成果概要
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Child Care Commons 2.0:“Co-育ち”のための子どもの社会関係資本の構築と社会価値創出[3] 社会関係資本構築を促進する技術と教育
2025年度までの進捗状況
1. 概要
本研究開発項目では、社会関係資本の構築を支援するための技術プラットフォームを開発します。
社会関係資本がどの程度あるのかを目に見え、評価できるようになれば、個々人が社会関係資本を大事にしたり、これまで構築してきた社会関係資本を第三者に提示する際に役に立つかもしれません。そこで社会関係資本を計測し、可視化する技術を開発します。
また、子どもの社会関係資本もまた子どものウェルビーイングに関連し、教育が将来的な社会関係資本の構築可能性に関連する可能性を踏まえ、教育プログラムを開発します。
2. これまでの主な成果
課題31:SNSを利用した社会関係資本の可視化
社会関係性を可視化するために、SNSのログを利用しました。ただしプライバシーの懸念を回避するためにコミュニケーションの内容は扱わず、レスポンスの安定性(横軸:反応時間の分散など)と、レスポンスの方向性(縦軸:どちらから話しかけることが多いか)の2軸で可視化しました(下図)。
この2軸で2次元平面を構築し、時間変化とともに関係性がどのように変化したのかを可視化します。これをSocial Orbitと呼びます。
これにより、例えば、最初はこちらからだけ話を始め、かつレスポンスも不安定な関係(左下:T1、T2)であったものが、徐々に相手側からも話しかけてくれるようになり(左上:T3)、続いて、お互い安定したやりとりになり(右上:T4)、さらに、一度、相手からの働きかけが減り(右下:T5、T6)、安定したやり取りに戻るといった変化を可視化することができます。

https://childcarecommons.org/white-paper
課題32:センシングによる社会関係資本の可視化と行動変容促進情報提示技術
対面での社会的交流を含む社会関係資本を計測・可視化するためにはどのようにしたらよいでしょうか。日常的にどこで誰といつ会ったのかを記録していくことは労力的にも大変な作業です。本研究課題ではこのような記録を半自動化することに取り組んでいます。
まだ日常生活での導入には障壁がありますが、原理的には超音波スピーカ&マイクを利用することで、誰といつどこで会ったのかを記録できます(下図)。実験室状況下では、この技術を用いて、室内であっても、誰がいつ誰と会ったのかを記録できることが示されました。
このようにして記録されたものを、一日の終わりに確認することで、ある程度の信頼性と正確性をもって社会関係資本を記録することができるようになるのではないかと考えています。

課題33:子どもの繋がりのための教育プログラム
教育プログラムを開発するために、熊本県天草市の離島を調査および教育プログラムのフィールドとしました。まず、子どもたちが授業時間や休み時間、放課後に何をしているのか、子どもたちを親や教員、地域住民はどのように考えているのかをヒアリングを通じて調べました。これらの調査から、離島の子どもたちは互酬的信頼が強い一方で、新しい関係性を構築し、新たな価値観に触れる機会が限られていることがわかりました。
この結果を踏まえて、子どもが地域の長所・短所を自覚し、地域内のつながりの価値を肯定的に捉えながら、地域外の多様な他者と段階的につながる学習活動として「離島子どもサミットver.1」を設計・実施しました。
さらに、離島での調査結果を踏まえて、人口の過疎密集状況が異なる地域に暮らす中学生を対象としたアンケート調査を行い、社会関係資本の状況や課題・困難を把握しました。
3. 今後の展開
これらの技術を日常生活に導入するためには、まだまだ多くの障壁があります。精度と社会実装可能性のバランスを考えながら、CCCに最適な仕様を模索していく必要があります。
また、教育プログラムについても、2025年度はまだ1年目であり、今後教育プログラムの効果検証などを行っていく必要があります。
これらを通じて、CCC標準運用モデルに統合できる技術プラットフォームの開発を引き続き行っていきます。