質を産生する「細胞老化随伴分泌現象(SASP)」は、がんや加齢性疾患の発症・進展に寄与しており、現在、その制御法の確立が求められています。本研究では、SASP因子の発現誘導に関与するmRNAの安定性制御や、SASP因子の細胞外への放出メカニズムを解明することにより、SASPの制御法を確立し、がん治療における新たなアプローチを提供することを目的としています。

渡邊 征爾

(有田パネル)

小胞体・ミトコンドリア連関から切り開く神経変性疾患の新規治療戦略
神経変性疾患は神経細胞が進行性に脱落する難病で、有効な治療法が極めて限られています。最近の研究から、小胞体とミトコンドリアの接触領域(MAM)が神経細胞の機能維持に重要であることが判明し、新たな治療標的として注目されています。本研究では、疾患で選択的に影響を受けるMAMのサブクラスターに着目して神経細胞死のメカニズムを解明し、MAMの異常化を抑制することで病態を改善する、新たな治療戦略の創出を目指します。


2023年度採択

淡川 孝義

(有田パネル)

補酵素由来新規活性分子の開発
補酵素=ビタミン由来の活性分子はヒトを含む幅広い生物種の生体分子アナログとなる可能性があり、その活性、生合成機構に興味が持たれます。近年私が発見したNAD由来新規天然物の生合成機構をベースに、これまで見逃されていた補酵素や生体分子由来の生合成機構を開拓、利用し、これらを基盤としたヒト、腸内細菌における補酵素関連新規生命現象の発見、解明を行い、ヒトの恒常性維持に関わる制御システムを構築します。

磯部 洋輔

(有田パネル)

リポキシデーションによるタンパク質修飾の包括的理解と創薬展開
生体内の脂質は炎症刺激等により酸化・代謝され、その一部は細胞内タンパク質を修飾することが知られています。この現象は「リポキシデーション」と呼ばれる翻訳語修飾の一種ですが、その標的や機能的役割はほとんど未解明です。そこで本研究では、修飾を捉えるケミカルプローブとプロテオーム解析とを組み合わせた「ケミカルプロテオミクス」の手法により、リポキシデーションの標的を網羅的に解明します。さらに、修飾を模倣する化合物の探索により、脂質修飾に立脚した新たな創薬展開を目指します。

井貫 晋輔

(有田パネル)

有機化学的アプローチで迫る免疫学フロンティア
免疫システムは様々な免疫細胞が協働し、外来異物や自己成分を検知することで、多様な応答を示します。このような免疫システムを理解して制御するには、応答に関わる鍵分子の見つけ出すことが極めて重要です。本研究では、様々な機能を持つ化合物を精密に作り分けることができる有機化学的手法を用いて、免疫制御に関わる鍵化合物を探索、合成します。そして鍵化合物の未知なる機能を解明し、新たな治療法開発へ繋げます。

植畑 拓也

(有田パネル)

RNA interactomeから紐解く免疫制御機構の解明
免疫細胞による適度な免疫応答や活性化は、転写による遺伝子発現制御に加え、転写後に起こるRNA制御を介した仕組みも重要であることが明らかになってきました。しかし、RNA制御の中心的役割を担うRNA結合タンパク質の機能の多くは謎に包まれています。本研究では、さまざまな免疫現象に伴うRNAとタンパク質のダイナミックな相互作用の網羅的解析から、免疫機能を調節するRNA制御の新たな分子機構の解明を目指します。

牛丸 理一郎

(有田パネル)

タンパク質内ラジカルの精密制御に基づく革新的物質変換反応の開発
ラジカル反応は化学選択性に優れ、持続可能な物質生産を実現する潜在力を備えているものの、ラジカル種を有機分子の特定の位置に選択的に発生させ、適切に制御し望みの生成物に導くことは極めて困難です。本研究では天然酵素の機能拡張により、これまで実現困難と考えられていた物質変換を可能とするラジカル生体触媒の開発を目指します。

大澤 毅

(有田パネル)

高深度オミクス代謝連関解析によるがん悪性化機構の解明
腫瘍微小環境はがんの転移・浸潤・薬剤耐性などのがん悪性化を促します。本研究では、シングルセルやオルガネラレベルの高深度かつ時空間的な多階層の代謝オミクスデータを統合解析することで、腫瘍微小環境における臓器間―オルガネラ間で鍵となる代謝連関を解明し、腫瘍微小環境で代謝適応して悪性化する膵癌や肝内胆管がんなど難治がん治療法の開発のみならず、代謝性疾患の病態生理解明や治療法開発への応用を目指します。

河部 剛史

(有田パネル)

免疫恒常性におけるT細胞自己認識の新たな役割
CD4 T細胞は外来抗原に対する獲得免疫応答に必須のリンパ球ですが、私は同細胞中に、定常状態下において自己抗原認識依存的に産生され病原体感染時には自然免疫機能を発揮し得る「Memory-phenotype (MP)細胞」を同定しました。本研究ではMP細胞の産生・維持・分化機構や免疫学的機能の全容を解明し、感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患に対する新規治療戦略の創出につなげることを目標としています。

