
令和4年度採択
ソリューション創出フェーズ
研究代表者:立花 良之
(国立成育医療研究センター こころの診療科 診療部長)
協働実施者:河西 千秋
(札幌医科大学 医学部 主任教授)
- 報告書:研究開発実施報告書
提案の概要
【解決すべき社会課題・ボトルネック】
日本でも世界でも、自殺は子どもの死因の主要因である。子どもの自殺者数は減っておらず、施策は効果を発揮できていない。さらに、時下のコロナ禍で子どもの自殺者数は約25パーセント増えており(年間約400人から約500人に増加)、子どもの自殺防止対策は社会の喫緊の課題である。この課題に下記の大きな3つのボトルネックがあると考えられる。
- 子どもの自殺防止のためのスタンダードとなる地域自殺対策計画の基本構成がないため、大多数の市区町村において、自殺対策(策定)担当者が具体的な対策を立案・実践できていない。
- 自殺ハイリスクの子どもや家族に対し、多職種による緊密かつ柔軟な連携による支援が必要であるが、支援機関同士の連携が極めて乏しい。
- 子どもの自殺防止対策には専門的スキルを要するが、そのようなスキルを持つ人材が圧倒的に不足している。
【活用する技術シーズと解決するための手法】
本研究では上記ボトルネックに対して下記による解決を提案する。
- 市区町村の行政担当者が活用できる、「子どもの自殺対策計画策定パッケージ」を自治体に提供し、地域における子どもの自殺防止対策を推進する。
- 地域の多職種の定例会議による「顔の見える関係・環境」をベースとして、子どもの自殺防止対策のための地域のネットワーク構築のモデル作成を通じた連携を推進する。
- 子どもの自殺対策の実践と関係・連携構築に取り組む人材を育成する。
【他地域への展開想定】※1
上記の実装を東京都豊島区・北海道別海町・東京都中部西南ブロック(世田谷区・渋谷区・目黒区)・長野県で行う。そして、厚生労働省子どもの心の診療拠点病院事業、日本自殺予防学会自殺予防センター、NPO(J-CAPTAなど)などを通して全国に均てん化していく。
※1 ソリューション創出フェーズでは、実証試験地以外の地域に取り組みを展開・普及させるための準備として、取り組みの導入に必要な適用条件や環境設定を提示する。
研究開発への参画・協力機関
- 国立成育医療研究センター
- 札幌医科大学 医学部附属病院
- 東京都中部総合精神保健福祉センター
- J-CAPTA
- 品川児童相談所
- 株式会社ミラボ
特に優先するゴール※2
※2 特に優先するゴール、ターゲットを示しているが、SDGsの17ゴールは統合的で相互に関連しており、トレードオフにならないように留意しつつ研究開発を推進する。