成果概要

東洋の人間観と脳情報学で実現する安らぎと慈しみの境地1. データ駆動モデル化

2022年度までの進捗状況

1.概要

データ駆動で個性のタイプ分けをするモデルを構築するために、その構築の基礎となる「軽重ミックスデータベース」の作成に着手。具体的には、「軽」の部分を構成するアンケート・質問項目、スマホによる日常行動計測において、調査する項目を策定、予備調査を開始し、「重」の部分を構成する脳画像データベースの内容を策定しました。

2.2022年度までの成果

研究開発課題1:データ駆動によるモデル構築

(1)「軽重ミックスデータベース」の基本的なデザインの策定
インターネット・スマホを用いた大規模調査で収集する項目について、研究開発課題3と協働し様々な精神症状の軸で健常者のサブタイプの同定に成功している実績をもとに9種類の臨床評価尺度を策定し、研究開発課題2および社会実装チームとの協働で安らぎと活力に関する質問紙を、次年度からデータ収集を開始できるように決定しました。モデルを構築するのに必要なデータ構造であるか、モデル構築のプランとデータベースの基本構造に整合性を確認し、研究開発課題2と協働し、倫理審査申請・承認を得た上で、予備調査を実施しました。

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(2)安らぎと活力に関する個性のタイプ分けを行うモデルをデータ駆動で構築
研究開発課題3と協働し、脳データのプロトコルの策定について国際的なスタンダードとなっている米国Human Connectome Projectの多施設疾患研究用プロトコルを採用。該当プロトコルの画像データの前処理パイプラインを実施できる環境について構築を完了しました。

表1:アンケート調査の質問項目一覧
表1:アンケート調査の質問項目一覧

研究開発課題2:インターネット・スマホを用いた大規模調査

次年度以降の軽重ミックスデータ構築のための大規模調査の実施にむけた予備調査を行い、研究開発課題1で構築するモデルのプランとの整合性を確認。他研究課題推進者らと協議を行い、実施期間、被験者セグメント、質問紙項目、取得する日常行動データ(経験サンプリング・行動データ)の種類など、実験デザインの設計を行いました。データ収集アプリを作成し、倫理審査申請・承認を得た上で、予備調査を実施した。第一段階では50,000名を対象としたスクリーニングアンケートを実施し、その回答結果に基づき2,000名のアンケート調査実施者を選定し、アンケート調査回答者より行動計測調査対象者約100名を選定し、行動計測調査を実施しました。

表2:行動計測調査項目一覧
表2:行動計測調査項目一覧

研究開発課題3:データ駆動型解析の最適化

「重」の脳画像データベースの内容を脳画像の種類・撮像パラメータについて、オープンデータの質・撮像時間などを参照し検討を行いました。前処理方法に関して情報収集し、妥当な手法の選択を行いました。各項目のデータのデータベースへの格納方法、前処理方法、運用方法、モデル構築の面からデータベースの構造を決定し、策定したデータ収集方法・撮像する脳画像の種類・撮像パラメータが、研究開発課題1で構築するモデルのプランと整合性があり、モデルを構築するのに充分なデータを含んでいること、疾患を層別化した方法(Hierarchical supervised /unsupervised learning)で、健常者を層別化するのに充分なデータを含んでいることを確認しました。

3.今後の展開

「軽」「重」のそれぞれについてデータの収集を開始します。「軽い」データである個人特性に関する質問調査をオンラインで行い、スマホやウエアラブルデバイスのログより日常的な行動データ、安らぎ・活力などの気分のサンプリングを、数ヶ月間にわたり収集します。「重い」データである脳画像データの収集し、軽重ミックスデータベースを構築し、これらのデータを用いてタイプ分けを行います。
(田中沙織: ATR、中村元: DDI総合研究所、酒井雄希: XNef)