
提案の概要
【解決すべき社会課題・ボトルネック】
地域のエネルギーには、災害時の非常用電源に代表されるように多様な用途展開の需要がある。しかし、100キロワット級のバイナリー発電所は初期費用などの問題から、地域自身が主体となって発電所を運営することが難しく、その電力を地域のために活用することができなかった。また、この規模の発電所には複数の源泉から湯を集める必要があり、源泉所有者間のさまざまな調整も運営上の課題となっていた。
【活用する技術シーズと解決するための手法】
本プロジェクトでは、長崎大学発の技術シーズであるスマートバイナリー発電の可能性試験に基づいて、地熱開発事業者と地域との対立構造の歴史を乗り越えてきた長崎県雲仙市の小浜温泉地域を最初のフィールドとして、超分散型エネルギー社会を実現するシナリオを策定する。1キロワット級の小型システムにより個別の源泉に分散して設置することを可能にし、さらに量産機械要素技術の転用によりこの発電システムの低価格化を目指す。
【可能性試験の実施計画】※1
小浜温泉地域における可能性試験では、未利用温泉エネルギーの利用促進のために形作られたこれまでの共創モデルから、スマートバイナリー発電により地域のエネルギーを直接活用するモデルへの変容を、教育、産業、エネルギー、地域づくりの計測指標に基づいて評価する。さらにこの新しい共創モデルに基づいて、超分散型エネルギー社会の仕組みを他地域へ展開するための構想を創出する。
※1 シナリオ創出フェーズでは、社会課題を解決する社会システムを想定し、技術シーズを活用した解決策(シナリオ)における社会実装の可能性を検証する。
研究開発への参画・協力機関
- 長崎大学 大学院工学研究科
- 長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科
- 長崎大学 研究開発推進機構
- 長崎大学 FFGアントレプレナーシップセンター
- 雲仙市
- 一般社団法人小浜温泉エネルギー
- 有限会社宇宙模型
- システムファイブ株式会社
- 長崎県工業技術センター
特に優先するゴール※2
※2 特に優先するゴール、ターゲットを示しているが、SDGsの17ゴールは統合的で相互に関連しており、トレードオフにならないように留意しつつ研究開発を推進する。