成果概要
活力ある社会を創る適応自在AIロボット群[2] 適応自在AIロボット開発
2024年度までの進捗状況
1. 概要
本研究テーマでは、ヒトや環境に自由自在に適応することを目的として、柔らかくも固くもなり、しなやかさも調整が可能なアクチュエータ・機構を持つロボットハードウエア開発と、それらハードウエアに適応したセンシング・制御技術開発を行っている。
人の意図や行動を推定する技術と、人の目的やその人の体格・障がいの程度等に応じて、ロボットの形状や形態を変形させる適応自在AIロボットの開発を進めており、Robotic Nimbusという雲のように柔らかく変形し、筋斗雲のように人の意図に基づいて、人の運動機能を拡張させることが可能なロボットコンセプトを提案した。
介護現場での実証に向けた取り組みを加速させるため、本研究開発テーマは下図の研究開発全体統合ビジョンにおける日常生活支援を各種Robotic Nimbusで行うことを想定している。

2. これまでの主な成果
本研究開発項目では、日々の生活における様々なタスクや動作を支援するためのNimbus Robotsを開発した 「雲のように」のコンセプトのもとでは、人の体型に沿った優しい包み込みと体幹保持を両立するNimbus Holder、装着者の快適性を保ちつつ体幹や腕・足の姿勢を保持できる剛性を両立したNimbus Wear、そして柔軟性と重量物搬送の両方を実現し、最終的には人の搬送をも目指すNimbus Sheetを開発した。これらは、ユーザーの身体に優しく寄り添い、きめ細やかな支援を提供するロボットを実現するための基盤技術となる。
一方、「筋斗雲のように」のコンセプトでは、人の身長や姿勢に応じて伸縮自在で体重保持を実現するNimbus Limbs、そして柔らかな特性を持ちながらも完全な体重免荷を実現するFlying Nimbusを開発した。これにより、従来のロボットでは対応が困難であった、ユーザーの能力を拡張し、新たな可能性を広げる画期的な支援が現実のものとなった。
さらに、雲のようにくっついたり離れたりするハードウェアモジュールの開発も進め、市販のアームや歩行機にこれらのモジュールを取り付けることで、着衣支援のような複雑な作業を可能にするシステムを構築した。これらの多岐にわたる開発は、適応自在AIロボット群が多様なタスクに柔軟に対応できる能力を示している。また、個人の状態や目的に合わせてロボットの形態や機能が自在に変化するという、本プロジェクトの核となるビジョンを具現化したものである。展示会等の様々な機会においてデモンストレーションを行い、これらのNimbus Robotsが持つ極めて高い拡張性が実証され、その社会実装に向けた大きな一歩を踏み出した。これは、従来のロボットが抱えていた固定的な機能や形態の限界を打ち破るものであり、真の人適応型支援の実現に不可欠である。

3. 今後の展開
今後は、これまでに開発した要素技術を発展させるとともに、それらを適切に組み換え可能なリコンフィギュアブルなシステムとすることで、様々な目的・状況に適応可能な「Robotic Nimbus群」として進化させる。特に、人適応型Nimbus Holderプロトタイプ、環境操作型Nimbus Sheetsプロトタイプ、特定タスク支援型Nimbus Wearプロトタイプ、特定タスク支援型Nimbus Limbsプロトタイプを開発し、実証を通じてその有効性を検証していく。