成果概要
Child Care Commons:わたしたちの子育てを実現する代替親族のシステム要件の構築[3] Child Care Commonsの社会受容性の醸成
2024年度までの進捗状況
1. 概要
本研究課題では、社会全体で子育て環境の選択肢を広げていくことをめざす「Child Care Commons(CCC)」のメリット理解や多様な子育ての環境をそれぞれの親子が選択することを許す雰囲気を、社会一般で広く醸成することをめざします。この最終目標に向かって、子育て環境の多様性に対して社会一般の方々がもつ様々な考え方を調査し、その結果にもとづいてCCCが社会一般に受け入れられるようなシステムの修正提案・要件構築の検討を行います。

2. これまでの主な成果

課題5:
- CCCの一般イメージの調査
- CCCの内容を説明するリーフレットやワークシート、Webサイト(https://childcarecommons.org/)などを作成しました(上図)。これらに基づいて、CCCに対する理解や納得の度合いについて調べるため、複数の調査を実施しました。その結果、CCCの考え方に対して明確な反対を示す方は10%程であり、80~90%の人がCCCについて説明した文章に納得することが分かりました(下図)。これらのことから、詳細についてはブラッシュアップの余地があるものの、説明素材として一定程度機能するものを作ることができました。

- CCCの社会受容の要件の抽出
- 課題1、2、3と連携して大規模に調査を行ったところ、第三者として子育てに関わってみたいと回答したのは25%程度でした。
また第三者がCCCに参加するうえでの期待点や参加の障壁となる恐れについても伺いました。期待する点としては、「子どもとともに自身も成長していくこと」(39.2%)、「子どもと関わることで様々な視点を得ること」(36.4%)など、自らの学びになることが期待されていることがわかりました。一方で、「精神的な負担」(36.5%)や「かかわりにおいて責任が生じる」(29.0%)、「金銭的な負担」(27.7%)についての不安が参入障壁となっていることがわかりました。
さらに、この調査のなかで、やり取りに使いたいコミュニケーションメディアについても尋ねたところ、LINEやInstagram、FacebookなどのSNSを適切に利用したいと考えているのは約70%であることもわかりました。一方、約3割の方が対面でのみ交流を行いたいと回答しており、SNSを使いたくない方への配慮も必要であることがわかりました。
3. 今後の展開
第三者として子育てに関わりたいと考えている人は4人に1人いることがわかり、予想よりも多いことがわかりましたが、同時に様々な負担に対する不安があること、コミュニケーションツールに対する希望も個人によって異なることが分かりました。
今後は、より多くの方が参加したいと思えるシステムを提案していくため、上記の負担についてのサポートを検討していく必要があります。
また、性格特性との関連など、まだ完全に分析しきれていないデータも残されているので、今後詳細な解析を進めながら、こうした知見を学術会議や専門誌へ投稿し、報告していくことも重要だと考えています。