受賞取り組み紹介

林業活性化と熱帯林の保護を目指したフラン樹脂加工木材の開発

2022年度 優秀賞

団体名:ニッポニア木材株式会社、
京都府立大学 森林科学科 生物材料物性学研究室・森林資源循環学研究室 ※ニッポニア木材株式会社は株式会社フランウッドに社名変更

  • 15.陸の豊かさも守ろう
  • 8.働きがいも経済成長も
  • 10.人や国の不平等をなくそう
  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 12.つくる責任、つかう責任

解決したい社会課題

  • 熱帯林における森林資源を保全し、気候変動を食い止めたい
  • 国内の森林資源の有効活用を促進し、林業の衰退と森林の荒廃を解決したい

取り組み内容

国内では、戦後に植えられたスギやヒノキが十分成長しているにも関わらず、建築用材としての耐久性や硬度が不足するため活用が進まず、多くの森林の荒廃につながり課題となっている。日本の木材の国内自給率は40%程度にとどまっており、建築用材には希少な熱帯産広葉樹(ハードウッド)を輸入し利用しているが、伐採が進んだ熱帯林の再生には長い年月がかかるとともに、気候変動に与える影響も懸念されている。

この取り組みでは、バイオ素材だけを用いたフラン樹脂加工技術を用い、スギやヒノキの耐久性や硬度を改善しハードウッド化することで、建築用材への活用を実現させた。トウモロコシの芯などの農産廃棄物を原料とするフルフリルアルコールを木材中に浸透させ、内部にフラン樹脂を生成させた「フラン樹脂加工木材」は、耐久性向上とコスト減の工夫により、ハードウッドの代替のほか、従来は鉄やコンクリートなどが用いられていた部分にも一部活用が可能になる。また、化石資源由来の樹脂や毒物を使用していないため、廃棄時に焼却しエネルギー源として再利用ができることや、樹脂加工の結果、CO2の固定量の増加や長期固定が可能になることから、脱炭素化社会への貢献も期待できる。木材の価値の向上は中山間地域の産業振興にもつながるものであり、森林に関わる国内、海外双方の課題解決に寄与する取り組みである。

フランウッド化:水分の代わりにフラン水溶液を木材細胞に染み込ませた後、水分を抜き、フランを樹脂化させ固める
フランウッド化による変化(寸法の安定、重く硬く、疎水性向上、茶褐色に変色)が得られる
ショッピングセンターや動物園、一般住宅などにも活用

わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)

量産課題の品質に対する生産歩留まりも99%を達成。水豊かな日本のスギ、ヒノキが世界に約500種あるソフトウッドの中で最も水を吸収するという特性を活かし、フラン水を大量に吸い込ませ固めることでスギ、ヒノキが世界で最高のハードウッドになることが実証された。結果、多くの案件でウッドデッキ、外壁材として、特に豊田市博物館では海外の巨匠からもフランウッドが認められ、日本で初めて森林ファンドを成立させるためのセンターピンとしてフランウッドへの期待が高まっている。

取り組み紹介動画

受賞者による取り組み紹介(サイエンスアゴラ2022 ミニステージイベントにて)
イベント全編動画(前半:各団体の活動紹介ピッチ,後半:トークセッション)

取り組みについてのお問い合わせ先

関連リンク

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