《サイエンスアゴラオンライン》
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アクセス ACCESS

No.22A1410月22日(土) 14:30~16:00

オンライン企画

地域課題をオープンデータで深掘る!〜RESASの活用法
Digging deeper into regional issues with open data!

STEMLeaders
STEMLeaders

場所:オンライン

企画概要

持続的な地方創生の実現には、若者の参画は不可欠と考える。一方で、若者は知識・経験が不足することも多く、自ら社会課題を発見することが難しいという状況もある。

本企画では、この障壁を越えるためにデータが大きな武器となることを理解し、今後の地域活性化プロジェクトのきっかけとなることを期待する。

パネルディスカッションでは、RESASデータから学生がどのように課題を発見できるか紹介し、参加者との意見交換を行う。次に、STEM Leadersで実際に取り組んでいるプロジェクト事例を紹介し、熱意を伝えるとともに、今後の発展方法について参加者と自由に対話していきたい。

登壇者プロフィール

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村重 慎一郎 Murashige Shinichiro

・STEM Leaders理事長、福島大学非常勤講師、津田塾大学客員研究員、元内閣府RESAS専門委員

・前職アクセンチュア株式会社では企業変革に従事。2011年8月より復興・スマートシティの拠点「アクセンチュア・イノベーションセンター福島」の設立・運営を担当。2014年以降、官公庁におけるデータサイエンスプロジェクトを多数推進。佐賀県庁のアナリティクスアドバイザーを担当

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下山 千賀 Shimoyama Chika

・梅光学院大学文学部4年、STEM Leaders 下関プロジェクト前リード

・山口県下関市出身、介護デジタルハッカソンin下関2021において最優秀賞を受賞

・下関は自然や人の温かさに恵まれた住み心地の良い地元だが、若者が少なく、都市部への転出者も多い。長く下関に住んでいる方だけでなく、若者や転入者に対しても魅力的な街になることを目指して、課題解決プロジェクトに取り組んでいる。

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助川 直人 Sukegawa Naoto

・下関市立大学経済学部2年、STEM Leaders 下関プロジェクトBizリード

・愛知県出身、介護デジタルハッカソンin下関2021において最優秀賞を受賞

・下関はスマートシティを推進している。若者よりもデジタルに疎遠である高齢者が社会から取り残されないよう、世代間の架け橋になりたいと想う。高齢者の立場になって考え、より住みやすい街の実現に向けて取り組む。

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金子 正斗 Kaneko Masato

・青山学院大学国際政治経済学部1年、STEM Leaders サイエンスアゴラ企画担当

・福島県会津若松市出身

・現在は東京に在住し、都市と地元の差を感じた。地元の活性化のため、データを分析することで若者に貢献する方法を伝えるとともに自らも貢献していきたいと思っている。

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小林 佑輔 Kobayashi Yusuke

・会津大学コンピュータ理工学部1年、STEM Leaders 会津プロジェクト

・福島県会津若松市出身

・アクティブシニアと呼ばれる、言わばぴんしゃんとしている高齢者の方たちと若者をつなぐマッチングアプリを製作しています。アクティブシニアと若者が連携することで地域は明るい方向へ向かうと考えている。

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鈴木 愛彩 Suzuki Aisa

・津田塾大学学芸学部3年、STEM Leaders 会津プロジェクトリード

・愛知県出身

・普段関わりが少ない高齢の方と若者の異世代をつなぐアプリ開発に向けて、プロジェクト活動中。会津若松市から、高齢の方と若者が繋がり助け合う社会を広げていきたい。

プログラム

14:30

・はじめに

・社会課題解決の進め方 と データの使い方

14:45

<パネルディスカッション>

・テーマ:RESASから地域課題を見つけ、大学生の役割を考える!

・登壇者:下山、助川、金子、小林

・ファシリテーター:村重

15:10

・STEM Leadersの取り組み紹介

(1)会津プロジェクト:デジタルで世代を超えた共助を実現!

(2)下関プロジェクト:つながるスクール〜高齢者とこどもの交流による地域コミュニティ・認知機能の維持!

15:25

<グループディスカッション>

・会津若松と下関のプロジェクトについて対話

15:45

・グループディスカッションの共有

・クロージング

出展レポート

企画概要の補足

  • NPO法人STEM Leadersでは、複数の社会課題解決プロジェクトを推進しています。本企画では、会津若松市と下関市でプロジェクトを推進している大学生が登壇し、若者が社会課題解決や地方創生に取り組みきっかけとしての「データ」の重要さ、現地ヒアリングなどを通じた課題の深掘りなどの手法の意義について、対話を通じて紹介することを目的としました。
  • 前半は、元RESAS専門委員の村重氏より、課題解決に取り組む上でのデータの重要さ、RESASの活用イメージを紹介しました。後半では、大学生メンバーの人口減少に関するデータへの考察と自身の取り組みのきっかけに繋がる想いをパネルディスカッションで大学生が話し合い、STEM Leadersの会津若松市、下関市でのプロジェクト概要を説明しました。

