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JSTと米国プリンストン大学との共催ワークショップ「The Future of Topological Materials」を開催

2019年10月17日

さきがけ「トポロジカル材料科学と革新的機能創出(トポロジー)」領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/research_area/ongoing/bunyah30-3.html

CREST「二次元機能性原子・分子薄膜の創製と利用に資する基盤技術の創出(二次元)」領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah26-4.html

さきがけ「熱輸送のスペクトル学的理解と機能的制御(熱制御)」領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/research_area/ongoing/bunyah29-3.html

CREST「ナノスケール・サーマルマネージメント基盤技術の創出(熱制御)」領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah29-2.html

2019年10月2日(水)~10月5日(土)に米国プリンストン大学(ニュージャージー州)のプリンストン理論科学センター(Princeton Center for Theoretical Science:PCTS)にて、JST-プリンストン大学による共催ワークショップ「The Future of Topological Materials」を開催しました。

2010年に「二次元物質グラフェンに関する革新的実験」、2016年に「トポロジカル相転移および物質のトポロジカル相の理論的発見」の業績に対してノーベル物理学賞が授与されたことは記憶に新しく、それらを契機として、グラフェンやトポロジカル材料などの将来のエレクトロニクス・超伝導技術への応用が期待される新物質に関する研究開発が世界各国で活発に進められています。

JST戦略的創造研究推進事業では、2014年度より二次元機能性原子・分子薄膜の創製と利用に関する物性科学、合成化学、デバイス工学等を対象に、革新的部素材・デバイスの実現に資する技術等の基盤創出と基礎学理の構築を目指すCREST「二次元」領域を、2018年度より量子、磁性、光学、メカニクス、ソフトマター(高分子材料・ゲル材料など)分野など、広範な領域におけるトポロジカル材料科学の探求と、それに基づく革新的な新規材料・新規機能創出を目指すCREST・さきがけ「トポロジー」領域をそれぞれ推進しています。

その中でもトポロジカル材料については、その代表例である「トポロジカル絶縁体」が最初に提案されてから10年以上が経ち、世界各国での研究によりトポロジカル材料に関するデータベースが構築され、その材料候補は多数に上っています。まさにトポロジカル材料研究は新たな段階を迎えつつあり、将来の応用のために優れたトポロジカル材料の選択と開発が進められようとしています。

今回、トポロジカル材料研究の応用に向けた将来の方向性を議論するため、トポロジカル材料科学における世界有数の研究機関であるプリンストン大学にて、世界各国からトポロジカル材料、グラフェン、熱輸送、スピントロニクスなど分野の著名研究者を集め、JSTとプリンストン大学による共催ワークショップを開催しました。
日本からは上述のさきがけ「トポロジー」領域とCREST「二次元」領域のほか、トポロジカル材料を共通基盤とした領域融合の議論を推進すべく、将来のデバイスや新材料の実現に資する熱制御技術の基盤創出を目指すCREST・さきがけ「熱制御」領域も加え、計4領域の研究者14名が講演を行いました。さらに海外からは、共催であるプリンストン大学を始めとする米国、欧州、中国、イスラエルから19名の研究者が講演を行いました。前述の2016年ノーベル物理学賞を受賞したダンカン・ホールデン教授(プリンストン大学)も含め、4日間のワークショップ期間中に100名を超える聴講者が参加したことから、この分野の注目度が窺えました。

ワークショップでは、マグノン熱伝導やスピントロニクスに基づく熱エネルギー制御など熱輸送に関する研究紹介や、2層グラフェンやアンチスキルミオンといった最新のトピックスに至るまで、分野の垣根を越えて多岐にわたる研究テーマについての最先端研究の発表・質疑応答が行われました。世界各国から集まった著名な研究者に混ざり、CREST・さきがけの研究紹介が行われ、プリンストン大学のポスドクや学生も含めた参加者間による活発な議論が展開されました。

オーガナイザーの1人である、さきがけ「トポロジー」村上修一研究総括(東京工業大学理学院教授)からの結びの挨拶では、本ワークショップを契機とした国際的な研究交流への期待が述べられました。今後も積極的に領域を跨いだ異分野融合と国際研究ネットワークの基盤構築を目指すと同時に、まさに本ワークショップのタイトルにある「トポロジカル材料の未来」を開拓する研究開発と、それを担う若手研究者の育成を、JST戦略研究推進事業として支援していきます。