成果概要
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東洋の人間観と脳情報学で実現する安らぎと慈しみの境地[1] データ駆動モデル化
1. 概要
2025年度までの進捗状況
データ駆動で安らぎと活力に関する個性のタイプ分けを行うモデルを構築するため、「軽重ミックスデータベース」の拡充と、軽いデータ・重いデータの双方を用いたサブタイプ推定を進めた。第2期大規模調査を実施し、オンラインアンケート、スマートフォンによる日常行動計測、経験サンプリングに加え、MRI、認知機能、意思決定課題を収集・前処理した。さらに、学習済みクラスタリングモデルを新規データへ適用するアルゴリズムを開発し、サブタイプの妥当性と安らぎ・慈しみ関連指標との関係を検討した。
2. これまでの主な成果
研究開発項目1:データ駆動によるモデル構築
- (1)「軽重ミックスデータベース」の構築とキュレーション
- 研究開発項目2および社会実装チームと協働し、アンケート、日常行動計測、経験サンプリングから成る「軽い」データの収集項目を用いて、第2期大規模調査を実施した。オンラインアンケートはのべ17,413名、行動計測調査は781名を対象に実施し、データキュレーション後、解析対象として有効サンプル10,834件を得た。また社会実装チームが介入研究で収集した質問紙データ520件も統合し、学習済みモデルの外的適用性を検証できるデータ基盤を整備した。
- (2)安らぎと活力に関する個性のタイプ分けを行うモデルをデータ駆動で構築
- 軽いデータについて、ガウス特徴量とカテゴリカル特徴量を含む学習済みクラスタリングモデルを新規データへ適用するため、変分事後分布に基づく対数尤度の期待値を用いたスコアリング・アルゴリズムを実装した。新規データ10,834件および社会実装チーム520件へ適用した結果、View 1-3のサブタイプ分布はトレーニングデータと概ね一致し、モデルの汎化性が確認された。
サブタイプの解釈では、協調的幸福・他者慈悲・自己慈悲が高い統合ポジティブサブタイプ、社交不安が高く自己批判的なサブタイプ、うつ傾向が高く自己慈悲が低いサブタイプなどが見いだされた(図1)。

さらに、FFMQのacting with awarenessではView 1のサブタイプ間に大きな差が認められ、侵入思考・衝動性が高いサブタイプほど「いまの行為」への注意保持が弱い可能性が示された(図2)。
「重い」データである脳画像については、Human Connectome ProjectのConnectome Related to Human Diseaseプロトコルに基づき、構造画像、拡散強調画像、安静時fMRI、fieldmapを含むMRIデータをのべ141名から収集し、XNATへ格納した。
前処理済みデータに対して、健常者を対象に開発した階層的教師あり・教師なし学習を用いたクラスタリングを実施し、160本の機能的結合を用いたモデルの再検査信頼性を評価した。尤度トップ20モデル間のARIを比較し、極端な解を避けつつ相同性の高い最適モデルを選択した。

研究開発項目2:インターネット・スマホを用いた大規模調査
KDDI総合研究所および社会実装チームと協働し、オンラインアンケート、スマートフォンログ、実行動、経験サンプリングを組み合わせた大規模調査を継続した。収集したデータは、安らぎ、活力、協調的幸福感、他者への慈悲、自己への慈悲、精神症状、日常行動を横断的に評価できる構成とした(図1)。
3. 今後の展開
今後は、第2期大規模調査データ全体のキュレーションを完了し、軽いデータと重いデータを統合して安定した個人特性サブタイプを同定する。脳画像データについては令和7年度収集分の前処理完了後に随時クラスタリングを実施し、安らぎ・活力・慈しみとの関係を検証する。最終的には、介入や社会実装で利用可能な5つ以上の安定した個人特性タイプの抽出を目指す。