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プロジェクト現場から

「科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム」
第10回プログラムサロン開催報告

プログラム事務局

開催日:2018年3月2日(金)13:00 ~ 18:30
会 場:スタンダード会議室 虎ノ門SQUARE4階(東京都港区)
参加者:計42名

 本プログラムサロンは、「科学技術イノベーション政策のための科学」として推進している研究開発成果を実際の政策形成に活用できるものにすることを目的として、幅広い関係者の参加のもとに具体的にどのような実装の可能性があるのか、あるいは課題の特定とその克服の方法などについて共有する学際的な議論の場として開催しています。(第10回プログラムサロン開催概要)

 第10回目となる今回のサロンは、大きく二つの目的のもとに開催いたしました。一つは、平成29年度に新たに4件のプロジェクトが採択されたことを受け、新規採択プロジェクトと本プログラムのマネジメントチーム、そして文部科学省やSciREXセンター、人材育成拠点といったSciREX事業のコミュニティとの交流を促すことです(第一部)。もう一つは、公募型研究開発プログラムに期待される役割についてあらためて問い直すことです。本プログラムでは、既に2011年から計6回に渡って公募を実施し、多くのプロジェクトを採択してきました。2018年度末で、第一期に採択したすべてのプロジェクトが終了を迎えることを踏まえ、公募型研究開発プログラムに期待される人材の発掘とコミュニティの拡張という役割について、特に今後取り組むべき研究開発テーマを検討することを通じて、あらためて問い直す機会を設けました(第二部)。そのため、今回のサロンは、前回の第9回と同様に、現在進行中のプロジェクト、マネジメントチームやSciREX関係機関といった関係者が一同に会するプログラム全体会議(合宿)に代わる場としての開催となりました。

 第一部の「H29プロジェクトからの発表と討論」では、牧プロジェクト、上道プロジェクト、加納プロジェクト、横山プロジェクトのそれぞれから研究開発構想の概要と初年度の活動状況をご発表いただいたうえで、アドバイザーや終了/進行中のプロジェクトから積極的なコメントが寄せられ、今後の円滑な研究開発の実施に向けた知見を共有する場となりました。平成29年度採択プロジェクトを含む第2期については、SciREX関係機関との連携のなかでプログラムとしての成果を創出することが求められています。既にいくつかのプロジェクトでは具体的な連携に着手しているケースもみられており、研究面での連携についての一定の展望が得られたものと思われます。
 第二部のワークショップ「今後取り組むべき研究開発テーマを考える」では、まず事務局とSciREXセンターからの話題提供として、SciREX事業がこれまでに包摂してきた研究開発テーマ、人的ネットワークを俯瞰したうえで、今後新たにエントリーが期待される人材や研究開発テーマが何なのか、またRISTEXにおける社会問題俯瞰の取り組み結果を取り上げ、何が社会的課題として世の中で認識されているかが紹介されました。その後は、テーブルごとに分かれてワークショップに臨み、実際の公募で使用している様式を用いながら、普段とは異なる提案者の立場から実際にプロポーザルをデザインしてみました。採択中のプロジェクトのみならず、プログラムアドバイザー、SciREX関係機関といった本プログラムの関係者がそれぞれの問題関心やアイディアをもとに議論を交わしつつ、今後の公募に求められる研究開発テーマのサンプルを作成しました。それぞれのプロジェクトにおける研究開発の推進やマネジメントの経験に基づいたアイディアの集約を通じ、より効果的な研究開発テーマのデザイン方法や、新たにファンディングを通じて取り組みを促すことが期待されるテーマについての知見が共有されました。

 会の最後には、事務局からの報告として、前回(第9回)のプログラムサロンにおけるワークショップのテーマであった政策実装の支援に向けた効果的な成果発信に関する取り組み成果として、プログラムが新たに作成・公開した「POLICY DOOR ~研究と政策と社会をつなぐメディア~」が紹介されました。「POLICY DOOR」は、商業雑誌にみられる手法を用い論文や報告書とは異なる表現形式で研究開発の成果を紹介することにより、成果の担い手となる政策担当者にも関心をもってもらえるような工夫が凝らされていることが説明されました。
 本プログラムでは、今回のプログラムサロンでの議論や検討の結果を踏まえ、より魅力的かつ意欲的な研究開発プロジェクトの支援につながるよう、公募型研究開発プログラムの企画と運営におけるさらに一層の改善を進めるとともに、「POLICY DOOR」を通じて終了プロジェクト並びに現在進行中のプロジェクト、SciREX関係機関との連携の試みに関する成果の発信に努めてまいります。


第一部、H29採択PJからの発表の様子。
第一部、H29採択PJからの発表の様子。
研究開発の構想と現在までの進捗状況、今後の計画について発表されました。
左上:早稲田大学大学院経営管理研究科 牧 兼充 准教授(TV会議で出席)
右上:東京大学大学院工学系研究科 上道 茜 助教
左下:東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 横山 広美 教授
右下:東京大学大学院新領域創成科学研究科 加納 信吾 准教授


第二部、ワークショップの様子。
第二部、ワークショップの様子。
プロジェクトメンバーやマネジメントチーム、
SciREX関係者がチームとして提案書の作成に臨みました。


森田朗プログラム総括
森田朗プログラム総括からは、ワークショップの作業と発表を通じ、
人口減少や財政悪化といった未曾有の社会的な変化をとらえ、
新たな発想によりその克服を試みようとする
研究開発をいかにして促していくかのヒントが得られたというコメントをいただきました。

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