「見えない壁」に挑む:多文化共生社会を支えるAIシナリオの策定

令和7年度採択 
シナリオ創出フェーズ

研究代表者:李 暁燕
(九州大学 共創教育推進センター 准教授)

協働実施者:ブイ・ティ・トゥ・サンゴ
(一般社団法人 福岡国際市民協会 代表)

提案の概要

【解決すべき社会課題・ボトルネック】

日本に住む外国人住民の増加に伴い、学校に通う子どもとその保護者が、言語・文化・制度の違いによって「見えない壁」に直面するケースが増加している。特に「学校文化」への適応において、保護者の不安や孤立は深刻な課題である。また、子どもたちにとっても、教科用語や教室内の常識的な理解が学びの障壁となることがある。こうした壁を放置すれば、学びや成長の機会が損なわれ、持続可能な多文化共生社会の基盤にも影響を与える恐れがある。

【活用する技術シーズと解決するための手法】

本プロジェクトでは、福岡市をモデル地域として、外国にルーツを持つ保護者および児童生徒と学校の間にある「見えない壁」を乗り越えるためのAI支援基盤を構築する。具体的には、保護者向けのAIチャットボット「PAPAMAMA-TOMO」に加え、児童生徒向けには教科横断的な語彙や学校文化知識を支援する学習支援辞書(チャットボット形式にも対応)を開発する。これらのツールは、地域の支援団体・教育現場と連携しながら、保護者・児童生徒との対話を通じて得られる暗黙知を蓄積・可視化し、参加型で改善される「知識共創型」の多言語支援環境として構築する。

【可能性試験の実施計画】※1

可能性試験では、保護者・教育関係者・児童生徒・行政・技術者が協働する共創体制を整備し、学校現場や地域支援拠点において、ツールの有効性・信頼性を検証する。2026年度までにPAPAMAMA-TOMOと学習支援辞書のプロトタイプを完成させ、2027年度には複数現場での実証を通じて、全国展開に向けた研修教材の整備と社会実装の準備を進める。将来的には、全国の教育現場や海外での応用も視野に入れ、持続可能で包摂的な教育支援モデルの構築を目指す。

※1 シナリオ創出フェーズでは、社会課題を解決する社会システムを想定し、技術シーズを活用した解決策(シナリオ)における社会実装の可能性を検証する。

研究開発への参画・協力機関

  • 九州大学 共創教育推進センター
  • 一般社団法人 福岡国際市民協会
  • 九州大学 大学院システム情報科学研究院
  • 福岡市教育委員会
  • 福岡市立百道中学校

李プロジェクト概要図

特に優先するゴール※2

  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

※2 特に優先するゴール、ターゲットを示しているが、SDGsの17ゴールは統合的で相互に関連しており、トレードオフにならないように留意しつつ研究開発を推進する。

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