農業に起因する温室効果ガスの排出緩和と気候変動適応技術による食糧安定生産への取組
2019年度 優秀賞
団体名:農業・食品産業技術総合研究機構
解決したい社会課題
- 水田からの温室効果ガス排出を抑え、地球温暖化を食い止めたい
- 気候変動による農作物の品質低下を回避し、安定した食糧生産を促進したい
取り組み内容
温室効果ガスの一つであるメタンは、日本ではその45%が稲作を行う水田から発生している。また、近年の気候変動による夏季の高温傾向は、水稲の収量や品質に悪影響を及ぼしており、農業にも温暖化の抑制と適応策が求められている。
この取り組みでは、農業に起因する複数種類の温室効果ガスの排出状況をリアルタイムに測定する技術を用い、水田を乾かす「中干し」期間を1週間程度延長することで、水田から排出されるメタンを平均で30パーセント削減する技術を確立した。また、ゲノム情報やDNAマーカー選抜技術の活用で、高温の環境下でも品質や収量が安定し病害虫に強い「高温障害適応水稲品種」を開発し、その品種の地域でのブランド化を行った。
これらの技術は、条件が異なる環境でも、その地域の土壌や気候に合わせて適用することで同様の効果を見込むことができ、農業由来の温室効果ガス排出削減や食糧の安定生産とともに、地域の振興への貢献が期待される。


わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)
「中干し期間の1週間程度の延長」は、水稲の収量低下を招かずに温室効果ガス排出を削減できる、農家に受け入れられやすい技術です。
「高温障害適応水稲品種」は、日本の主食である「コメ」の高品質安定生産に大きな貢献を果たしています。今後懸念される「地球沸騰化」環境でも美味しいおコメを安定生産できる品種開発を進めていきます。
