
令和元年度採択
ソリューション創出フェーズ
研究代表者:北東 功
(聖マリアンナ医科大学 小児科学教室 新生児分野 教授)
協働実施者:矢作 尚久
(慶應義塾大学 大学院政策・メディア研究科 教授/環境情報学部 教授)
- 報告書:研究開発実施報告書
プロジェクトの概要
【解決すべき問題】
日本の新生児死亡率は年々低下し、世界で最も低いレベルにある一方、後遺症の発生率はあまり減少していない。かつては亡くなっていたような重症な新生児が救命されていることの影響が大きいとされている。
在胎週数の短い新生児は重症例が多く、専門の新生児科医による集中管理下にある。しかし正期産前後の週数の新生児は健康に育つと考えられており、一般の医療者が管理を行っているが、その中にあって児の微細な異変の発見ができずに重症化した後に発見され、死亡ないし後遺症を遺す例も少なからず存在する。特に日本では分娩の約半数は産院や助産院で行われ、重症化の要因としては医療者が児の状態を正しく判定できていないことによるところが大きい。専門の新生児科医の知見による新生児の状態判定が汎用的なシステムとして利用可能であれば、いかなる施設でも状態の悪くなる児の早期発見・対応が可能であるが、現時点でそのようなシステムは存在しない。
【提案内容】
本プロジェクトは、早産による後遺症の要素が少ない34週以降、2000g以上の新生児を対象として、既存の技術シーズである診療支援システムに新生児科医の暗黙知とされる臨床技術を導入することで、子ども達の状態を誰でも正しく評価し、最善の医療と適切な福祉を格差なく受けられることを目標とするものである。さらに、将来的には途上国を中心にシステムを展開し、世界中の新生児の命と健康を守ることに貢献していきたいと考えている。
研究開発に参画する実施者、協力する関与者の所属機関
- 聖マリアンナ医科大学
- 慶應義塾大学 SFC研究所
- 東京都立小児総合医療センター
- 川崎市西部地域療育センター
- 川崎市多摩病院
- 芥川産婦人科
- Sunrise Japan Hospital Phnom Penh
- 聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院
特に優先するゴール※
※ 特に優先するゴール、ターゲットを示しているが、SDGsの17ゴールは統合的で相互に関連しており、トレードオフにならないように留意しつつ研究開発を推進する。