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研究セキュリティ確保への取組
~研究の自由、透明性、開放性と研究セキュリティの両立のために~
基礎研究成果の社会に与える影響の拡大、国際共同研究の重要性の増大、さらに地政学的緊張の高まりといった目下の研究を取り巻く状況から、研究セキュリティ確保の対応は国際社会における喫緊の課題です。
研究の自由、透明性、開放性の確保は、知の探求の営みや人類の発展のために普遍的に重要なものであり、いわば研究の本質ともいえるものです。他方、オープンな研究システムの不当な利用により、研究システムの健全性、公正性の毀損、研究成果の悪用、技術流出のリスクの高まりが懸念されています。研究のオープン性の重要性は何ら変わりませんが、そうした動きからアカデミアを守ることがますます求められています。ただし、このような取組において、人種や国籍等による差別はあってはならないことは言うまでもありません。
研究セキュリティ確保の取組は、研究成果・研究者を適切に保護し、開かれた研究環境を守るためのものであり、さらに国の経済安全保障上の要請に応えるものです。
このような背景を踏まえ、JSTでは研究コミュニティとの対話を行いつつ、研究開発事業における研究セキュリティ確保への取組をJST-TRUSTとして実施していきます。
JST-TRUSTについて(研究セキュリティに関するシンポジウム(2025年3月開催)資料より)
JSTの研究セキュリティ確保への取組(JST-TRUST)について
JSTでの取組(JST-TRUST)
JST-TRUSTでは、各事業で設定している評価基準に基づくPO等の専門家による選考を従来どおりJSTにて行った後、採択候補課題の調整に進む際に、提案書のキーワードスクリーニングとPO等による専門的判断に基づき、経済安全保障上のリスクやポテンシャルの大きさを確認します。
経済安全保障上、注意を要すると考えられる提案の研究代表者に対して、JSTが研究セキュリティアンケート(RSアンケート)の回答を依頼し、研究体制についての状況をお聞きします。依頼された研究代表者は、研究体制上のリスクとそれに応じたリスク軽減策について回答し、JSTがその内容を承認します。
RSアンケートの詳細はこちら
研究開始後、研究代表者はJSTに承認されたリスク軽減策を研究計画の一部として実行することが求められます。JSTは、PO等による研究マネジメントの一環として、研究セキュリティの観点からも継続的なモニタリングを行います。
また研究成果の公開にあたっては、注意を要する情報が意図せず散逸しないように、必要に応じてJST/PO等が、研究代表者やそのチームに外部発表の方法について事前相談を行う場合があります。
JST-TRUSTでは、諸外国においても提唱されている「スモールヤード・ハイフェンス(フェンスを設ける研究範囲はできる限り小さく設定した上でしっかり守り、それ以外はオープンとして扱う)」の考えを採用しています。また、研究者にかかる負担が過大にならないように留意しています。

パイロット公募
2025年度は、量子・半導体分野の公募を行う4プログラムで、JST-TRUSTのパイロット公募を実施します。詳細は各事業のHPをご参照ください。
RSアンケート
JSTは、研究提案の内容に応じて研究代表者にJST-TRUSTにおけるアンケート(RSアンケート)の回答を依頼します。RSアンケートの位置づけについては、JSTでの取組(JST-TRUST)をご確認ください。
- ・RSアンケートのひな形はこちら
シンポジウムの開催
JSTでは2025年3月にシンポジウムを開催し、研究セキュリティを取り巻く国内外の政策動向等の講演、JSTにおける取組の紹介ののち、パネルディスカッションを行いました。
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