社会全体で作り出す里海

社会全体で作り出す里海

このプロジェクトでは、香川県で干潟の観測を続けています。河口にできる干潟では、海と川の水が混じり合い、多くの生物が行き交い、そこで採れる魚介類は人間の食生活の一部になります。人が適度な量で貝をとれば、数が調節されて、豊かな里海へとつながります。
しかし、干潟を豊かにするための「ほどよいバランス」を保つのはむずかしいことです。干潟は川と海、両方の影響を直接的に受けます。川のはるか上流にできたダムが干潟に大きなダメージを与えることも、よくあることです。
海を守るためには、海とは遠い場所にいる人、海とは無関係の暮らしをしている人たちを含め、社会全体での努力が必要なのです。現在漁師さんは日本の総人口の0.2%しかいません。環境が悪化を続け、漁獲量も減っている日本の沿岸海域を守るためには、漁師さんや海辺の人の努力だけでは、まったく足りないのです。
漁師さんに習ったしかけを沿岸に設置することは、生物多様性を高くするのにとても効果的ですが、そのしかけを管理していくための社会的な仕組みも不可欠です。漁業組合だけでなく、船を使う運輸業者、観光業者、一般の釣り人など、さまざまな関係者との調整が必要です。また、それら調整の指針となる法律の整備も必要でしょう。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。