河本 新平

(有田パネル)

常在細菌のストレスに起因する老化メカニズムの解明
老化は様々な組織の機能低下を引き起こし生活の質の低下や加齢性疾患発症の原因となるため、健康寿命の延伸を目的とした老化研究が現在盛んに行われています。近年、加齢に伴い生じる2つの現象、すなわち「老化細胞の蓄積」と「常在細菌叢の乱れ」の老化への関与が注目されています。本研究では、宿主と共生関係にある常在細菌叢を生体ストレスの一つとして捉え、常在細菌叢が老化の進行に与える影響の解明を目指します。

口丸 高弘

(有田パネル)

自由行動動物における生体分子動態の近赤外発光撮像
自由に行動する実験動物の全身組織における生体分子動態の非侵襲的解析は、これまでいかなる手法を用いても実現していません。私は、自由行動下にあるマウスの、心臓・肝臓・筋肉・脳といった臓器組織における細胞代謝分子動態を撮像する革新的な近赤外発光分子センサを開発します。そして、自由行動動物の分子的解析に基づいた身体機能制御や疾患予防戦略によって新たな産業シーズの創出を目指します。

黒滝 大翼

(有田パネル)

クロマチン高次構造の生体内機能を理解する
私たちの細胞1個に含まれるDNAを全て繋げると約2メートルにもなります。このように非常に長いDNAは細胞核の中で様々なクロマチン高次構造を形成して収納されていますが、これらの構造が持つ機能はほとんどわかっていません。本研究では、免疫細胞におけるクロマチン高次構造形成の分子機序とその免疫学的機能を解明し、最終的にはクロマチン高次構造形成を人為的に制御することで免疫疾患の新たな治療法開発に挑戦します。

小松 徹

(有田パネル)

Proteoform レベルのタンパク質機能解析に基づく疾患の理解の深化
本研究では、細胞の機能の担い手であるタンパク質の機能を1分子のレベルで解析する基盤技術を発展させ、血液中や様々な疾患関連生体サンプル中の proteoform レベルの機能変化の発見に基づく疾患の理解の深化やこれを用いた疾患診断技術の確立を達成することを目指します。これにより、従来の106-109分子(attomol-fmol)を集団として扱う「多」の分析から「個」からの理解へのパラダイムシフトを達成します。

下山 敦史

(有田パネル)

細菌-宿主間ケミカルエコロジー戦略が拓く革新的分子免疫制御
細菌外膜由来リピドA について、構造と免疫機能の相関を解析し、細菌がリピドA構造の差異により宿主免疫応答を制御していることを明らかにしてきました。本研究では、酢酸菌や粘膜免疫制御組織の共生菌由来リピドAを安全で有用な粘膜ワクチンアジュバント(ワクチンの効果を最適化する免疫制御剤)として開発することで、経鼻・経口投与により全身免疫と粘膜免疫の双方が活性化可能な粘膜ワクチン開発を推進します。

白銀 勇太

(有田パネル)

膜融合過程で紐解くウイルス感染の複雑系
ウイルスがヒトに病気を起こすメカニズムは、謎に包まれています。ウイルスには、その粒子が脂質の膜に覆われているものがありますが、そのようなタイプのウイルスは、自身の膜と宿主細胞の膜を融合させて細胞内に遺伝子を送り込み、感染します。本研究ではウイルスの病原性(ウイルスがなぜ病気を起こすのか)を、ウイルスの膜融合制御(どのような条件で膜融合が起こるか)に着目して解明し、感染症制御の突破口を切り開きます。

関 まどか

(有田パネル)

吸虫感染症対策のブレークスルー:培養系確立への挑戦
寄生虫である吸虫は、試験管培養できないことが創薬研究の障害となっています。本研究では「有性化因子の添加」という新規アプローチで、吸虫の培養系確立に挑戦し、薬剤開発を加速させることを目指します。また、本研究を通して吸虫の性成熟機構の解明という学術的新発見が期待でき、さらには性成熟を阻害する伝播阻止薬の開発に繋がります。世界から「顧みられない熱帯病」である吸虫感染症を撲滅することも夢ではありません。

田中 都

(有田パネル)

死細胞クリアランス制御による健康寿命延伸への挑戦
我々の身体では、毎日数千億個の細胞が死に陥り、新たに分裂・増殖する細胞に置き換わることが知られています。健常時には、死細胞は速やかに処理されますが、加齢や糖尿病などの疾患により死細胞処理能力が低下し、残存した死細胞が炎症を惹起すると考えられています。しかしながら、その実態は明らかではありません。本研究では、死細胞処理の詳細な分子機構を明らかにすることで、加齢性疾患の克服と健康寿命延伸を目指します。

田村 朋則

(有田パネル)

光近傍ラベリングによるin vivoインタラクトーム解析
記憶、学習、認識といった脳の高次機能を深く理解するためには、神経活動の基盤となるメカニズムを分子レベルで解明することが不可欠です。本研究では、神経活動を制御するタンパク質間相互作用ネットワークを高い時空間分解能で網羅的に同定・解析するための新しい光ラベル技術を開発します。本研究が実現すれば、現在大きな社会問題となっている精神疾患の病態解明や治療法の確立に貢献できると期待されます。

