成果概要

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未知未踏領域における拠点建築のための集団共有知能をもつ進化型ロボット群[2] 個体進化および群共進化機能の実現

2025年度までの進捗状況

1. 概要

複雑な状況判断が求められる未知未踏の領域で、ロボットが自律的に判断し行動し進化する、そして仲間のロボットと情報を共有し、共に進化していく機能を開発します。
この研究開発項目では、ロボットの個体の進化と、個体間をつなぐ通信ネットワークを介した知能共有を礎とした群の進化に関する研究、それを実現するための通信技術の確立と、小型制御装置、ソフトウエアの開発を行います。
ロボットの動作は、小さな機能部品(低粒度なモジュール)の組合せにより実現されます。その小さな部品をロボット内部でいろいろに組換えることで、様々な機能を実現できれば変化が生み出せ、その変化がロボット個体の進化へと繋がります。また、複数のロボットたちが、ネットワークを通じて互いがもつ機能部品を内部機能で相互に使うようになれば、自分にはない能力を獲得し、仲間と協力・分担して集団としての機能を創り出し、集団(群)として共に進化(共進化)が可能になります。そして、この集団で創り出した機能の上に研究開発項目1によるAI情報処理を実現すると、「ネットワーク知能」というロボット群の中の知的な存在としての動作となります。
一方、月面は、放射線が飛び交い200度以上の大きな温度差があるため、ロボット内部の制御装置に誤動作や故障を生じるリスクが高い環境です。また、一般に制御装置は処理速度に比例して発熱が増えるため、冷却対策により宇宙仕様では大型化し低速動作になりがちです。このため、宇宙ロボットでは、地上に比べて出来ないことが増え、開発が困難になります。

Neo群知能(ネットワーク知能=機械集合知)

そこで、その解決のため、制御装置での処理法を変更し、ロボットの動作実現に着目した処理法の設計および機能組換えの仕組みを用いて、宇宙ロボット、特に小型ロボットのための低消費電力で小型な制御装置を実現します。加えて、ロボットの個体に搭載する機能や、他のロボットとの情報共有、そしてそれらの進化の管理と運用のためのソフトウエアの開発、UWBを用いたロボット間通信に関する研究開発も行います。

2. これまでの主な成果

ロボットの個体進化、そして群の進化に、どのような要件が必要になるか分析し、低消費電力、かつ高い処理性能を両立する進化型制御装置の開発を目指しました。その結果、機能モジュールの柔軟な組み換えが可能で、かつ分散実行が可能、そして低消費電力な制御装置の開発が完了しました。この制御装置を小型ロボットに実装した試験では、粒度モジュールの組み換えによる個体の進化および群の制御が可能であることを実証できました。さらに、多くの制御装置やロボット群を統合的に扱う将来像を見据え、上位のネットワーク知能との連携を想定した検討も実施できました。宇宙利用を見据えた放射線試験を実施し、本制御装置が高い耐放射線性能を有することも確認できました。ソフトウエアについては、機能共有による作業効率化、障害発生時に群ロボットシステムを継続して稼働させるソフトウェアプラットフォームを開発しました。ロボット間の通信については、UWBによる通信機能を実装し、電波ビーコンによる群形成と群誘導を実現しました。

機能モジュールの個体共有(左)および提案アークテクチャ実装試作基板(右)

3. 今後の展開

ロボットの個体進化、および群としての進化に不可欠な制御装置が完成しました。群の共進化機能の実現のために、ロボット間で情報ネットワークを構築する通信機能としてUWBによる通信機能の実装および実証を行い、電波ビーコンによる群形成・群誘導が可能になりました。機能の組み換えが可能な処理制御用のソフトウエア環境を開発し、基礎的な運用環境を実現しました。
これらの成果により粒度モジュールの組み換えによる個体の進化、そして、仲間のロボットと情報共有しながら共に進化していく群の共進化の実現を目指した制御装置、通信、ソフトウエアといった一連の制御システムの礎が整いました。
今後は、宇宙利用のために、ロボットのフライトモデルへの装置の実装、各種の宇宙仕様化のための試験をさらに進行します。ロボットの個体と群の進化機能および集団共有知能「ネットワーク知能」は、難環境である月面において、新旧ロボットの入れ替え・世代交代という新陳代謝を長きに渡って繰り返す中で、知の蓄積を実現します。まるで生物のように世代を超えて脈々と集合知が形成されていく技術的な礎となります。

集合生成型の分散知能「ネットワーク知能」の構成イメージとシステム構造