受賞取り組み紹介

防災と環境を両立する「蛇籠技術」の普及に向けた機関横断型の取り組み

2021年度 優秀賞

団体名:高知大学、静岡理工科大学、宮崎大学

  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 1.貧困をなくそう
  • 9.産業と技術革新の基盤を作ろう
  • 17.パートナーシップで目標を達成しよう

解決したい社会課題

  • 大規模化する自然災害に対応する防災手段の普及を進めたい
  • 防災インフラが整備されていない開発途上国が取り残されない防災手段を確立したい

取り組み内容

近年、気候変動などに起因する大規模災害が増加傾向にあり、水害や地震などによる土砂災害や河川氾濫の発生は人々の生活と生命を脅かす大きな問題となっている。

この取り組みは、2015年のネパール大地震の現地調査で出会った日本の研究者の気づきから始まった。日本各地でも多く見られる「蛇籠(じゃかご)」は、古くから使われている伝統的な土木技術であるが、耐震性に優れており、また、その土地で調達可能な材料を用い、安価に且つ比較的容易に作ることができるという利点を持つ。このため、特に開発途上国では非常に有効な防災手段となり得る。取り組みの中では「蛇籠」の耐震性を複数の大学や研究機関の強みを生かしながら定量的に測定し、科学的知見から解析した。さらに、耐震性を高める資材選定や設計、施工法を特定するとともに、安価で技術力も問われない環境に配慮した土木技術として技術普及を目指し、マニュアルを作成するなど国内外への展開を進めている。

古来の技術を見直し、定量的な評価を行うことで科学的に検証する、いわば温故知新を体現する持続可能性が高い活動であり、柔と剛の両面を組み合わせた災害対応の1つの選択肢として期待される取り組みである。

日本各地でも見られる「蛇籠」
蛇籠擁壁の施工現場
検証の結果を元に蛇籠擁壁の設計・施工マニュアルを作成

わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)

2015年のネパール大地震発生後、道路啓開もままならない山地の住民が自ら防災力を高め、生活の維持や環境の改善を図ることが出来ないか、と思ったのがこの取り組みの原点です。現在も、現地政府などと連携しながら、蛇籠工法の普及と技術水準の向上に向けた取り組みを継続しています。はじめの対象は地震対策でした。今では河川管理への適用に向けた技術整備へと拡大し、各種の自然災害に強いまちづくりに貢献しています。

取り組み紹介動画

取り組み紹介動画『生まれ変わる古の知恵』
受賞者による取り組み紹介(エコプロ2021 JSTブース内ミニセミナーにて)

取り組みについてのお問い合わせ先

関連リンク

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