総括メッセージ

本プログラムがめざすもの

プログラム総括:川北 秀人
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所] 代表者

写真:プログラム総括:川北 秀人

今日、地域が抱える課題は、多岐にわたるとともに複雑化しています。その解決には、個々の主体が個別に対応するのみならず、多様な主体によるセクターを超えた協働によって、部分最適ではない全体最適な解を創出・普及・定着することが不可欠です。SDGsの17の目標も、独立した目標の寄せ集めではなく、目標間の相互関連やシナジーに留意して取り組む必要があります。高齢化・人口減少・小家族化によって世界に先駆けて課題先進国となった日本が、課題解決先進国となるためには、多様な主体の積極的かつ日常的な協働による課題解決や価値共創を積み重ね、包摂的かつレジリエントな(強くしなやかな)、持続可能性の高い社会システムへとトランスフォーメーション(革新的な変容)を進める必要があります。

課題解決や価値共創には完成形はなく、人々のくらしや社会において、しくみの進化や担い手の育成も、実践を通じて積み重ねるしかありません。一方、多岐かつ複雑な課題の原因は複合的であることから、解決の手法やプロセスに柔軟性や拡張性が求められることはもちろん、その担い手も社会的なしくみも、育成や進化が絶えず求められます。課題解決や価値共創の定着や自律的な展開を可能にするためには、手法やプロセスの柔軟性・拡張性とともに、担い手や社会的なしくみの育成をデザインするシナリオの創出と、シナリオの実装を通じて、これらを成熟・深化しながら、実施規模や多様な状況への適応力の向上を図るソリューションの創出が重要であることから、本プログラムは「シナリオ創出フェーズ」と「ソリューション創出フェーズ」の2つのフェーズを設けています。

社会は、研究成果の実装を、待っています。本プログラムは、そのための共創的活動(課題の抽出・共有、対話・コミュニケーション・信頼構築、多様な主体が集まるための場・ツールづくり・運営制度の設計、成果の指標(KPI)や中間目標の構築・解決シナリオの策定、フィールドにおける可能性試験、実証試験、事業計画の策定)の促進をめざしています。社会をトランスフォームし、誰1人置き去りにしない、包摂的で強くしなやかな、持続可能性の高い社会を実現するために、社会に「意味のある」変化を起こすためのシナリオとソリューションの創出を、支援します。

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