成果概要

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Child Care Commons 2.0:“Co-育ち”のための子どもの社会関係資本の構築と社会価値創出[2] 社会関係資本の効用理解

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、「Child Care Commons(CCC)」の社会実装に向けて、発達データ基盤を構築すると同時に、CCCの効用を整理したエビデンスブックの作成を行います。

課題21:子どもの大規模調査基盤構築と親子のインタラクション評価

子どもの発達に社会関係資本がどのように関わるかを明らかにするうえで大規模縦断研究は欠かせません。本課題ではそのための基盤形成を行うとともに、親子インタラクションを評価するための新しい指標を構築します。

課題22:CCC2.0の効用理解

CCCのような取り組みによる効果およびその個人差を理解し、CCCに参加することで、どのような人に対してどのような効果があるのかをエビデンスに基づいて提示します。

2. これまでの主な成果

課題21:子どもの大規模調査基盤構築と親子のインタラクション評価

分散PDS(Personal Data Store)を用いた縦断研究のためのシステム(右上図: Yazawa et al., 2021, BDCC)について、運用のための具体的な手続きやルールの策定が完了しました。

分散PDSの概念図

このデータ基盤では、調査者と参加者が独自のPDSを持ち、システムを通じて各PDSに調査データを保存し、参加者は必要に応じてそのデータを別の調査者に提供できます。そのため、物理的に離れた研究機関の間でも同一個人に対するデータを統合することができ、縦断研究をサポートできます。
このデータ基盤は、オンラインで取得できるデータが増えると、複数の研究機関で参加者のデータを蓄積・結合しやすくなり、その真価を発揮します。そこで、視線計測や言語発達検査などをオンラインでできるように妥当性の検討を進めていきました。さらに、これまで客観的な評価が難しかった親密度といった概念を捉えるための手法開発に取り組みました(下図)。東京大学をはじめとする複数の大学で倫理審査が完了し、一部のデータはオンラインでのデータ取得を開始しました。

親密度を客観的に測定するために検討した手法
課題22:CCC2.0の効用理解

292名の大学生に子ども時代の社会的つながり(ソーシャルキャピタル)を回顧していただき、現時点(大学生時点)のウェルビーイングと関連するかを調査しました。その結果、幼少期に親以外の信頼できる大人との関係が豊かだった人ほど、成人後のウェルビーイングが高いことがわかりました。
また、4歳から85歳までの約4,000名を対象に、子ども時代(18歳以上は18歳未満のことを回顧)に親以外の信頼できる他者がいるかどうかを回答していただくと、「困ったときに頼れる人がほとんどいない人(青)」と「多数頼れる人がいる人(ピンク)」に二極化していることがわかりました(下図参照)。

社会関係資本の格差

こうした心理行動学的な特徴を、脳などの客観的な特徴から予測することも目指しています。しかし、従来の研究では、非常に多くの方に協力してもらう必要があり、そのことがひとつの課題になっていました。そこで、比較的少ないサンプルからでも安定して予測するための手法を提案し、予測精度を50%向上させることができました(Feng et al., in press)。
さらに、社会的つながりはすべての人にとってウェルビーイングにつながらない、または最適なレベルが個人によって異なる可能性を踏まえ、性格特性が関連を調整することを明らかにしました (原稿準備中)。

3. 今後の展開

今後も引き続き、まずはプロジェクトメンバーを主な調査者としながら、オンラインデータの取得を行い、社会関係資本の効用を理解するための大規模データセットの構築を進めます。
これと並行して、研究開発項目1の知見も統合しながら、どのような個人にとってどのような社会関係資本が必要であるのかを明らかにします。そのうえで、個人に最適な社会的つながりを提案するとともに、そのようなつながりがCCCによって構築されるのか、つながりの構築によってウェルビーイングの向上に寄与するのかを引き続き検討していきます。