成果概要
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ゲリラ豪雨・線状対流系豪雨と共に生きる気象制御[2] 制御システムの構築
2025年度までの進捗状況
1. 概要
複数の工学的手法を多時点・多段階に実施し、効果的に豪雨を抑制するためのシナリオを対象として、流出氾濫水資源および社会への影響を総合的に評価する制御システムを構築します(図1)。また、多段階的にリアルタイムで介入を行うことで、制御中に仮に想定外のブレが発生したときにでも、軌道修正が可能な制御システムを構築します。さらに、一つの介入手法を大規模に行うというよりも、小規模な複数種類の介入手法を多段階的に実施して、制御効果を高めることを目標としています。具体的には、(I)豪雨現象に関わる時間発展モデルの簡素化(代理モデルの構築)およびアンサンブル予測手法の構築、(II)制御に必要なモニタリング手法の構築、(III)ELSI/RRI 研究のアウトプットに基づいた適切な目的関数の設定、(IV)アルゴリズムの最適化によって、リアルタイムに複数の制御手法を組み合わせた最適解を導出できる意思決定支援システムを構築します。

2. これまでの主な成果
① 実時間意思決定支援システムのデモンストレーション
研究開発項目2では、各操作手法に関する知見(項目1)と、洪水・水資源や人間社会に及ぼす影響評価の知見(項目3)を取り込み、実時間で操作に関する最適解を導出するシステムを開発することを目標としています。
実時間意思決定支援システムのデモンストレーションの作成に関して、実現可能性を踏まえた一つの豪雨制御シナリオを想定しデモンストレーション映像を製作しました。具体的には、プロジェクト内の他研究開発課題と連携して、現状の数値シミュレーションの結果に基づき、豪雨制御実施の意思決定、散布場所の検討、散布用航空機の展開、雨雲に対する散布、雨雲の変化、河川水位、浸水深の変化、想定被害のそれぞれについて、シームレスにリアルタイムの状況を3次元仮想空間に再現しました。

② アンサンブル平均随伴法の有効性検証
アクチュエータ位置最適化研究の中で、通常の随伴モデルでは気象モデルで非線形最適化を行っても、あまり効果的でないことがわかってきました。これはカオス性から局所解に陥りやすいためと示唆されました。この問題の解決に向けて、擾乱を加えた複数のケースで随伴モデルを計算し、その結果を平均して感度を求めるアンサンブル平均随伴モデルの利用について検討を行いました。
西日本豪雨のWRFシミュレーションに対して、図3に示す赤枠の積算降水量を減らすために、通常の随伴方程式を用いた感度に基づいてインパルス入力を行って解析しました。入力の強さを一定にして感度に基づいて、地表面の湿度を変化させた場合の6時間後までの積算雨量の変化を示しています。アンサンブル平均を行わない場合に比べ、適切なランダム撹乱を入れた場合、積算雨量を優位に減ずることができました。

3. 今後の展開
制御手法の特徴(特に、実施判断のよりどころとする現象、その観測方法、判断から実施までに要する時間、効果を見極める現象、その観測方法)、制御によって生じる影響(豪雨に直接的に関連する影響と社会的な影響)の連関、意思決定問題で対象とする範囲に基づいて、意思決定デモシステムを作成することを目標とします。また、アンサンブル平均随伴法を用いて、現実問題で検証していきます