創発POメッセージ(永長パネル)
創発PO: 永長 直人(理化学研究所 基礎量子科学研究プログラム プログラムディレクター / 創発物性科学研究センター グループディレクター)
【専門分野】 物性理論
東京大学工学部卒業後、物性研究所助手を経て理学博士号を取得し、同大学で講師・助教授・教授として物性物理学の教育研究に携わり、理化学研究所では創発物性科学研究センター副センター長などを歴任。日本物理学会で活動し、朝日賞、藤原賞、紫綬褒章、仁科記念賞、本多記念賞、湯川記念賞など多数の受賞を重ね、またアメリカ科学アカデミーの外国人会員に選出されるなど国際的評価も高い。磁性、超伝導、強相関電子系やトポロジカル物性の理論研究を先導し、創発電磁場の概念を拓き、量子材料研究の発展に寄与している。若手育成にも尽力し、CREST研究代表者として分野融合的な研究推進にも成果を挙げている。
POメッセージ
創発とは個々の要素からは想像もできないような現象や機能が要素間の相互作用を通じて発現することを意味しており、還元主義とは異なる考え方です。電子の集団を考えても、超伝導や磁性といった現象は多電子間の相互作用によってはじめて実現するものであり、それが多彩な世界を形作っています。これは物性物理学に限ったことではなく、素粒子・原子核といった極微の世界から、スケールの大きな地球物理学、天文学、宇宙物理学に至るまでの自然科学を貫く基本原理であることが認識されつつあります。そしてこれらの自然科学を支え、一方では自然科学から刺激を受けながら発展している現代数学の重要性は強調しすぎることはありません。
この創発という考え方は、研究者集団に対しても成立します。個々の研究者一人では成しえないことが研究者間の相互作用によって実現することは科学の歴史が証明しています。特に若い時期に様々な分野の研究者と触れ合うことは、その時にはすぐに実を結ばなくても長いキャリアの中で豊富な発想の源泉となってくれることでしょう。
本パネルでは、各分野の基本に関わるような基礎研究を中長期にわたって支援すること、そして研究者集団の創発を推進することを目的にしています。難しいけれども解けたら素晴らしい、という課題にチャレンジする研究者を待っています。私およびアドバイザーの先生方は全力で皆さんをサポートしたいと考えています。