《サイエンスアゴラオンライン》
1020日(木)~22日(土)

《前夜祭》
111日(火)

《サイエンスアゴラ実地開催》
114日(金)~6日(日)

アクセス ACCESS

No.22B1910月22日(土) 19:00~20:30

オンライン企画

メタバースで未来のサイバネティック・アバター生活を考えよう
Let's imagine and co-cureate a future cybernetic avatar society in metaverse

VRC理系集会
VRC Science Assembly

場所:オンライン

企画概要

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ロボットや3Dアバターを応用した技術は、私たちの生活を日々進化させています。このように、身体能力や知覚・認知拡張することで、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会の実現を目指す、サイバネティック・アバター技術開発が進んでいます。

この研究は私たちの生活をどう変えていくのでしょうか?このプログラムでは、メタバース空間としてVRChatを利用し、日々アバターを用いて活動しているAI、VR、摩擦学、ヘルスケア、児童発達支援の専門家と参加者の対話を通じて未来像を考えます。メタバース特有の物理的な距離や、肉体的な性別、年齢、社会的な立場をこえるコミュニケーションで未来像を共創しましょう!

本イベントはZOOM視聴とメタバース空間であるVRChatからの参加の2種類の参加方法をご用意しております。

いずれの参加方法についても、まずはサイエンスアゴラ公式ホームページの参加登録サイトへでの参加登録手続きをお願い申し上げます。

VRChat参加希望者を対象に、別途参加方法や注意事項に関する情報をご案内させていただきます。

登壇者プロフィール

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鈴懸 リノア Suzukake Rinoa

コロナ禍で減少した学術交流を加速するためのメタバース交流イベント【VRC理系集会】筆頭スタッフ。個人としては、皮膚科学、組織工学を専門とする研究者としてヘルスケア企業での皮膚用薬・化粧品研究開発を本業としながら、スキンケアに関わる科学技術解説をする皮膚科学系Vtuberとして活動中。

Twitter: https://twitter.com/SuzukakeRinoa

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ヒノリデ hinoride

コロナ禍で激減した学術交流を推進するメタバース交流イベント「VRC理系集会」共同主催。現在は摩擦・摩耗・潤滑を取り扱う学問分野「トライボロジー」の研究に従事している。またメタバース上に摩擦を体験できる空間「トライボロジーワールド」を作成し、トライボロジーの知名度向上に努めている。

Twitter: https://twitter.com/hiddenotna

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亀岡嵩幸 ふぁるこ Takayuki KAMEOKA faruco

電気通信大学大学院博士後期課程。専門はVR、HCI、Haptics、触覚の基礎メカニズムから工学的な応用まで幅広く取り組む。個人活動として尿失禁感覚を再現、提示する装置の開発を行う「失禁研究会」を運営。また電脳空間で学会を開催するバーチャル学会を主催。

Twitter: https://twitter.com/faruco10032

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HAL 9001 HAL 9001

人工知能や機械学習に関する非専門家向けの解説動画や、専門として学びたい人のための講義動画をYouTubeにアップロードしています。人工知能は今世紀で最も重要な領域の一つであり多くの人生を左右する技術だと思っています。一人でも人工知能へ関心を持つ人が増え、一つでも技術への誤解を減らすために活動を行っています。

Twitter: https://twitter.com/WorldEnder_9001

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はやかわ りんね Hayakawa Rinnne

精神保健福祉士・心理職として児童福祉に携わる仕事を本業としており、VTuberとしてボイチェンを用いた歌唱・ライブ活動の他、YOUTUBEライブだけでなく地上波地方ラジオにおいて心理学・児童福祉に関する情報発信を行っている。

