成果概要

Child Care Commons:わたしたちの子育てを実現する代替親族のシステム要件の構築[2] Child Care Commons運用システムの設計

2023年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、「Child Care Commons(CCC)」の実現に必要となるシステムの要件を構築することをめざします。この目標を達成するために、システムによって実現されるべき機能群を明らかにするとともに、その機能群を実装できる技術の要件を検討する必要があります。また、CCCが親子や第三者にとっての効用となるのかを検討する必要があります。

課題3:CCCをささえるICTの仕様

CCCの中で、親子以外の多様な人(参画者)が、主体的に関わる仲間として参画することや、その人なりのやり方で、柔軟かつ責任をもって関わることを、デジタル技術、特にブロックチェーン技術やそれに類する技術によって支援します。具体的には、参画の証(電子的なメンバーシップトークン)を発行したり、どのような関係性が醸成されているのかを可視化できるようにすることを考えています。

ブロックチェーン技術などを用いることで、例えばメンバーシップトークンによって合意の存在を記録したり、親子と参画者の関わりに関する情報の真正性が保証される。これによって一方的な関わりの成立や破棄、関係性の改ざんを防ぐことができる。
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課題4:CCCをささえるエビデンスと受容

CCCのような取り組みが、子どもや親、第三者(参画者)にとってどのような影響を及ぼすのか、またどのようにしたらCCCが親子や第三者にとってポジティブな効果を与えるのかを考え、そのためのエビデンスを脳科学や心理学の視点から検討します。

2. これまでの主な成果

課題3:CCCをささえるICTの仕様

CC運用システムを設計するため、親子と第三者の関係性を開始させたり、終了させたりするための承認行為のデザインと、その記録システムの要件構築、過去データに関するCCC内でのデータ共有システム要件構築、親子と代替親族の信頼・心的つながりの可視化のためのシステムの要件構築を行ないました。関係性が変容したことを表現できるよう工夫しました。

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課題4:
A:CCCに関連しうる個人特性の神経基盤の解明(CCCのための個性推定法の基盤研究)
個人の個性を神経学的に安定的に抽出・推定できるようにするため、MRIで得られた脳画像から重要な情報を抽出して、解釈可能なレベルにする作業を行ないました。これと合わせて、心理行動データを追加取得し、令和6年度に行なう新しい個性推定法のための準備を進めました。
B:幼児期、児童期、思春期の社会関係資本/ソーシャルネットワークとその後のウェルビーイングの関係性の検討
子ども、その親、成人の3群について、それぞれのべ4000名規模で社会関係資本の質問紙調査を行ないました。これによって、第三者が関わる質や量が、現在または(現在から振り返る)過去のウェルビーイングにどのような影響を与えるかを検討しました。
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3. 今後の展開

今後、構築した要件を統合するようなシステムを設計していくとともに、CCCの効用に関するエビデンスを蓄積し、安心してCCCに参加していけるような環境整備を進めていきます。