テクノロジーアセスメントのむずかしさ

テクノロジーアセスメントのむずかしさ

プロジェクトの次の仕事は、こうした活動から得られた情報を整理し、報告書にまとめて発表することです。これによって、関係者が評価した技術を客観的に把握し直し、将来問題になりそうな点を改善し、新しい可能性の発見にもつなげられるのです。そのほか、研究者どうしの交流を生み、政策や制度に影響を与えるなど、多くの成果もありました。しかし、むずかしい点も見えてきました。
たとえばそれは、独立した立場を保ちながら評価をおこなうことです。その技術に関する情報や意見を持っている人は、関連企業や組織に属していることが多く、純粋に個人的な立場から意見を言えない場合も多いのです。また、公正な意見を述べて協力してくれる人に何らかのメリットがなければ、続けていくのはむずかしいという実情もあります。
これまでも、たとえば食品の安全性を評価する機関や、個々の研究を評価する制度は存在しました。しかし1つ1つの商品を見るのではなく、社会全体への影響を見、将来への予測や提言をおこない、その場限りではなく何年にもわたって継続して評価していくためには、今の制度では不十分だと言えるでしょう。やはり、テクノロジーアセスメントのための制度が必要なのです。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。