Twitter: https://twitter.com/hayakawarin_ne

プログラム

19:00

冒頭説明

イベント進行の説明、ファシリテーター自己紹介、ディスカッションチーム分け

19:10

1st セッション

ファシリテータによる、各分野におけるサイバネティック・アバター生活に関係する研究や社会環境に関する説明と質疑応答

19:30

2nd セッション

チームメンバーシャッフルの後、未来像や技術的課題に関する分野横断型のフリーディスカッション

19:50

ファシリテーターによるまとめのディスカッション

20:00

全体ディスカッション

20:15

VRC理系集会の進めるメタバースサイエンスコミュニケーションの取り組みのご紹介

出展レポート

企画概要の補足

本企画では、サイバネティック・アバターに関するディスカッションそのものに加えて、イベントを通じてメタバース空間でサイエンスコミュニケーションをとる事の新しさ、特徴、意義や可能性を実感してほしいという願いが込められていました。参加者が異なる場所に居ながら同じ空間と体験を共有して目と目を合わせて話す共感、現実では実現しえない大空間や仕掛けで理解を促進できるツールとしての可能性などを感じていただき、現実や他のデジタルプラットフォームで行われるサイエンスコミュニケーションとは異なる新たな可能性を見出してほしいと考えていました。
更に、メタバース空間が新しいサイエンスコミュニケーション、共創の場として実際に成長していくためには、その場で科学や未来を語る活発な人間関係の形成が不可欠です。そこで、本イベントでは参加者同士のネットワーキング、すなわち「フレンド」としてつながり「またメタバースで議論しよう」という次の機会につながることを願い、積極的なフレンド申請を呼びかけました。

話し合った未来像

サイバネティック・アバター生活が一般化する過程と、一般化した社会の理想像や課題点

セッションでの意見、論点

  • 異分野融合連携の重要性
    ある分野の研究に従事する者から、異分野の研究方針や目標を知ることで、自身の研究分野の応用先のイメージと必要性が再認識できたという声があった。
    更に、そのトライボロジー研究の成果として高性能な駆動性を持つロボットが生まれたとして、その動作制御として人間の高度技能を学習させるには空間分析や最適化AIなどとの連携が必要になる。今ある実例はそれらをすべてカスタムメイドした成果であり、それゆえに一般化しにくいという指摘があった。解決課題の規模にかかわらず(例えば日常の料理から高度な細胞生物学研究まで)分野をこえた技術に人間が自由にアクセスして臨むツールを作れる環境と意欲が重要だという議論がなされた。
  • サイバネティック・アバター技術やAIとヒトの共生関係
    ヒトの高度な技術を代替する技術が生まれれば、それはその技能者の社会的価値に影響するのではないか?という議論が様々な側面からなされた。セッションで出た一つの意見としては、技術の進展でロボットやAIがヒトの作業を代替したとしても、ヒトは更にその先にある新しい課題を解決したりや価値を創造するために、技術が想定していない範囲への応用を続けるのではないかという前向きなものがあった。確かに、産業革命で重労働から解放されたヒトは現代新しい情報処理を発明しつつあり納得感はあった。
  • 人間性に関する研究
    ヒトの身体的制限や能力を拡張する研究の議論を行うと、様々な側面で「人間性とは?」という問いにぶつかった。不明な最適化理論を直感として駆動させ、行動を決定する人間も、AIもはたから見れば同じようなことをしているのに、何が違うのか?何に温かみを感じ何に不気味さを覚え、倫理とは何なのか?短い時間のイベントで確たる結論が出たわけではないが、参加者の多くが人間性の理解に大きな関心を寄せていることは分かった。
  • 研究者が聴衆をリクルートするという重要性
    古来は学者が市民に対して自身の学問の有益性を説き、自発的に自身の学び舎に足を運ぶ生徒を自ら集めたという話が上がった。今回のイベントはファシリテーターの多くが匿名であり、社会的に特別な地位にあるわけではないため、集客をする中で「面白い、楽しい、ためになる」ということを伝えるために多くの努力をした。結果、一定数の参加者にご参加いただいたが、ディスカッションの熱量は高いものだったのではないかという意見を頂いた。ファシリテーター側も「伝え方」を工夫する中で学びがあった。

セッションで出たキーワード

  • 共創、異分野融合、興味関心を持つこと、楽しむこと
  • 新しい技術と人の共生関係
  • 人間性の理解、倫理、法規制
  • サイエンスコミュニケーションとアウトリーチ、研究者の伝え方

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