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アクセス ACCESS

No.5-4Ma1611月5日(土) 16:30~18:00

ステージ企画

ワクワクを探究する未来づくり~これからのSTEAM教育を考える~
Dialogue on the Future of STEAM Education

科学技術振興機構 「科学と社会」推進部/日本科学未来館
Department of Promotion of Science in Society, Japan Science and Technology Agency & Miraikan

場所:テレコムセンタービル 4Fミニステージ

企画概要

本セッションでは、この4月から本格的に高校での探究学習が始動したことを受け、学校内外でSTEAM教育や関連した取り組みをされている方々の実践事例をご紹介いただきながら、STEAM教育を今後どうしていくことが良いのか、どう盛り上げていくのか、セッション中に実施するアンケートや対話を通じて当事者である高校生の意見を交え、一緒に「これからのSTEAM教育」について考えます。

登壇者プロフィール

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加納 圭 Kano Kei

滋賀大学教育学系教授

博士(生命科学)。「カガクノミカタ」「考えるカラス~科学の考え方~」の番組委員を務めた。「幹細胞研究やってみよう!」、「TATEWARI」、「カガクノミカタくらべてみるゲーム」といったゲーム制作販売も行っている。世界一周航空券を買い、世界中の生き物を見て回った経験を持つ。

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明和電機 MAYWA DENKI

土佐信道プロデュースによる芸術ユニット。様々なナンセンスマシーンを開発しライブや展覧会など、国内外で広く発表している。音符の形の電子楽器「オタマトーン」などの商品開発も行う。7月には明和電機のおかしな楽器ばかりを集めた「明和電機ミュージックマシーン店」を秋葉原にオープンした。2023年はデビュー30周年を迎える。

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宿野 秀晴 Shukuno Hideharu

つくるまなぶ京都町家科学館館長(株)OpEL.代表取締役

Medico-tec(株)代表取締役

1986年社内ベンチャーとして、科学展示装置に特化した事業を立ち上げ科学館等への納入実績を経て、2003年Medico-tec(株)を創業。2019年「つくるまなぶ京都町家科学館」を創設し、STEAM教育の講座や装置の開発に精力的に取り組んでいる。

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小林 優子 Kobayashi Yuko

筑波大学大学院博士後期課程在籍。専門は教育学。「科学とは何か」を伝えたいとの思いから、「科学の本質(Nature of Science)」を教える方法について研究しており、高等学校の探究活動を中心に調査を行ってきた。また、研究の傍ら、YouTubeチャンネル「プラスラボ」にて研究者にインタビューを行っており、これまで大隅良典先生や古市泰宏先生ら10名のインタビュー動画を公開している。

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池 恩燮 Chi Eunsup

大分県立大分舞鶴高等学校 教諭

4歳の頃に韓国から来日し、アニメを通して日本語を学ぶ。高知大学理学部修士課程修了後、公立高校の生物教員となる。教員を続ける中で、「自身の指導力を向上させるには、研究者としての経験が必要」と考え、同学医学部博士課程にて研究を深める。2018年、現職場でのSSH申請書の作成をきっかけに、STEAM教育と出会い、その可能性を感じる。以降、STEAM教育の実践を継続中。

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大島 まり Marie Oshima

東京大学大学院情報学環/生産技術研究所 教授

東京大学大学院工学系研究科 博士課程を修了、博士(工学)。

専門はバイオ・マイクロ流体工学、脳卒中などの循環系疾患のための血流シミュレーション統合システムの開発研究に従事。

2006年より現職。また、2011年より東京大学生産技術研究所 次世代育成オフィスの室長を務め、STEAM教育に取り組んでいる。

プログラム

16:30

オープニング 趣旨及び構成説明、STEAM説明、登壇者紹介(10分)

   滋賀大学教育学部 教授 加納 圭

16:40

アイディアを形にする力(15分)

   明和電機

16:55

科学館での実践事例(15分)

   つくるまなぶ京都町家科学館 館長 宿野 秀晴

17:10

学校内での実践事例(15分)

   筑波大学大学院人間総合科学研究科 博士後期課程 小林 優子

   大分県立大分舞鶴高等学校 教諭 池 恩燮(チ ウンソブ)

17:25

学校連携での実践事例(15分)

   東京大学大学院情報学環/生産技術研究所 教授 大島 まり

17:40

登壇者議論+まとめ(20分)

出展レポート

企画概要の補足

「STEAM教育の推進による探究力の育成強化」などの国の政策的な動向を受けて、JST「科学と社会」推進部と日本科学未来館では、STEAMに携わる実践者をお招きして、ワクワクを探究するこれからのSTEAM教育について、多様な視点から色々な切り口で議論を交わすセッションを企画しました。

話し合った未来像

STEAM教育を実践するにあたっては、解を見つけるための教育ではなく、好奇心をもって自分なりの問いを立て、自分なりの表現をしながら、多様な考えや多様性を認め合う、そのようなプロセスを複数回まわしながら身に付けていくことが大切。

セッションでの意見、論点

  • 明和電機土佐さんからは、声に着目して、オタマトーンができるまでのアイデアやスケッチ、作品を紹介しながら、好奇心や興味から、ものづくりに繋がったストーリーを紹介しました。
  • つくるまなぶ京都町屋科学館宿野さんからは、街の中に科学コミュニケーションの場をつくりたい!という想いから、ものづくりのワークショップを通じて、自ら問い・考え・行動することができるスキルを育み、京都ならではの伝統工芸なども体験できるプログラムや理系×人文・アート技術を融合させた楽しく学ぶSTEAM教育プログラムを紹介しました。
  • 筑波大学小林さん、大分舞鶴高校の池さんからは、高校での1年間の“舞STEAMs”の実践事例として、ひとりで考え→人と相談し→みんなの意見を聞くステップを踏みながらどのような科学の性質(科学とは何か)を伝えられるか、科学者の考えるプロセスや営み・社会性を体験するカリキュラムを紹介しました。
  • 東京大学大島さんからは、研究を題材にしながら、企業や地域との連携ワークショップによる協調的な学びと教材開発を通して、科目横断的で課題解決する力を養うSTEAMプログラムの実践を紹介しました。
  • 後半のディスカッションでは、STEAMに“A”が入っている理由として、“自己探究(つくる。深掘り。)”と“見せる(表現方法。コミュニケーション)”の側面があるのではないか。“Art”には、いろんな形で具現化するという意味も含まれるため、自分の考えたことを誰かに伝えようと思うと、Aが必要となることが議論された。
  • さらに、TやEが加わることによって、自分のアイデアを形にする、多様な表現ができるようになっている、という意見もあった。
  • STEAM教育において“答え”は何か?という問いに対して、答えは知識が蓄積されると自ずと導き出されるものであり、生徒には答えを教えるのではなく、より先の姿や社会を見つめてほしい、そういった活動になれば良い。とりわけ学校教育では解を見付けたがるが、解はそれぞれ(個人の問いに対する考え)であり、表現することで多様な考えを認め合うことが大切、という意見が交わされた。

セッションで出たキーワード

ものづくり、体験、探究学習、探究のプロセス、好奇心、多様性

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