創発POメッセージ(斎藤パネル)

創発PO: 斎藤 通紀(京都大学 高等研究院 教授)


【専門分野】 発生生物学・細胞生物学

京都大学医学部卒業、同大学院医学研究科にて博士号取得、英国ウェルカムトラスト発生生物学・がん研究所、理化学研究所を経て、2009年より京都大学大学院医学研究科 教授、2018年より京都大学高等研究院 教授、同ヒト生物学高等研究拠点 拠点長。
マウス・サルをモデルとして生殖細胞の発生機構を解明、その知見に基づき、マウス・サル・ヒト多能性幹細胞を起点に生殖細胞の発生過程を試験管内再構成する研究を確立、生殖生物学・医学に新しい可能性を提示、それら研究を発展させつつある。
武田医学賞、上原賞、朝日賞、恩賜賞・日本学士院賞、国際幹細胞学会(ISSCR) Momentum Award等を受賞、EMBO Associate Member、国際幹細胞学会(ISSCR) Board of Directors を務める。

POメッセージ

 本パネルでは、ゲノム生物学、発生生物学、進化生物学、生態学、人類学等を含む基礎生物学分野(詳細は 募集要項第6章6.1参照)において、本質的で将来性に富む研究を開拓・先導する若手研究者の研究を、創発プログラムオフィサー、アドバイザーからの建設的批判を含む様々なフィードバック、パネル内及びパネル間での積極的な交流・情報交換のもと、長期間に渡って支援します。本パネルの研究領域は、多様ながら深い部分で関連性を有し、本パネル研究者間での交流は、それぞれの研究を客観的に評価し、より高いレベルに発展させる礎となるでしょう。また異分野の俊英が集う、異なるパネルとの交流は、おぼろげなアイデアはあったものの実現には至らなかった、もしくは全く新しい共同研究・融合研究の契機となると期待されます。
 自然の摂理を一つ一つ明らかにする基礎科学研究は、人類の知を蓄積し、社会をより豊かな方向に推進する原動力となります。優れた研究の源流は若い研究者の旺盛な研究意欲と柔軟な発想を起点とすることが多く、そうした研究を戦略的に支援することは日本の基礎科学の底力を高める上で極めて重要です。若手研究者が、自由で独創性の高い発想を研究テーマとして実現し、成果に結実させるためには、腰を落ち着けて研究に取り組める環境と時間的な余裕が必要となります。本パネルによる支援が若手研究者一人一人の研究の発展につながり、また創発的研究支援事業での研究や議論が日本の基礎科学力向上の一助となるよう、パネルメンバー一同、力を合わせたいと思います。若手研究者皆様からの意欲的な研究提案、皆様と自由闊達な議論を交わせる機会を楽しみにしています。