2016年(平成28年)3月31日をもちまして、領域の活動は終了致しました。

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活動プロセスとお役立ち情報

研究開発活動の事例

寺岡プロジェクト

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「働く」を軸に据えて、集落単位の現状把握と持続可能性に関する点検調査を行い、その内容を基にして、農村に最適化した作業補助具を新たに導入するとともに、高齢者が無理なく営農を続けられる畑のあり方のデザインを開発することを目的に活動を進めてきました。

地域背景

企画策定に至るまでの対象地域との歴史的背景(長期のもの)、対象地域に特徴的な資源について

①企画策定に至る経緯企画策定に至るまでのこれまでの経緯・対象地域との関係
  • 農業者の高齢化が産地の脅威になっていることは、農業現場においてはかなり以前から全国的に認識されていた。
②地域資源対象地域に特徴的な資源としてどのようなものが存在したか、またそれをどう活かしたか
  • 当該地域である吉野郡・五條市は柿の産地である。こうした、地域再生のためのコアになる産物が存在した。コアになる産物の栽培プロセスや過去の利用法などを見直し、果実だけでなく葉や未熟果などの派生物をも資源として捉えるという試みを行なうこととした。

企画策定

プロジェクトの開始に係る企画策定をどのように行ったか

①課題設定および解決策構想の背景社会実験を行う課題(高齢社会に関連したもの)、および解決策の構想をどのような背景から設定したか
  • 【平成21年頃】栃原自治会長果樹センター来所相談
  • 【平成22年度上期】社会実験実施を決める。応募準備
  • PJの戦略目標は奈良県柿産地の永続的活性化。解決すべき課題は高齢化対策、得られる成果として農村コミュニティの活性化処方箋と想定。
②対象地域の絞り込み社会実験を行う対象地域をどのように発見・探索したか
  • 【平成22年度上期】現地視察
  • 【平成22年度上期】自治会役員に聞き取り
  • 最初に県内柿産地で地元から奈良県果樹振興センター(以下果樹セ)に相談のあった高齢化地域(栃原地域)を対象に選定。比較として都市部や後継者確保農村をリストアップ。課題発見で絞り込んだPJの取り組むべき課題に沿って検討を重ね、栃原地域のみで実施することを決めた。
③事前調査企画を構築するにあたり事前調査としてどのような情報を入手したか(先行研究・公表情報等)
  • 【平成23年度上期】三晃精機聞き取り
  • 【平成23年度上期】集落点検研究事例調査農業情報の収集
  • 【平成23年度下期】集落点検の予行実施
  • 【平成23年度下期】三重県の先行事例調査
  • 先行研究としての「集落点検」や高齢者による村おこしで著名な徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」、農業センサスによる大まかな地域情報や果樹セ(普及)による地域の高齢化実態と農業に対する意識調査のデータ。三晃精機株式会社の取り組み事例の聞き取り

コア体制づくり

プロジェクトの開始に係るコアの体制づくりをどうしたか

①コア体制構築とその組織体制1.事業実施主体(コアメンバー)の選定と構築のプロセス 2.コア体制はどのような組織形態をとったか(当該組織の位置づけや組織体系の構築プロセス等)
  • 【平成22年度上期】寺岡と濱崎で、PJの戦略目標に合致した人材を、これまでの産学官共同研究で培った人脈をベースにピックアップ。その人材からの推薦を受け、更に多くの人材を発掘していった。
  • 【平成22年度上期】基本案作成
  • 【平成23年度上期】現行案作成
  • 【平成23年度上期】サブリーダー設置
  • 課題ごとに4つのチームを編成した。各チームの意思疎通や文理間の情報共有を円滑に進めるため、果樹セ濱崎をサブリーダーに据えて寺岡リーダーを補佐する体制に組んだ。
②協力関係づくり事業実施者以外の協力的な関係者をどのように見つけ関係を築いたか
  • 【平成23年度上期】元県職に面談・下市町職員と面談
  • 【平成23年度上期】県営福祉パーク、リハビリセンター訪問
  • 基本は上記と同じ。コアメンバーの推薦を受け、発掘にいそしんだ。三晃精機に紹介された県営福祉パーク、奈良県総合リハビリセンター等は事業内容の深化に大きく寄与した。
③活動方法当該組織の活動をどのように進めたか(打合せの頻度や方法等)
  • 【平成23年度下期】PJ専用ルーム設置
  • 【平成23年度下期】スカイプ試行
  • 奈良女子大学内にPJの専用ルームを設置するとともに、スカイプによる遠隔地とのテレビ会議システムを活用した
④記録体制各フィールドでの変化・進捗等をどのような体制で記録・伝達したか
  • グループ単位で活動を行うことが多いので、それらは逐次MLで情報共有を行い、同時に記録とした。グループの活動報告の際には、議事録的な文章だけでなく、極力、写真・動画などを含めるように意識をしている。
⑤連絡方法メンバー間の連絡方法・情報共有の方法(特に所属機関が異なるメンバー間の場合の対処方法)
  • 【平成23年度下期】ML開始
  • 【平成23年度下期】DropBox設定
  • 日常的に電話や直接対面を行い、更にメーリングリストや共有ネットフォルダによる情報の共有を図った。

