創発POメッセージ(白須パネル)
創発PO: 白須 賢(理化学研究所 環境資源科学研究センター 副センター長)
【専門分野】 植物生理学、植物病理学、遺伝学、農芸化学
東京大学農学部を卒業後、カリフォルニア大学デービス校で博士号を取得し、ソーク研究所、ノーブル研究所、ジョンイネスセンターセインズベリー研究所を経て、2006年より理化学研究所グループディレクター。2020年より同所環境資源科学研究センター副センター長。 日本植物生理学会で国際委員長等を歴任し、木原記念財団学術賞、文部科学大臣表彰科学技術賞、植物病理学会賞などを受賞し、Clarivate Analytics(旧Thomson Reuters) Highly Cited Researchersに2014年から2022年まで連続で選出される。専門は、植物生理学、植物病理学、遺伝学、農芸化学。生化学的、遺伝学的、ゲノム解析的手法を用いて、植物の免疫受容体や耐病性に関わる遺伝子・タンパク質・低分子化合物の機能を解析し、植物免疫システムおよび病原体の病原性機構の解明に取り組んでいる。
POメッセージ
農学は、生命科学・環境科学・生産科学・社会との接点を内包する、極めて複雑で挑戦的な学術分野です。その本質的な重要性にもかかわらず、長期性や不確実性の高さゆえに、これまで十分に挑まれてこなかった研究課題が数多く存在します。本パネルは、そうした「今すぐの成果は見えなくとも、将来の学術と社会の在り方を変えうる研究」に挑戦する若手研究者を支援することを目的としています。
本事業では、研究計画の完成度や短期的な実現可能性以上に、
・研究者自身が何を本質的な問いとして捉えているか
・既存の枠組みや分野の境界をどのように越えようとしているか
・その問いにどれほど主体的に向き合っているか
を重視します。
そして本パネルでは、「面白い」と心から思える研究を支援したいと考えています。それは単なる奇抜さではなく、問いの立て方に必然性があり、既存の理解を揺さぶり、新たな視点を生み出す可能性をもつ研究です。形式的な整合性のみならず、研究の本質的な魅力と将来性を評価します。農学分野における創発性は、流行の技術や派手な成果に限定されるものではありません。現象観察に基づく違和感、見過ごされてきた生物間相互作用、異分野の概念の導入、あるいは素朴であっても本質的な問い、そうした発想こそが新しい学術領域を切り拓きます。また、本パネルでは、失敗の可能性を内包した挑戦を前向きに評価します。研究者自身が「本当に取り組むべきだ」と考えるテーマを、自らの言葉で提案してください。
農学の未来は、皆さん一人ひとりの挑戦から生まれます。創発の場において、意欲的な研究提案に出会えることを心より期待しています。