津川 裕司

(有田パネル)

時空間統合オミクス基盤創出による脂質代謝多様性と制御機構の理解
私は、脂質メタボローム(リピドーム)データに対して機械学習や数理モデルを適用することで、細胞レベルでの脂質代謝を議論できる基盤創成を行います。また、連続切片や同一切片から得られるオミクスデータではなく、公共データなど他機関で取得されたオミクスデータの統合が可能な基盤を構築し、誰もが簡単にデータ駆動型の代謝研究ができる工学基盤を構築することを目指します。本研究では、加齢や発生に伴う脂質代謝変容を本手法によって可視化することを目指し、組織特異的に発現する脂質代謝物がいつ・どこで・どのように産生されるかを明らかにすることを目標とします。

平田 英周

(有田パネル)

ミクログリアによるがん細胞死誘導とその制御機構の探求
がん細胞を排除する「腫瘍細胞傷害性ミクログリア」とその機能を制御する「制御性アストロサイト」の本態を明らかにし、これらの細胞間相互作用分子基盤の全貌を解明します。フェーズ1では転移性脳腫瘍を、フェーズ2では悪性グリオーマを研究対象とします。研究の最終目標は、グリアネットワークを標的とした新規治療戦略や遺伝子改変型ミクログリアを用いた革新的な細胞療法を開発し、悪性脳腫瘍を根治することです。

平安 恒幸

(有田パネル)

ヒト免疫レセプターの理解と個別化抗体医薬の創出
抗体医薬は、抗体の持つ標的分子への特異的結合性を利用した医薬品であり、有望な標的分子が見つかれば疾患の新規治療法開発につながります。しかし、標的分子の中でもヒトに特有な分子は評価系が確立しておりません。本研究では、ヒト免疫レセプターLILR/KIRに着目し、その生理機能の評価系を確立します。LILR/KIRの遺伝子は個人差を示すため、将来的には個々の遺伝子に合わせた個別化抗体医薬の開発など個別化医療の実現を目指します。

藤田 宏明

(有田パネル)

フェロトーシスを制御する新たな鉄・セレン軸の解明
鉄は生命にとって必須の金属ですが、過剰量存在すると毒性を発揮し、がんや神経変性疾患などに関連する鉄依存性細胞死=フェロトーシスを誘発します。私はこれまでに、細胞に鉄を添加するだけでフェロトーシスを誘導できる系を構築し、その系を用いて制御因子の大規模探索を行いました。本研究では同定した因子群の機能解析に取り組み、フェロトーシスの制御機構だけでなく、鉄を含めた新たな生命現象の解明を目指します。

三澤 拓馬

(有田パネル)

免疫系と嗅覚系の連携に基づく新規代謝制御機構の解明
ケトン体は糖質の代替エネルギーとして合成される代謝産物ですが、癌やアルツハイマー病の進行抑制など有益な生理機能も数多く発揮するため、その合成機序を詳細に理解することは重要な課題です。これまでの解析から、食事の匂いや小腸に常在する免疫細胞の働きがケトン体の合成に多大な影響を及ぼす可能性が示唆されました。本研究では嗅覚系と免疫系の知られざる機能、そして両者の連携に着目しながら、全く新しいケトン体合成制御機構の全容解明に挑戦します。

宮本 和範

(有田パネル)

準安定結合の化学で拓く未来創薬研究
私はこれまで約二十年以上にわたり、第17族ハロゲン元素の超原子価化合物の優れた脱離能を用いてさまざまな未知の不安定活性種の発生および、未踏反応形式・反応機構の解明に成功してきました。本研究では、これらの経験および理論化学を駆使して、反転σ結合を中心とした未踏の準安定結合の性質の解明を通じて、これまでの化学空間に存在しない新規分子群の創生を基盤とする創薬研究に挑みます。

森脇 健太

(有田パネル)

細胞膜傷害の理解が拓く炎症誘導機構の新展開
細胞膜は、生理的また病理的な場面で種々の要因によって大小様々な傷害を受けています。しかし、細胞膜傷害を起こす分子機構、また細胞膜傷害が細胞に及ぼす短期的・長期的な影響とその誘導機構については未だ不明です。そこで本研究では、細胞膜傷害というイベントの前後で細胞・個体レベルで起こる現象の基本原理の理解を目指し、それらの理解を通じて、細胞膜傷害という新たな視点から、生体恒常性維持機構また病態発症・進展機構の解明に挑戦します。

李 賢哲

(有田パネル)

高度不飽和脂肪酸の質と量の自在操作による革新的脂質栄養学
DHAなどの高度不飽和脂肪酸(PUFA)は我々の体の重要な構成成分ですが、量や質が厳密にコントロールされているため生体での機能解析が困難でした。本研究では、私が独自に構築した「PUFAの量と質を自由自在に操作できるマウスモデル」と「複数の質量分析計を用いる統合的リピドミクス解析技術」を駆使することで、PUFAの新たな生理的機能や病態との関連を分子レベルで解明する革新的な脂質栄養学研究を展開します。



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