研究開発テーマ & 研究課題

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  4. フォトニクスポリマーによる先進情報通信技術の開発

本テーマは平成30年度をもって終了しました。
所属・役職は終了当時の情報に基づきます。

フォトニクスポリマーによる先進情報通信技術の開発

プログラムオフィサー

宮田 清藏PO写真

プログラムオフィサー(PO)

宮田 清藏

東京農工大学 名誉教授

専門分野

有機及び高分子材料の電気光学物性、カーボンアロイ触媒

研究開発テーマの設定趣旨

1.研究開発テーマの概要

 21世紀社会の根源的な課題は安心安全でエネルギー消費の少ない低炭素社会を実現することです。この実現のための最も有効な方法は、多様な情報を高速にかつ安全に伝える高度なコミュニケーション技術を開発し、最小の人やモノの移動で十分なコミュニケーションを行える高度コミュニケーション社会を実現することです。高度コミュニケ-ション社会を実現するためには、現存技術の限界を越えた革新的な情報通信技術の開発が不可欠です。本研究開発テーマの目的は21世紀の情報通信技術の根幹をなすフォトニック通信に従来技術の限界を超えた先進情報通信技術を開発し、高度コミュニケーション社会の基盤を支えるフォトニック通信分野に新しい産業を創出することです。このためには基礎となる光技術とともにそれをデバイスとして実現する材料技術の展開がきわめて重要です。本研究開発テーマでは、近年に急速に発展してきた光物理や光エレクトロニクスの技術と、広範な産業技術に道を開くフォトニクスポリマー科学とを融合し、実用技術や産業技術として大きく展開させます。展開する技術としては、超高速大容量フォトニック通信から高度のセキュリティを保証する量子通信にわたる諸技術を対象とします。具体的には、光子発生を含む光発生、光変調、光伝送、光信号処理、光メモリ、ディスプレイなどについての革新的な技術開発を行い新しい光産業の創出を目指します。

2.プログラムオフィサー(PO)による公募・選考・研究開発テーマ運営にあたっての方針

 高度コミュニケーション社会を実現し安心安全でエネルギー消費の少ない低炭素社会を実現するためには、現存の情報通信技術の限界を越えた革新的な情報通信技術、とりわけ革新的フォトニック通信技術の開発が不可欠です。本研究開発テーマではフォトニック通信技術を革新することにより高度コミュニケーション社会の基盤技術を確立します。開発の要点はさまざまな特性を自在に操作できるポリマーフォトニクス材料をベースに光技術を展開することです。開発した技術を10年後には実用技術や産業技術として確立することを目指します。対象としては、超高速大容量フォトニック通信から高度のセキュリティを保証する量子通信にわたる諸技術を扱います。具体的には、光子発生を含む光発生、光変調、光伝送、光信号処理、光メモリ、ディスプレイなどがその対象となります。各技術課題については、基礎的な視点と実績に裏打ちされた独創的な技術提案を期待します。ブレークスルーにつながり得るような発想の転換も期待します。以下に、課題例を5件挙げます。なお、例示した課題以外であっても優れた提案であれば採択の対象とします。

1)量子フォトニクス

 高度なセキュリティを保証する将来の情報通信技術として量子情報諸技術が開発されていますが、現状技術は極低温動作や光ファイバーへの組み込みが困難などの問題があります。ポリマーフォトニクス技術により室温で動作し光ファイバーシステムへの組み込みが容易な量子情報技術を開発し、実用技術として発展させることが期待されます。開発テーマとしては、オンデマンド単一光子発生、高効率な光子対発生、光量子メモリ、などが期待されます。

2)ナノハイブリッドポリマー

 ポリマー材料に種々のナノ粒子を担持することにより従来のフォトニック材料を越える機能を生み出すことを期待します。またポリマー材料の易加工性を発展させさまざまなフォトニックデバイスを開発することを期待します。光機能としては超高速の光変調などが期待されます。従来の材料の限界を越えた新材料を開発し、光ファイバーネットワークに組込み可能なデバイスとして確立させることが期待されます。

3)ナノ配向制御

 適切に分子設計することによりポリマー分子を規則的に配列した液晶ナノ構造を作成し、新規デバイス技術を開発することが期待できます。特に、液晶の自発的高次構造形成を用いてさまざまな光機能を大面積で実現することが期待されます。具体的には、偏光制御素子や回折格子などの光学素子、大面積の面発光レーザー、ファイバーシステムに組み込み容易なポリマーフォトニック結晶、さらには高精細ディスプレイにもつながる技術などが期待されます。

4)フォトリフラクティブポリマー

 分子設計を自在に行えるポリマー材料により大面積で高速応答可能なフォトリフラクティブシステムを開発することが期待されます。このためには、ポリマー材料で問題になる経時安定性や透明性を解決し、駆動電場を低減できる新材料の開発も期待されます。また、開発したポリマー材料により、ホログラフィックディスプレイ、生体認証などの新しい技術を開発することが期待されます。

