JSTトップ>JSTnews>バックナンバー一覧 2014年度>2014年9月号
JSTnewsは、独立行政法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
P.03天然酵素をまねて人工触媒を開発
自然界の力で優れた燃料電池の実用化を目指す
燃料電池はクリーンな発電システムとして期待が大きい。しかし、電極に高価で希少なプラチナ(白金)を用いることが普及を阻んでいる。九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の小江(おごう)誠司教授らの研究グループは、水素を分解して電子を取り出す働きを持つ天然の酵素、ヒドロゲナーゼに注目し、これを模倣した触媒の開発を進めている。白金を代替できることだけでも注目に値するが、大自然に学び役に立つ技術を取り出すことができれば、大きなイノベーション(社会変革)につながるに違いない。
P.08研究の命、ビジネスの宝
世界に届け、日本の論文誌
日本の学術研究の発展には、その成果である論文を世界に向けて発信できる環境づくりが欠かせない―そんな使命のもと、15年前に設立されたのがJSTの電子ジャーナル・サイト「J-STAGE(ジェイ・ステージ)」だ。現在では、国内の約900の学会や協会(学協会)が共同で利用し、掲載論文数250万件超と世界有数の規模を誇るようになった。しかし、世界の論文誌を取り巻く状況は急速に変化しており、この潮流に合わせて、いかに日本の研究成果の発信力を高めるか、利用者に向けてどう使い勝手を良くするか、さらに海外の検索サイトとの連携をどう進めるか、幾つもの課題に直面している。J-STAGEの改革に向けた取り組みの一端を紹介する。
P.12高精度で、安価な人工関節の手術が実現
患者1人1人に合わせた手術支援システム
手術などによって変形した骨の矯正や人工関節の手術は、ベテラン医師でも難しいといわれる。高齢化に伴い人工関節の需要が増える中、どこの病院でもできる正確な手術が求められている。大阪大学とナカシマメディカル株式会社(岡山県岡山市)は、1人1人の患者さんに合わせた部材を作って手術をする、世界初の手術支援システムを開発した。
P.14JSTの最近のニュースから…
TOPICS
【話題】 高齢者でも「楽に」「楽しく」できる農業を! 【話題】 「京」がGraph500で世界第1位を獲得 【イベント開催報告】 「エクセルギー再生」でもう熱を捨てない、加熱しない! 【イベント開催報告】 科学技術協力で日米関係を深める
P.16戦略的創造研究推進事業さきがけ「再生可能エネルギーからのエネルギー キャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出」領域 課題名「ゼロエミッションを実現するアンモニア燃焼触媒の物質設計と応用」
アンモニアを石油に代わる燃料に
熊本大学大学院 自然科学研究科 助教 日隈 聡士
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研究室を象徴する3色の看板と九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の小江誠司さん。左右に研究室・実験室の並ぶ研究棟の廊下で撮影。「赤の『Biochemistry』は生命機能を解明する生物化学を、青の『Chemistry』は生命機能をモデル化する化学を、緑の『From Nature to Technology』は自然界をモデルとした応用技術の開発を表します」。小江研究室ではこの3つの異分野のグループが有機的に融合して研究をすることで、着実に成果を挙げてきた。