予算の実践的利活用

プロジェクトの予算の配分方法や工夫など

①配分方法、使途予算の配分方法や使途、工夫等をどのように行ったか
  • 【平成23年度上期】予算案提出
    各チームから予算案を提出してもらい集計。必ず予算オーバーするので、各チームリーダーに具体的な減額努力目標を示しつつ修正案を要求し、すりあわせを行った。
②所属機関との折衝予算の使途等についての所属機関
  • 本PJの参画機関はもともと幾つかの別事業で共同した経験があり、予算関連の機関同士でも、ある程度連携関係が出来上がっていた。

関与者との関係構築

事業の具現化に必要なPJの担い手をどのようにみつけ、地域との協力関係をどのように築いたか。

① 行政1(国・都道府県単位)国または地域を管轄する行政組織の担当窓口、関係者をどのように見つけ協力を取り付けたか
  • 【平成23年度下期】奈良県面談
    奈良県に対しては、県農林部農業水産振興課、南部農林振興事務所、県地域振興部南部振興課へ事業紹介と挨拶に出向いた。
②行政2 (市区町村単位)地域を管轄する行政組織の担当窓口、関係者をどのように見つけ協力を取り付けたか
  • 【平成23年度上期】下市町職員と面談
  • 【平成23年度下期】下市町長と面談
    下市町に対しては、栃原地域自治会長から紹介を受け、担当課に説明に行った。更にその担当課を通じて町長にも挨拶し、事業への協力を依頼した。
③企業・その他の団体(NPO、大学、医師会など)地域における団体、関係者をどのように見つけ協力を取り付けたか
  • 【平成22年度上期】栃原自治会長の紹介で、地域の核となって活動している企業(協力機関の(株)大紀)社長と面談、事業の趣旨説明と協力を依頼した。
    【平成22年度上期】栃原自治会長の紹介で、栃原農林産直販出荷組合「道しるべ」直売所組合長と面談。

地域介入準備

対象地域に入って行く際の事前準備

①事前の了解取り付け活動1.対象地域に入っていく際、どのように了解取り付け等をはかったか 
  • 【平成21年度頃】栃原自治会長果樹センター来所相談
  • 【平成22年度上期】自治会長面談・現地視察
  • まず最初に下市町栃原の自治会長に相談した。以前から自治会長からは栃原の将来を見据えた相談が県になされており、まさに渡りに船のPJであった。
②地域住民説明と募集・啓発方法地域住民への説明と募集・啓発活動の方法
  • 【平成22年度上期】自治会役員会で説明
  • 【平成23年度下期】自治会役員会で説明
  • 【平成23年度下期】地元直売所4周年記念イベント参加
  • 【平成23年度下期】自治会役員会で説明
  • 【平成23年度下期】地元説明会開催
  • 【平成24年度上期】シンポジウム開催
  • 栃原自治会の役員会でまずPJ説明を行い、事業への協力を求めた。
    また、自治会長の小字で集落点検を予行演習的に実施し、データの収集や実施における課題の抽出を行った。
    地元直売所のイベント等にも積極的に顔を見せ、大学が地域に注目していることをアピールした。
    その上で地元説明会を実施するとともに、一般向けのシンポジウムにも地域住民を招待して紹介する場を設けた。
    基本、自治会主体で住民への呼びかけと参加募集を行ってもらっている。

地域介入(参加・協働)、各グループまたは地域の状況概要

新たな活動を地域に浸透させ、認めてもらうにはどうすればよいか。

【Ga 集落点検グループ】

①実施概要および状況概要当該グループ(地域)でどのような活動を行ったか、また現在はどのような状況か
  • 【H24上】寄り合い点検実施
    集落点検試行結果を元に集落点検法の手順マニュアルを策定、それに基づき、栃原地域で集落点検(寄り合い点検)を実施。
  • 【H24下】自治会役員への中間報告
    寄合点検のデータ整理・解析方法について議論を重ねつつ、情報を取りまとめ、まず自治会役員に中間報告を実施した。
  • 【H25上】世代別に女性インタビュー
    地域コミュニティの維持の大きな鍵を握るのは女性であると考えられるので、60代、40代、20代の女性の仲良しグループ数名ずつに集まっていただき、地域生活の現状、世代間の考え方の違いなどを伺うと同時に、我々の側からはプロジェクトの趣旨説明などを行って行った。
  • 【H25下】栃原食の交流会の開催
    集落点検によって整理された、栃原で昔食べられていた食事を、村の女性と奈良女子大学の学生、生協食堂関係者で試作した。ここで試作された「里芋のおはぎ」は秋の村祭りでも作られ、地域の若い女性にそのレシピが伝承された。
②特記すべき課題点と解決のプロセス当該グループ(地域)における取り組みの過程で生じた課題と解決プロセス
  • 聞き取り内容に農作業専門的な内容が登場する場合があった。
  • らくらく栽培グループや連携協力者から教示を受けて進めた。

