成果概要
子どもの好奇心・個性を守り、躍動的な社会を実現する[3] 個性を守る学校の実現
2023年度までの進捗状況
1. 概要
本プロジェクトでは、多様な子どもが共に生活する「学校」に着目し、本来の好奇心に基づいた学びを促進し、子どもの高い精神的幸福度を目指します。金沢大学と加賀市が連携して「学校における子どもたちのこころの安寧と知的好奇心の見える化」「教育システムの検討」「発達障害ELSI」の3つのテーマを柱として研究事業を進めている。

- 対象
小学校通常学級・特別支援学級に在籍する児童生徒 - 方法
学校での活動時間、休み時間にウェアラブル高精度心電計測器および対面検知アプリを装着してもらい、心拍データと活動量データを取得する。
2. これまでの主な成果
デバイス1:対面検知同調検出アプリ
小型スマートフォンに内蔵された加速度センサーによって、身体個々の活動中の身体の動き、集団の同調性について評価するシステムを導入
デバイス2:ウェアラブル高精度心電計測器
日常生活下での心拍・自律神経計測の精度を高め長時間計測を可能にするプロトタイプ機を作成

対面検知・同調性検出アプリによる「好奇心探求の時間」の子どもの活動量の特徴の分析
発達障害のある児童を対象に、特に興味・関心のある活動を実施し、活動中の身体活動を計測した。

分析の結果、工作などの中で教員と生徒が一緒に活動する場面で2者間の同調性が高くなることが示された。
「主体的に学ぶ」
授業の構造の違いによる児童の行動の違いの可視化
石川県加賀市が取り入れている、個々に合ったペースや形態で学ぶ「マイプラン学習」(単元内自由進度学習)と通常の授業スタイルの違いについて、ビデオ分析と加速度データから分析を行った。加速度データによるネットワークの指標「集団の意識」では、通常授業に比べ、個々の進度で取り組む学習で皆と交流している状態や個々で集中する状態を示し、ネットワークの特徴が広範囲に分布する様子が見られた。

3. 今後の展開
子どもたちが学校でのびのび成長し、好奇心、自尊感情を守り健全なこころと脳の成長を促すための教育システムづくりに向け、プラットフォーム構築を進める。継続的に加賀市と大学関係者による情報共有会議を開催し、地域における教育や発達障害に関する支援の状況、計測データから得られた結果を共有していく。子どものこころの研究・技術にかかわる議論を市民と議論し、インクルーシブ教育の理解推進のための機会を設ける。