《サイエンスアゴラオンライン》
1020日(木)~22日(土)

《前夜祭》
111日(火)

《サイエンスアゴラ実地開催》
114日(金)~6日(日)

アクセス ACCESS

No.20B1910月20日(木)19:00~20:30

オンライン企画

「共感」すれば、共存できる?~脳のしくみと文化の視点から
Does Empathy Help Us Coexist? -- Cultural and Scientific Perspectives

日本科学未来館
Miraikan - The National Museum of Emerging Science and Innovation

場所:オンライン

企画概要

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日常生活から仕事まで、人と人との関係が語られる際によく耳にする「共感」。わたしたちが他者を助けるきっかけにもなれば、しすぎて疲れてしまうこともありそうです。

このトークセッションでは、脳神経科学と文化人類学の研究者をお呼びし、脳のしくみと実社会における人間行動の双方から、「共感」とは何かを考えていきます。イベント後半では、皆さんから意見をいただきながら、「共感」がどのような場面で生まれ、人と人との関係の中でどう働くのかを掘り下げます。

コミュニケーションやダイバーシティ・インクルージョンに興味がある方は、この機会にぜひ、私たちと一緒に「共感」を見つめ直してみませんか?

登壇者プロフィール

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定藤 規弘 Sadato Norihiro

生理学研究所 システム脳科学研究領域 心理生理学研究部門 教授

1994年京都大学大学院医学研究科修了。博士(医学)、放射線診断専門医。専門は脳神経科学、医療画像。機能的MRIなどの脳機能画像法と、脳波計測などの電気的手法を用い、人間の高次脳機能のメカニズムを研究している。

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松村 圭一郎 Matsumura Keiichiro

岡山大学 文学部 准教授

2005年京都大学人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。専門は文化人類学。エチオピアなどのフィールドと日本を往復しながら、社会の成り立ちを紐解いている。主な著書に『うしろめたさの人類学』『はみだしの人類学』。

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飯田 綱規 Iida Tsunaki

日本科学未来館 科学コミュニケーター

心理学やシミュレーション研究の専門家など、研究者と参加者とが対話するイベントを多く担当。科学技術や社会について考える基礎として「人間とは何か」に注目しています。登場人物に「共感」しながら見られる映画が好き。

プログラム

19:00

<はじめに>

飯田綱規

ファシリテーターより、イベントの趣旨説明、およびプログラムと登壇者の紹介を行います。

19:05

<話題提供①脳神経科学の視点から>

定藤規弘氏

脳神経科学では、自分を他者と同じ存在とみなすタイプの共感と、自分と他者をあくまで別の存在として相手の状況を推測するタイプの共感が、関わり合ってはたらくと考えられています。それぞれの共感と他者のために行う行動(向社会行動)との関係について、脳機能を画像から解析する分野の第一人者、定藤規弘氏からお話しいただきます。

19:25

<話題提供②文化人類学の視点から>

松村圭一郎氏

「共感」が生じるか、またそれが、他者のために行う行動に結びつくかには、その人が属する文化が影響すると考えられます。気鋭の文化人類学者である松村圭一郎氏からは、異文化に分け入って暮らした経験や、氏が“共感大国”と評するエチオピアと日本の比較をもとに、実社会の人間行動を観察して得た知見をお話しいただきます。

19:45

<ディスカッション>

パネリスト:定藤規弘氏、松村圭一郎氏 ファシリテーター:飯田綱規

脳神経科学と文化人類学の視点から、多面的に「共感」の理解を深めます。

19:55

<ここまでのまとめ>

20:00

<対話パート>

パネリストとファシリテーター、そして皆さん

寄せられた質問や意見をもとに、「共感」がどんな場面で生まれ、人と人との関係でどう働くか、議論を深めます。皆さんの様々な経験と、2つの研究分野の知見を混ぜ合わせれば、「共感」への新たな理解が生まれるかもしれません。

※対話パート内で寄せられた発言やコメントは、発言者が特定されないかたちでレポートなどにまとめて公開させていただくことがあります。また、本イベントの映像はアーカイブ配信されますが、対話パートについては公開されません。対話パートの視聴を希望される方は、ライブ配信をご覧ください。

20:25

<ふり返り>

全体のまとめを行います。

20:30

<終了>

※このイベントでは、登壇者が皆さんのコメントを見ながら議論を進めていきます。チャットにて意見や質問をぜひお寄せください。

出展レポート

話し合った未来像

  • 多様な人が互いの違いを尊重しながら(向社会行動などを通して)共存する未来

セッションでの意見、論点

  • 共感の発生は社会的な文脈の影響を受ける。
  • 「私」は身体に閉じ込められているわけではない。他者との関係性に応じ、身体的・感情的なシンクロ(共感)を介して変化する。
  • 共感はすべて主観、いわば勘違いとも言えるが、私たちの社会にとっては重要である。
  • 未来では、情報通信や自動翻訳技術の発展により他者の文脈への理解が進み、(向社会行動へのコストを伴う)認知的共感が異なる立場の人にも芽生えやすくなることで、向社会行動は増す可能性もある。
  • お互いの文脈をシェアしながら異なる立場の他者とかかわることで共感が生まれ得る。その結果「自分」が変容して、取れる行動の選択肢が増えることで、他者のための行動に結びつく可能性がある。

セッションで出たキーワード

向社会行動、情動的共感と認知的共感、間接互恵性、視点取得、社会的コスト、共感のスイッチ、贈与と商品、社会的文脈、予測と習慣と誤差、シンクロ、多様性、アイデンティティ、間主観性、身体性、ナラティブ

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