【Gb PPKグループ】

①実施概要および状況概要当該グループ(地域)でどのような活動を行ったか、また現在はどのような状況か
  • 【H23下】農業現場の視察
  • 【H24上】農作業(剪定)体験
  • 【H24上】寄り合い身体点検開始
    3ヶ月に一度のペースで地域住民対象に寄り合いからだ点検を実施、住民の身体状況を調査している。
  • 【H25上】寄り合い点検でわかってきた高齢営農者の身体・運動能力の傾向について基礎データを整理し、県のリハビリセンターの職員にも示唆を得、その基本的な結果について、動画をまじえて栃原の女性グループに見ていただき、情報共有すると同時に、意見交換を行った。女性グループからはよりあい点検でおこなって欲しい測定の希望も出され、地域の方の積極性を引き出すことになった。
②特記すべき課題点と解決のプロセス当該グループ(地域)における取り組みの過程で生じた課題と解決プロセス

【Gc らくらく電動運搬車グループ】

①実施概要および状況概要当該グループ(地域)でどのような活動を行ったか、また現在はどのような状況か
  • 【H23下】電動運搬車試運転(果樹センター)
    地域の農業現場を視察し、らくらく電動運搬車に必要な課題を見極めた上で開発を進めている。
  • 【H23下】地元視察
  • 【H23下】自治会役員会で説明
  • 【H24下】電動運搬車実地試験開始(果樹センター)
    現在2号機を組み上げ果樹セで課題抽出のための運用試験を実施している。
  • 【H25上】電動運搬車の改良バージョン(クローラー、リモコン)および一輪車3種類の試作が完成したので、らくらく栽培用のモデル園にて住民の方に試運転していただき、感想意見を得た。
②特記すべき課題点と解決のプロセス当該グループ(地域)における取り組みの過程で生じた課題と解決プロセス
  • 【H23下】電動運搬車(初期型)試運転(果樹センター)
  • 【H24下】電動運搬車改良型1号機実地試験開始(果樹センター)
  • 果樹センターでの運用テストで、運転用のスイッチ周りや方向転換時の挙動など、幾つかの解決すべき課題が明らかになった。現在その改良に取り組んでいる。
  • 【H25】クローラ型、有線リモコンの改良車ができ、栃原の方の評価もかなり向上した。

【Gd らくらく栽培グループ】

①実施概要および状況概要当該グループ(地域)でどのような活動を行ったか、また現在はどのような状況か
  • 【H19~】柿葉生産システム研究開始
    柿葉生産を軸にすえた栽培管理技術の開発とそのマニュアル化を進めている
  • 【H22上】現地実証開始
    生産された葉の販売先の開拓を協力企業と共同して行い、一部生産販売を始めている。
  • 【H25】らくらく栽培のモデル園が従来型と休耕田利用型の2つを栃原内に開設した。
②特記すべき課題点と解決のプロセス当該グループ(地域)における取り組みの過程で生じた課題と解決プロセス
  • 【H19~】
    果実を生産する農家に柿葉生産への転換を理解してもらうのは難しい。
    自治会長等とディスカッションを繰り返し、問題意識を共有することでとりあえず解決した。

広報活動

事業の普及に向けた施策

①広報活動
  • 【H23下】新聞社取材
    果樹セや奈良女子大では日頃から開発した技術の紹介等でマスコミ機関の記者に知己があり、県庁記者クラブ等の公式な情報発信と平行して情報を提供していった。
  • 【H23下】HP開設

成果の実装と普及

事業の自立化に向けた施策

①事業の独立1.本PJが育んだ事業の独立・引き継ぎ方法 2.事後のサポート・フォローをどのように行う予定か
  • 【H25下】柿葉の集荷・出荷を引き受ける組織が栃原内に立ち上がった。
②法制度化プロジェクトの成果がどのように法制度へ反映されたか、あるいは反映する予定か
③行政事業プロジェクトの成果がどのように法制度へ反映されたか、あるいは反映する予定か
  • ・本事業にある、まず集落の状況や資源を点検する(集落点検)という方法を、地元自治体(下市町)が町内の他集落で試験的に実施を始めている。本プロジェクトからはアドバイス・相談役という関係が形成された。
④ビジネスモデル当該事業について本事業からの独立にあたり「事業化」のためのビジネスモデルをどう構築するか
  • 【H23下】栃原の柿畑の一部を柿葉専用園に改造
    既存の柿畑の樹を用いて、特産品の柿の葉寿司の葉を専門に栽培する柿葉生産園に改造
  • 【H24上】栃原産柿の葉を柿の葉寿司メーカーに出荷開始
  • 【H25上】柿葉栽培を普及させるためには実際どれぐらい収益があがるかを明らかにする必要があったが、モデル園での試験栽培・販売の結果、収益の概算データがとれた。

活動プロセスとお役立ち情報