社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築|RISTEX

RISTEX社会技術研究開発センター

プロジェクト
2023年度採択

孤立・孤独予防に資する近隣社会環境の多様性の可視化による戦略的プレイスメイキング

写真:内平 隆之

研究代表者:内平 隆之

兵庫県立大学 環境人間学部 教授

プレイスメイキング、ゼロ次予防、一次予防、エリアマネジメント、空間的処方

研究開発期間:2023年10月~2027年3月

researchmap

プロジェクト概要

孤立・孤独の根本原因は社会環境の機能低下と、それを育む余力のない現代社会

個人の努力に介入する一次・二次予防に比べて、社会環境に介入するゼロ次予防の方法は発展課題です。共助においては、自治会等の高齢化が進み、公助においても職員・予算に限りがあるため、社会的孤立・孤独予防に資する社会環境に介入できる余力がない現状があります。さらに、社会との接点のとり方や空間への訪れ方の好みが人によって異なるにもかかわらず、社会環境がそれらを幅広く受け止めきれず、取りこぼしてしまっています。

つながりが感じられ、コミュニティが形成される「場所」を共創するゼロ次予防モデルの開発

本プロジェクトでは、場所からコミュニティへ、つながりを感じる助けとなるプレイスメイキングの方法を公民学連携で共創し、近隣社会環境の多様性を活かして空間的に処方することで、孤立・孤独を抱えがちな性格の人たちが公共空間に立ち寄りやすく、ハイリスク者も誘いやすい社会の実現を目指します。本プロジェクトのプレイスメイキングとは、誰もがアクセスできる公共の場で行われる、場所との通いを構築するための近隣社会環境への介入方法を指します。社会的孤立・孤独リスクの可視化と評価手法の開発として、孤立・孤独ゼロ次予防モデルと一次予防モデルを開発し、近隣社会環境の多様性に基づく予防格差を可視化し、公共空間や場所性を活かす合理的根拠を提供します。その上で、社会的孤立・孤独に陥りやすい性格傾向を持った少数派の空間的・社会的・情報的選好に配慮し、近隣社会環境の多様性を活かした戦略的なプレイスメイキングを実現するために、公助と共助の連携をエリアコーディネートする中間支援組織を支える仕組みを研究開発します。

図:内平プロジェクトの概要

Q&A

社会的孤立・孤独の一次予防のために、本プロジェクトが目指す社会像についてもう少し教えてください。
孤立・孤独を抱えがちな性格の人たちが、特に公共空間に立ち寄りやすく、ハイリスク者も誘いやすい社会の実現を目指しています。社会的孤立・孤独に陥りやすい性格傾向を持った少数派の空間的・社会的・情報的選好に、まちづくり関係者が取り組みの中で配慮することで、孤立・孤独予防を担う公助と共助の連携を有機的にエリアコーディネートする仕組みができるのではないかと考えています。
上記の社会像を実現するための最大の課題(ボトルネック)は何ですか?
ハイリスクグループの利害関係者との連携により、誘いやすい場所づくりの機序を解明していくことが最大のボトルネックであると考えています。そのためには、まちづくりを通じて予防に貢献できるハイリスクグループとは何か、エリアマネジメントによりどのような社会環境の多様性を活かすことができるのか、予防格差を可視化しながら、戦略的なプレイスメイキングの仕組みのモデル化に挑戦します。
駅前マルシェ
小公園社会包摂活動

参画・協力機関

  • 兵庫県立大学、広島大学、山口大学、琉球大学、姫路商工会議所都市まちづくり委員会、姫路市(公園緑地課など)、特定非営利活動法人スローソサエティ協会、一般社団法人ひとネットワークひめじ など