成果概要
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月面探査/拠点構築のための自己再生型AIロボット[1] モジュラー・マルチエージェントなロボットシステムの実現
2025年度までの進捗状況
1. 概要
宇宙空間への輸送機会や輸送可能な体積・質量には厳しい制約があるため、地球から持ち込むロボットシステムには、作業環境や目的の変化に応じて柔軟に形態を変えながら多様なタスクを遂行する「変幻自在な適応性」が求められます。さらに、異なる形態を持つ複数のロボットが協調して作業を進める能力も不可欠です。この課題に対する解決策として、本プロジェクトでは、真空・1/6重力・レゴリスに覆われ岩石が点在するような未知の過酷環境下においてもタスクを遂行可能な、再構成可能なモジュラーロボットシステムを開発し、異種ロボット群による分散協調制御の実現を目指して、研究開発を進めました。
2. これまでの主な成果
具体的には、以下の2つの課題を中心に研究開発を推進しました。

課題1:モジュラーロボットの設計、製作・機能解析
本プロジェクトの中核となる「変幻自在」にタスクを遂行可能なモジュラーロボットについて、その設計・試作・機能解析を行いました。段階的な地上実証モデルの開発を通じて、以下の成果を得ました。
- 1. 構造と制御のレポジトリ構築:
- 各モジュールの構成、形態、機能、および対応する制御手法をデータベース化し、再利用可能な知識基盤を整備。
- 2. 結合機構の設計と製作:
- モジュールを容易に組み替え可能とする結合インターフェースを設計し、地上実証モデルを製作。
- 3. 再構成アルゴリズムの開発:
- モジュールの組み替えに応じた構成認識とタスク割当を実現するアルゴリズムを開発し、ロボットモデルに実装。
- 4. Plug and Play機構の開発:
- モジュールの接続・切断を動的に検知・管理する柔軟なシステムを構築。
- 5. 自律分散協調制御系の構築:
- 異種モジュラーロボット間で協調動作が可能となる制御系の設計と基礎実装を実施。

課題2: 階層型強化学習による分散型AIの研究開発
MoonBotのモデルファイルを基に、アーム、ハンド、移動モジュールを統合したロボットシステムのシミュレーション環境を構築し、月面でのロボットタスクを想定したAI制御手法の研究を行いました。具体的には、階層型強化学習に基づくモジュールロボットの動作生成フレームワークを新たに設計・実装し、マニピュレーション課題への適用を行いました。
- 下位モジュール(下層学習):
- アーム制御モジュール(arm):手先を目標位置まで到達させるリーチ動作の学習。
- グリッパー制御モジュール(gripper):対象物を適切に把持する動作の学習。
- 移動ロボット制御モジュール(rover):所定位置への移動を行う動作の学習。
- 上位モジュール(上層学習):
- 上記の下位モジュールを活用し、作業位置までの移動、最適な角度への手先調整を含むタスク全体の統合的方策を学習。


各モジュールの機能的役割を維持した階層構造を採用することで、モジュール数が増加した場合でも高い拡張性と解釈性を有する制御系を構築することができました。
複数のMoonBot形態を対象としたシミュレーション実験により、単一の下位層リーチ動作ポリシーを全てのアームモジュールで再利用できることを確認し、モジュールごとの再学習が不要であることを示しました。
また、非階層型手法との比較において、学習効率の向上と報酬設計負担の軽減を実現し、提案手法の有効性を確認しました。
本プロジェクトにより、月面上でAIロボット群を用いて有人拠点などのインフラを自律的に構築するというムーンショット目標の達成に向けて、モジュラー化された各ロボットへの最適なタスクアロケーション手法、および階層型学習に基づく動作スキルの獲得・蓄積・活用の方法について、次ステップへの展開につながる重要な成果を得ることができました。