成果概要

子どもの好奇心・個性を守り、躍動的な社会を実現する3. 個性を守る学校の実現

2022年度までの進捗状況

1.概要

本プロジェクトでは、多様な子どもが共に生活する「学校」に着目し、本来の好奇心に基づいた学びを促進し、子どもの高い精神的幸福度を目指します。金沢大学と加賀市が連携して「学校における子どもたちのこころの安寧と知的好奇心の見える化」「教育システムの検討」「発達障害ELSI」の3つのテーマを柱として研究事業を進めている。

〇対象
小学校通常学級・特別支援学級に在籍する児童生徒
〇方法
学校での活動時間、休み時間にウェアラブル
高精度心電計測器および対面検知アプリを装着してもらい、心拍データと活動量データを取得する。

2.2022年度までの成果

デバイス1:ウェアラブル高精度心電計測器

日常生活下での心拍・自律神経計測の精度を高め長時間計測を可能にするプロトタイプ機を作成

デバイス2:対面検同調性検出アプリ

小型スマートフォンに内蔵された加速度センサーによって、身体個々の活動中の身体の動き、集団の同調性について評価するシステムを導入

研究実施体制の構築

石川県加賀市教育員会の教員、特別支援教育アドバイザー、大学の研究者から構成される研究実施のための連携会議を定期的に開催し、石川県加賀市における教育の現状や発達障害をはじめとする支援を必要とする児童生徒の学校への適応や支援の状況に関する状況について共有を行っている。

加賀市内の研究協力校の選定と依頼

石川県加賀市教育員会特別支援教育アドバイザーを中心に市内の対象校を3校選定した。
そのうち1校について、加賀市教育委員会及び対象小学校の協力のもと、1学年全体の児童の保護者に向けた説明会及び研究協力依頼を行った。86%(14人中12人)の研究同意を得て、小型スマートフォンにより、身体個々の活動中の身体の動き、集団の同調性についてこの6月に予備実験を実施した。

スマホデバイス搭載ビブスを着た体育の授業
スマホデバイス搭載ビブスを着た体育の授業

3.今後の展開

子どもたちが学校でのびのび成長し、好奇心、自尊感情を守り健全なこころと脳の成長を促すための教育システムづくりに向け、プラットフォーム構築を進めていく。継続的に加賀市と大学関係者による情報共有会議を開催し、地域における教育の現状を把握し、発達障害をはじめ、支援を必要とする児童生徒の学校への適応や支援の状況に関する状況などを共有していく。興味関心の強い活動についてのアンケート調査を実施し、「好奇心探究の時間」の準備を進める。理解を得るためのシンポジウム等を開催し市民向けのインクルーシブ教育の理解推進のための機会を設ける。
(吉村 優子:金沢大学)