成果概要

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ゲリラ豪雨・線状対流系豪雨と共に生きる気象制御[3] 豪雨制御の影響評価と社会受容性の研究

2025年度までの進捗状況

1. 概要

豪雨制御を実施した場合の自然への影響を推定する第一歩として、豪雨制御シナリオを構築し、その洪水流制御効果を評価します。豪雨制御することによって雨域が移動し、他の流域で洪水や渇水が発生してしまうといったリスクを考慮しなければなりません。水文社会が受ける影響を推定し、住民の行動変化を考慮した水文社会がどのように変化するのかを評価します。
さらに、地域住民が新しい制御技術を通して気象資源を主体的に活用・保全しながら、豪雨と共に暮らしていくための協働のしくみを「気象コモンズ」として捉える概念モデルを構築すると共に、その成立要件を明確化します(図1)。その考え方に基づきELSI/RRI課題に対する社会的・制度的対応シナリオを構築します。
そして自然への畏敬や自然との共存などといった「自然の懐に住む」という意識が国民に浸透し、「自然の懐を借りて人が生きる」という範囲の中で、豪雨制御の適用範囲を決めていきます。

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図1 「気象コモンズ」の理念図

2. これまでの主な成果

① 豪雨制御による流出・水資源への変化の推定

研究開発項目1で開発している気象モデルによる豪雨制御実験結果から、豪雨制御によって降雨波形がどのように変化するか、その情報を基に九州地方黒川流域で平成24年に発生した豪雨イベントに対して豪雨制御が実現したと仮定した場合の流出への影響評価を実施しました。その結果、仮定した豪雨制御によって、流域総降水量は約12%抑制され、ピーク河川流量が約13%低減することが明らかになりました。さらに、氾濫シミュレーションを実施し、浸水深1m以上の面積が約14%縮小することがわかりました。

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図2 想定浸水深(制御前)と制御した場合の浸水深の変化
② 気象制御を想定した具体的なELSI課題の検討

ELSIとは倫理的、法的、社会的課題であり、自然という不確実性、環境への影響、住民の防災意識への影響などを考慮することが大切です。平成29年7月九州北部豪雨を対象として、気象制御の実施シナリオを検討すると共に、具体的なELSIの抽出・対応を図るための枠組みを作成しました。また、今後の小規模屋外実験の実施に向けた企画立案や地域協働の検討フローを図3のように整理しました。

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図3 屋外実験の実施にむけた検討フロー(暫定版)
③ 気象コモンズの理論的検討

市民への質問紙調査により、気象制御に対する受容意識やその受け入れ条件を実証的に明らかにしました。特に、気象コモンズの考え方を踏まえて、気象との共生意識として「気象アイデンティティ」の考えを提唱し、気象制御に対する受容意識との関連性について分析しました。その結果、気象との日常的な関わり合いや自然観と気象制御に対する受容意識との関連性が示されました(図4)。

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図4 気象制御の受容条件

3. 今後の展開

豪雨制御の程度を変えた複数シナリオをたてて洪水流制御効果を評価します。気象コモンズの形成に向けた自立共生的な制御技術を具体的に考案します。ELSI課題に対する社会的・制度的対応シナリオを構築します。