話し合った未来像

  • 若者が主体者として自覚し、異世代と交流することで地域創生に取り組む社会
  • 社会課題に気付き、取り組むきっかけとして、データを適切に読み解き、仮説を立ててアクションに繋げることが重要
  • データでわかることには限界があるので、現地調査・ヒアリングなどを通して課題の深い理解、解決策の検討をすることが求められる

セッションでの意見、論点

    <下関プロジェクトについて>

  • 下関市のRESASデータを見て、若者の流出が顕著であると理解した。若者が魅力を感じることができるようにするために、若者が発信できる機会を与えることができるようなアプリケーションも考えるとよいのではないか。
  • 下関市は、隣に福岡県など人が集中する場所が存在する。結果的に、大学進学者や就職をする若者は下関もしくは山口県外へ就職を考える人が多い。理由として、デジタル技術などを活かした企業の発展やそのような企業を知る機会が不足していることが考えられる。大学生の個人的な意見ではあるが、仕事は福岡、家は下関といったように、ベッドタウンとしての発展の仕方もあると思っている。
  • 下関市はどちらかというと歴史などのPRが主になっている印象。自分の大学には、韓国留学を目的に進学してきた学生も多くおり、韓国語・中国語を勉強している学生も多い。そういった地域特性を活かして、韓国市場への進出を考えるような企業が立地してくるなどの可能性もあるのではと感じている。そういう仕事であれば、若者も下関で仕事し、働きたいという人も増えるのではないかと思う。
  • 多くの地域でICTを活用した取り組みが進んでいるが、どこでも高齢者のデジタル機器への抵抗が課題になっていると認識している。それについては、どのように考えているか。
  • 高齢者のデジタル機器への抵抗に関しては、アプリの操作の簡易化をする事で解決できるよう取り組んでいる。アプリの操作の比重を高齢者と若者で変えている。例えば、マッチングに関わる操作が複雑になる部分は若者側で行うようにして、高齢者が操作する項目はシンプルなものに絞り込んでいる。
  • 地域でのプロジェクトを進めていく上で、下関市の職員の方々、介護事業者などの地元企業の方々の協力がとてもありがたかった。現場のヒアリングを通じて、課題が具体化され、自分たちの活動も中身が充実してきたと思う。デジタル介護プロジェクトを進める上で、当事者である高齢者、若者だけでなく、行政、地元企業、学校といった、多様なレイヤーが共通の目的に向けて一緒に取り組む環境は非常に重要であると思う。
  • 昨年下関市で行った「介護デジタルハッカソン」は正にそこを意識した座組みであった。やはり異世代間交流、若者が主体的に動くことで周りの大人も動く、という仮説は正しかったと思う。
  • <会津プロジェクトについて>

  • 会津若松市と下関市のRESASデータを比較すると、今の会津は10年前の下関と同じ状況ではないかと見える。そう考えると、人口減少が更に加速すると推測できるのではないかと思う。下関の直近10年における状況を調べ、参考にするところは参考にし、反面教師とするところは反面教師とすることも一つのアプローチになるのではないか。
  • 会津若松市の人口集中地帯がわかる人口メッシュ図の現在と10年後を見比べた際、明らかに人口が減少している。また、若者の地元進学率が全国平均より低い。理由の一つに、交通インフラが整っていなく、生活には車が必須ということもあり、若者にとって住みにくいと感じてしまう状況があると思う。
  • 自分は、東京の大学に進学してはじめて、会津はスマートシティが進んでいるという話を聞いた。高校時代に会津にいたときには知らなかった。中学校、高校などの時点で(進路を決める前に)、もっと地元の若者に地元の新しい取り組みを伝える方法があっても良いのではと思った。
  • RESASの会津若松市のデータを見ると、10代、20代の若者の転出超過が顕著である一方で、上の年代では転入が多い時もある。進学を機に流出した若者を再度呼び戻すための施策もあって良いのではと思う。
  • 一方で、データからだけでは会津の地元の方が戻ってきたかまではわからないため、会津から転出した人を呼び戻すだけではなく、結果として若者が増えることを目的として、若者を誘致できるような施策も効果的ではないかと思う。
  • RESASデータでは、会津若松市の老年人口の増加と生産年齢人口の減少が顕著である。お年寄りが多いのであれば、お年寄りの知恵とそれを欲する若者をマッチングさせるような方法も考えられるのでは。
  • 現在、STEM Leadersの会津プロジェクトでは、高齢者と若者の異世代間交流を実現するアプリ開発に取り組んでいる。高齢者の知識・経験を求めて、若者が頼るという点をアプリの核にしている。
  • 福島市と連携でデータ分析した際には、高齢者の幸福感に影響を与える要素として、「他者との交流」、特に若者との交流という点が確認できたことを踏まえて、アプリ設計を行ってきた。

セッションで出たキーワード

デジタル世代、世代間交流、データ分析、データオリエンテッド、SNS、若者の発信、スマートシティ、デジタルデバイド、デジタル・アナログの融合、中学・高校でのデータ分析教育

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