創発POメッセージ(胡桃坂パネル)

創発PO: 胡桃坂 仁志(東京大学 定量生命科学研究所 教授)


【専門分野】分子生物学、機能生物化学、構造生物化学

東京大学定量生命科学研究所教授。埼玉大学大学院での学位取得後、米国NIHを経て理化学研究所や早稲田大学で研究・教育に携わり、2018年より現職に就く。多数の学会で理事・代議員・幹事等を務め、生命科学分野の発展に寄与している。文部科学大臣表彰科学技術賞、上原賞、東レ科学技術賞など受賞歴も豊富で、国内外から高く評価されている。分子・細胞レベルの生命現象を定量・構造の視点から明らかにする研究を推進し、クロマチンや転写機構の解明において世界を牽引している。

POメッセージ

 本パネルは、原子・分子スケールから細胞・個体レベルに至るまで、生命現象を多層的に理解しようとする研究領域を対象としています。特定の階層における研究を深化させることを基盤としつつも、蓄積された知見を異なる階層へと結び直すことで、生命を統合的に捉え直す研究を創発することを期待しています。近年、計測・操作技術や解析手法の高度化、AIの導入により、従来は分断されがちであった各階層での研究を、縦断的につなぐことも研究戦略として可能になってきました。このような視点を踏まえた独創的な研究を期待すると同時に、各階層の理解を深める堅実な研究提案も重視します。
 原則7年間という長期支援は、試行錯誤を不可欠とする研究に取り組むための重要な時間的基盤を提供します。原子・分子・オルガネラ・細胞・個体といった各階層における研究を十分に深め、その過程で生じる新たな問いや視点が階層縦断的に発展していくことを期待しています。
 本パネルでは、原子・分子から細胞・個体に至るさまざまな階層を専門とし、多様な視点と経験をもつアドバイザーに参画いただいています。アドバイザーも含めたパネル内の研究者同士の交流を通して、相互に刺激を受け合い、分野や階層を越えた新たな発想が生まれる環境づくりを重視しています。
 若手研究者の皆さんには、自身の関心と直感を大切にしてほしいと思います。分野の境界を越える研究は困難を伴うことも少なくありません。しかし生命は、既存の理解を遥かに超える未知の仕組みによって駆動されています。自身が知りたい疑問に正面から向き合う研究提案をお寄せください。皆さんの独自の発想と意欲的な挑戦に出会えることを楽しみにしています。