漁師さんの知恵に学ぶ

漁師さんの知恵に学ぶ

漁師さんは、その地域の風土や地形や気候に応じた、さまざまな里海の知恵を持っています。生物多様性という言葉は知らなくても、たくさんの種類の生物がいきいきと暮らしている状態が、自然そのものにとっても、その恩恵を受ける人間にとってもよいということを、昔から肌で感じてきたのでしょう。
このプロジェクトでは、それら漁師さんたちの知恵に実際的な効果があることを、実験と観察によって証明しました。たとえばアマモという海藻の生えている場所では、魚の餌となる小魚が育ち、また、卵を産みつけたり敵から隠れるのにも最適です。漁師さんがやるように、このアマモを適度に刈り取り、よく育つようにしてやると、さまざまな魚介類が育ちやすくなるのです。
また、海の中に石干見(いしひみ)という石垣を作ると、そこにさまざまな藻などがつき、そのすき間に魚が住むようになり、多くの生物が住むあたらしいすみかができる。これも、漁の一種であると同時に、海の生物多様性を高めるのに役立っているのです。
このように、漁師さんの知恵を科学的な考えに照らし合わせてみると、決して矛盾しないことがわかります。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。