5)大容量光メモリ

 急速に増大する情報ストック量に対応し同時に情報ストックに要する消費エネルギーを軽減する新しい技術の開発を期待します。そのためには、光波が記録できる情報量を飛躍的に増大する新技術の開発が期待されます。さらに、記録媒体としても3次元的に超高密度で記録可能な新しい材料の開発が期待されます。最終的には、新技術により画像や動画なども直接記録できるシステムを開発することが期待されます。

プログラムオフィサー(PO)及びアドバイザー

(敬称略)

  氏名 所属・役職
PO 宮田 清藏 東京農工大学 名誉教授
アドバイザー 池本 陽一 積水化学工業株式会社 人事部 リスクマネジメントグループ長
アドバイザー 梅原 俊志 日東電工株式会社 取締役 専務執行役員
アドバイザー 久我 隆弘 東京大学 総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系 教授
アドバイザー 小山 剛史 キヤノン電子株式会社 光学技術研究所 副所長
アドバイザー 雀部 博之 千歳科学技術大学 名誉教授
アドバイザー 高田 俊二 千葉大学 大学院融合理工学府 客員教授
アドバイザー 西川 恵子 千葉大学 大学院理学研究院 特任教授
アドバイザー 八瀬 清志 国立研究開発法人産業技術総合研究所 
機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター 招聘研究員
アドバイザー 千田 武 セリオ国際特許事務所 弁理士

課題

※プロジェクトマネージャー(各課題のとりまとめ役)はお名前を太緑字にしてあります。

(敬称略)

高速応答性有機フォトリフラクティブポリマーの創製と先進情報通信技術の開発
※H27年度終了

開発リーダー
守谷 徳久
大日本印刷株式会社 第1本部 技術開発ユニット開発第1部 開発第1課 課長
研究リーダー
堤 直人
京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 教授
課題概要
目に優しく、動的な画像を立体的に表示できる3次元立体ディスプレイやテレビへの強い需要があります。低電圧駆動あるいは無電界駆動で高い回折効率、高い光学利得ならびに高速応答性を持つフォトリフラクティブポリマー材料を用いたリアルタイムのホログラフィック表示方式の開発により、3次元立体動画リアルタイム表示システムを実現します。

高分子ナノ配向制御による新規デバイス技術の開発

開発リーダー
依田 英二
JXTGエネルギー株式会社 機能材カンパニー 機能材研究開発部 部長
研究リーダー
戸木田 雅利
東京工業大学 物質理工学院 准教授
課題概要
情報通信、高精細・大画面ディスプレイでは、様々な光機能を持つ光学フィルムやデバイスが不可欠です。ポリマーの配向、周期構造などの高次構造制御技術、ブラシ状ポリマー、ナノ粒子分散などの形態制御技術およびプロセッシング技術を確立し、大面積・高性能な各種光学素子や液晶レーザー発振型のディスプレイなどを開発します。

テラバイト時代に向けたポリマーによる三次元ベクトル波メモリ技術の実用化研究

開発リーダー
多田 行伸
株式会社日立エルジ-データストレージ 開発本部
Chief Specialist
研究リーダー
谷田貝 豊彦
宇都宮大学 オプティクス教育研究センター 特任教授
課題概要
画像情報、特に動画や3次元画像の普及拡大により、メモリに要求される容量は益々増大します。光の位相と強度の波面情報に偏光情報を加えたベクトル波情報として3次元的に記録できるフォトニクスポリマー偏光記録材料と高速処理ができるページデータ記録方式の組合わせにより、テラバイト時代の3次元ベクトル波メモリ技術を開発します。

ナノハイブリッド電気光学ポリマーを用いた光インターコネクトデバイス技術の提案

開発リーダー
各務 学
株式会社豊田中央研究所 BR総合企画室・成果アセスメントG 主席研究員
研究リーダー
杉原 興浩
宇都宮大学 大学院工学研究科 教授
課題概要
LSIチップ間/内配線の信号伝送性能限界が顕在化してきており、これを解決する技術として光配線が注目されております。将来的には小型高速光変調器や波長選択素子等の機能性素子を光配線上に集積して高性能化することが必須です。これを実現するために必要な機能性ポリマー材料およびインターコネクト素子とその実装技術を開発します。

ポリマーナノ光ファイバーによる量子フォトニクス情報通信技術の開発

開発リーダー
石原 信之
株式会社石原産業 代表取締役社長
研究リーダー
白田 耕蔵
電気通信大学 フォトニックイノベーション研究センター センター長/特任教授
課題概要
近い将来の高速通信技術や高度の情報セキュリティ技術の中核に量子暗号方式の情報通信技術が位置づけられています。量子暗号技術の基本要素として単一光子発生源があります。ポリマーナノ光ファイバーとその加工技術を確立し、光共振器の機能を実装した単一光子源およびこれを組込んだ量子暗号配信システムを開発します。
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